▽日米首脳電話会談で高市首相、台湾巡る国会答弁伝えたか明言せず…「外交上のやりとりで詳細は差し控える」<読売新聞オンライン>2025/11/25 20:26
高市首相と米国のトランプ大統領は25日、電話で会談した。首相は、24日夜の米中首脳電話会談で中国側が提起した台湾問題を巡り、日本政府の立場を説明したとみられる。トランプ氏は米中会談を含む最近の米中関係について伝えた。両首脳は日米同盟の強化も議論し、現在の国際情勢下で緊密に連携していることを強調した。
会談は、米側からの要請で約25分間行われた。首相は会談後、首相官邸で記者団に「同盟強化やインド太平洋地域が直面する情勢や諸課題について幅広く意見交換を行った」と説明した。中国が反発する台湾有事を巡る自身の国会答弁について話したかどうかを記者団に問われたが、「外交上のやりとりで詳細は差し控える」と述べ、明言は避けた。
外務省によると、トランプ氏は南アフリカで22~23日に開かれた主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)の様子を質問したため、首相が詳細を説明した。トランプ氏はG20サミットを欠席していた。
G20サミットでは、焦点とされていた首相と中国の 李強( 首相の立ち話は実現しなかった。首相はこうした日中間の対話を巡る状況や対立関係について説明したとみられる。
トランプ氏は電話会談で首相に対し、「首相とは極めて親しい友人であり、いつでも電話をしてほしい」と呼びかけたという。両首脳は、ロシアによるウクライナ侵略についても意見交換し、首相は米国のウクライナ和平に関する取り組みを評価する考えを伝えた。
茂木外相は25日の記者会見で「両首脳間の緊密な連携を確認できたことは大変有意義だ」と述べ、米国とさまざまなレベルで緊密に連携を図っていく考えを示した。日米両首脳による電話会談は10月28日に東京で行われた日米首脳会談直前の同25日以来で2度目となる。
日中両国は、首相の国会答弁やそれに反発する中国の駐大阪総領事のSNS投稿などを巡って対立が深まっている。これに関連し、船越健裕外務次官は25日、外務省で中国の 呉江浩 駐日大使と面会した。国会答弁を巡って議論した可能性がある。
▽中国の虚実ない交ぜ「情報戦」に反論強化…日米首脳電話会談、「米中」後に即座に認識共有し協議<読売新聞オンライン>2025/11/25 22:25
岡部雄二郎、向井ゆう子
米中首脳の直接対話から一夜明けた25日、高市首相はトランプ米大統領との電話会談で日米の結束をアピールした。台湾有事を巡る自身の国会答弁に反発を強める中国が、米国や国際社会を味方につけようと虚実ない交ぜの「情報戦」を仕掛ける中、強固な日米同盟をてこに対抗策に腐心している。(政治部 岡部雄二郎、ワシントン 向井ゆう子)首相官邸に入る高市首相(25日)=川口正峰撮影
25日午前11時頃、首相官邸。電話会談終了から30分ほどで記者団の取材に応じた首相は、前日夜の米中首脳電話会談の結果を含む「最近の米中関係」についてトランプ氏と協議したと説明。いつでも電話できる間柄だと強調し、関係の近さを印象づけた。
積極的な発信の裏には、前夜の米中会談で「トランプ氏が日本より中国の肩を持っているとのイメージが広がりかねない」(政府関係者)との危機感があった。中国側は、トランプ氏が台湾を巡る中国の立場に理解を示したなどと宣伝しており、米国を取り込んで日米を分断する狙いは明らかだ。
中国との貿易交渉で利益を狙うトランプ氏は、来年4月の訪中を目指す一方、中国が輸出規制を強めるレアアース(希土類)の供給網安定化などでは同盟国を重視している。「日中対立と一定の距離を保ちつつ、中国をけん制したいのが本音だ」と米共和党関係者は解説する。そのトランプ氏が、習氏と間を置かずに首相に電話をかけてきたのは、「中国との対話に前のめりな中でも対日関係を気にかけている表れ」(外務省幹部)とみられる。日本側は、今後も米側に働きかけを続ける考えだ。
国際社会に向けた発信強化も急務だ。中国の国連大使が首相の国会答弁について問題提起する書簡をアントニオ・グテレス国連事務総長に送ったのに対し、山崎和之国連大使は日本時間25日、反論書簡をグテレス氏に送付した。専守防衛や限定的な集団的自衛権を日本は一貫して順守しているとし、「中国の主張は誤っている」と訴えた。
中国側は、沖縄県・与那国島への自衛隊のミサイル配備や、国連憲章の「旧敵国条項」まで持ち出し、対日批判を展開している。首相答弁を国際問題化し、台湾問題の現状を「日本が一方的に変更した」と印象づける思惑がありそうだ。
木原官房長官は25日の記者会見で、事態打開に向けた日中の直接対話に「日本はオープンだ」とした上で、「事実に反する中国の主張は受け入れられず、しっかり反論していく」と語った。国際世論を意識した日中の攻防が当面続きそうだ。
▽高市首相の「存立危機事態」答弁、従来の政府見解を「完全に維持」閣議決定<読売新聞オンライン>2025/11/25 18:52
政府は25日、台湾有事が集団的自衛権行使の対象となる「存立危機事態」になり得るとした高市首相の国会答弁を巡り、従来の政府見解を「完全に維持」しているとの答弁書を閣議決定した。認定要件などは「見直しや再検討が必要とは考えていない」と記した。公明党の斉藤代表の質問主意書に答えた。
高市首相
非核三原則に関する答弁書では、首相が「現段階で堅持している」などとした国会答弁の引用にとどまった。斉藤氏は記者団に「今後の見直しに含みを持たせている」と述べ、26日の党首討論で首相を問いただす考えを示した。




