Jaewon Kang
- 自動車を除く小売売上高は4.1%増、昨年3.4%増-データ提供会社
- 実店舗で1.7%増に加速、オンラインは10.4%増で前年の伸び下回る
今年の米ブラックフライデー(感謝祭翌日)の売り上げが前年に比べて加速したことが、主要なデータ提供会社の集計で明らかになった。根強い景気懸念にもかかわらず、個人消費が堅調を維持していることが示唆された。
マスターカード・スペンディングパルスによると、自動車を除く小売売上高は4.1%増加。昨年は3.4%増だった。データにはオンラインと実店舗での購入両方が含まれており、経済活動の広範な動きを捉えられるようになっている。インフレ調整は加えていない。

さまざまなコストが上昇し、雇用市場に懸念がある中でも、米個人消費は底堅いことが示された。小売り各社は価格に敏感な消費者を取り込もうと幅広い商品で値引きを行っているが、過去数年ほどの引き下げはしていないようだ。
年末商戦の動向は消費需要を測る重要指標であり、企業幹部やエコノミスト、投資家が家計支出の状況を見極めようとしている。
贈答品需要などで通常この時期の支出は膨らむが、必需品を買い置きする機会に利用するといった消費傾向の変化も見られるようになった。
経済全体でコストが上昇しているため、消費者が購入数量を減らすのではないかとの懸念も広がっている。
実店舗での売上高は前年比1.7%増と、昨年に比べてペースが加速。一方、オンラインでは10.4%増で、前年の伸びを下回った。

マスターカード・エコノミクス・インスティテュートのチーフエコノミスト、ミシェル・マイヤー氏は「消費者に支出力があることが明確に示された」と述べた。
同氏はその上で、年末商戦の残り期間については見通しがなお流動的だと指摘。売り上げ増加のうち、どの程度がインフレによるものかや、年末にかけて消費者が財布のひもをどこまで緩めるかなどが読みにくいと話した。
原題:Black Friday Sales Rise, Signaling US Consumers’ Resilience (1)(抜粋)
▽ブラックフライデーの米オンライン売上高は過去最高、AIがけん引<ロイター日本語版>2025年11月30日午後 4:16 GMT+9
Chandni Shah, Siddharth Cavale

[29日 ロイター] – データ会社アドビ・アナリティクスによると、米国で感謝祭翌日の金曜日(ブラックフライデー)のオンライン小売売上高は前年比9.1%増の118億ドルと、過去最高を更新した。
関税による値上げが懸念される中、買い物客が対話型人工知能(AI)を使って価格を比較するなど、AI搭載の買い物ツールがオンライン支出の増加に寄与した。
マスターカード・スペンディングパルスによると、ブラックフライデーのオンライン小売売上高は10.4%増加した。一方、実店舗の売上高は1.7%増にとどまった。
アドビによると、ウォルマートやアマゾンなどのAIツールがまだ登場していなかった昨年と比べ、AI経由の米小売サイトへのトラフィックは805%増加した。
イーマーケターのアナリスト、スージー・デービッドカニアン氏は「消費者は必要なものをより短時間で手に入れるために新しいツールを活用している」と述べた。
セールスフォースによると、AIエージェントは世界全体でブラックフライデーのオンライン売上高142億ドルに影響を与え、このうち米国だけで30億ドルを占めた。
食料品など必需品も含むセールスフォースのデータでは、米消費者のブラックフライデーのオンライン支出は前年比3%増の180億ドルとなった。
同社によると、支出額は昨年から増加したものの、価格上昇がオンライン需要を抑制し、購入品目は昨年に比べて減少。平均販売価格が7%上昇した一方、注文数は1%減少した。
前出のデービッドカニアン氏は、インフレや関税による製品コストの上昇により、販売促進や割引は昨年ほど大幅には感じられず、最終価格も買い物客にとってそれほど魅力的ではなくなっている可能性があると述べた。
