存立危機事態をめぐる高市総理の発言で対日圧力を強める中国。そんな中で足元の経済は長期不振から抜け出せないでいる。先週末も日本人アーティストの公演を途中で強引に打ち切るなど、力による嫌がらせが続いている。そんな中国の経済は足元で不振が続いている。30日に発表された11月の製造業PMI(購買担当者景気指数=Purchasing Manager’s Index)は49.2で、8カ月連続で50を下回った。消費経済への転換を目指す中国。頼みの非製造業PMIも49.5。10月の50.1から低下した。非製造業PMIの縮小は約3年ぶり。PMIは50を下回ると業況が悪化しているとみなされる。嫌味を言えば「中国経済自体が存立危機事態に直面している」のだ。高市批判どころではないだろう。Bloombergは「中国政府は経済に占める消費の比率を『大幅に』引き上げると約束しつつ、科学技術と製造業を最優先に据え続ける方針を明確にしている」と皮肉を込めて解説している。
悪化しているのはPMIだけではない。中国経済のアキレス腱は不動産不況だ。Bloombergが11月27日に配信した記事によると、「中国不動産開発大手の万科企業は、債務不履行懸念を抑えるため短期融資の確保を試みたものの、少なくとも2行の国内銀行大手に拒否された。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした」と、深刻化する不動産不況の事態を暴いている。不動産不況に製造業の不振が追い討ちをかけている。中国政府は「9月末以降にすでに、地方政府が投資拡大や企業への未払い返済に充てる未使用の債券発行枠や、政策銀行への新たな資金供給など、総額1兆元(約22兆円)の追加刺激策を実施している」(Bloomberg)。だが、11月の製造業PMIを見るかぎり効果は現れていない。頼みの消費回復も、非製造業のPMIは思わしくない状況だ。懸案の米中関係は11月の首脳会談(韓国)で当面の危機を乗り切った。それでも実体経済の落ち込みは、依然として止まっていない。
対する米国。インフレの高止まりと労働市場の軟化を背景に先行きの消費動向を懸念する声が高まりつつある。だが、感謝祭の翌日からはじまったブラックフライデーの出だしは極めて順調だ。ロイターによると「ブラックフライデーのオンライン小売売上高は前年比9.1%増の118億ドルと、過去最高を更新した」とある。買い物客が対話型人工知能(AI)を使って価格を比較するなど、AI搭載の買い物ツールがオンライン支出の増加に寄与しているという。昨年までと違って企業は値下げ幅を縮小している。堅調なブッラックフライデーが売上が消費の事態を反映しているのか、あるいはインフレ効果で売上高が増えているのか、にわかには判断しずらい。それでも中国に比べれば米国の先行きの方が明るい。問題は中国経済にある。中国リスクを含め日本企業もそろそろ、対中通商政策に気を配る時期にきているのではないだろうか・・・。
