• 社債2本が12月に償還期限、融資確保に向け銀行側と交渉していた
  • 不動産危機を生き延びてきた万科への支援、縮小していることを示唆

中国不動産開発大手の万科企業は、今週の同社債の急落を招いたデフォルト(債務不履行)懸念を抑えるため、短期融資の確保を試みたものの、少なくとも2行の国内銀行大手に拒否された。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  非公開情報だとして匿名を条件に話した関係者によると、万科は12月に期限を迎える計57億元(約1260億円)相当の社債2本の償還に向けて、いわゆる流動性融資の確保に関して銀行側と交渉していた。この協議は、万科が2本のうち1本の社債について償還延期の債権者同意を求めると26日夜に公表する前に行われていた。

  関係者によれば、銀行のうち1行は万科が社債償還延期を求める前に融資を拒み、もう1行も27日に拒否した。別の関係者によると、他の2行も前向きではなかったという。

  こうした反応は、中国の数年にわたる不動産危機を生き延びてきた万科への支援が縮小していることを示している。不動産セクターの下支えに向けた中国当局の意欲を見極める上で、万科は重要な指標となっていた。

  関係者のうち1人によれば、今回の融資協議は万科の筆頭株主である深圳市地鉄集団(深鉄集団)が主導していた。

  万科と深鉄集団にコメントを求めたが、返答がなかった。

資金の蛇口

  深鉄集団は資金繰りに苦しむ万科に対して約300億元相当の株主ローンを供与し、今年の社債償還を支えてきた。だが、今月に入り、万科への融資条件を厳格化する姿勢を示したことで、その命綱は不透明となっている。

  ルクロー・アナリティクスのシニアクレジットアナリスト、レナード・ロー氏は「今回の本土債の償還延期提案は、深圳市政府からの資金の蛇口が閉じられ、市政府がもはや万科の負債を支える意思も能力もないことを示唆している」と分析した。

  万科は12月15日に20億元、来月28日に37億元相当の社債償還を控えており、今後1年にわたる償還ラッシュの第一弾となる。

  同社は26日、12月15日期限の社債償還延期を投資家に要請する方針を示したが、詳細は明らかにしていない。

  これを受け、今週すでに急落していた万科の社債と株価にはさらなる下押し圧力がかかった。ブルームバーグの集計データによると、2027年償還のドル建て債は27日、額面1ドルに対し23セントまで下げた。

  万科の香港上場株も同日、一時8.5%安と上場来安値を付けた。

原題:Vanke’s Loan Request Rejected by at Least Two Chinese Banks(抜粋)