▽維新、「定数削減法案」で参政に協力要請…神谷氏は「中選挙区」導入前提に賛意<ロイター日本語版>2025/12/05 09:50

会談に臨む日本維新の会の藤田文武共同代表(左)と参政党の神谷代表(4日午後、国会で)
与党の思惑と参政党の注文

小池望、林航

 日本維新の会の藤田文武共同代表は4日、参政党の神谷代表と国会内で会談し、与党が今国会での成立を目指す衆院議員定数削減法案への協力を要請した。参政が協力すれば法案成立のめどがつくため、与党は削減に前向きな考えを示す神谷氏への働きかけを続ける考えだ。(小池望、林航)

会談に臨む日本維新の会の藤田文武共同代表(左)と参政党の神谷代表(4日午後、国会で)

「想像以上に前向き」と維新・藤田氏

 藤田氏は会談で「法案の賛成をお願いできないか」と呼びかけ、共同提出の検討も求めた。神谷氏は「民意を反映させる選挙制度にした上で定数を削減するのであれば協力できる」と応じ、中選挙区制導入を前提に削減への賛意を示した。さらに協力条件として、公設秘書の増員やスパイ防止法などでの協調も挙げた。

 藤田氏は会談後、「想像以上に前向きな姿勢を示していただいた。非常にありがたい」と記者団に語った。神谷氏も「提案を一部のんでいただけるのであれば、協力することになる」と強調した。藤田、神谷両氏はその後、両党幹部を交えて再会談した。

 無所属の3衆院議員が自民党会派に加わったことで、与党は衆院で過半数を確保したが、参院では過半数(125)に6議席足りない状況だ。参院で15議席を持つ参政の協力が得られれば、法案成立に見通しがつくことから、自民幹部も水面下で参政側に接触し、多数派工作を加速している。

 ただ、与党が参政の要求に応じるかは不透明な部分もある。国会法は、国が給与を負担する公設秘書に関し、国会議員1人につき、政策秘書と公設秘書2人の計3人までと定める。参政は「スタッフを拡充し、立法能力を高める」(神谷氏)として増員を主張する。

 維新幹部は「議員を削減すればその分だけコストは減るため、秘書の人件費が増えても国費負担は増えない」と理解を示すが、自民内では「『身を切る改革』に逆行するのではないか」と否定的な声も漏れる。

 一方、野党は与党の定数削減法案に反発を強める。

 施行後1年以内に結論が出ない場合、自動的に定数を削減する規定が含まれているためだ。公明党の斉藤代表は4日の党中央幹事会で「あまりに乱暴で、民主主義の手続きを否定するやり方だ」と批判した。

 野党第1党の立憲民主党は、自動的に削除される規定を除いた法案を軸に、複数の対案を検討している。安住幹事長は「他の野党とも相談して対応を決めたい」と述べた。与党案を精査した上で、公明などと連携を図る考えだ。

自民政調審議会は了承

 自民党は4日の政調審議会で衆院議員定数削減法案を了承した。5日に総務会、日本維新の会との与党政策責任者会議で了承後、同日にも国会に提出する見通しだ。法案では定数(465)の1割減を目標に与野党で協議し、2027年以降に削減を実施する。

▽防衛所得増税、27年1月開始で調整 財源確保必要と判断 自民<毎日新聞>2025/12/4 21:10

自民党本部=東京都千代田区で、平田明浩撮影
自民党本部=東京都千代田区で、平田明浩撮影

 自民党は4日、防衛力強化のための増税のうち、実施時期を先送りしていた所得税について2027年1月から引き上げる方向で調整に入った。高市早苗首相は当初所得増税に否定的だったが、27年度に防衛費を国内総生産(GDP)比2%に増額する目標を25年度中に前倒しする方針を掲げる中で、防衛力をさらに強化するため財源確保が必要だと判断した。ただ、連立を組む日本維新の会は過去に防衛増税に反対した経緯があり、協議を続ける。

 複数の自民税調関係者が明らかにした。所得税額に1%を付加する防衛特別所得税(仮称)を新設する一方で、復興特別所得税の税率を1%引き下げる予定で、復興特別所得税の課税期間が延長されるため事実上の負担増になる見込み。ただ、差し引きした足元の税率は変わらず、手取り増を目指す高市政権の政策に矛盾しないと判断した模様だ。

 防衛増税を巡っては、当時の岸田文雄政権が22年末、将来の財源を確保するために法人、所得、たばこ3税を段階的に引き上げ、27年度までに1兆円超を確保する方針を閣議決定した。22年末に決定した税制改正大綱では、増税開始を「24年以降の適切な時期」と記し、「27年度に向けて複数年かけて段階的に実施する」としていた。

 ただ、23年末の税制改正では、所得税などの定額減税との兼ね合いから増税時期は先送りされた。24年末の改正論議でも、法人税、たばこ税の26年4月の増税開始は決まったが、所得税については「年収103万円の壁」の引き上げで税負担の軽減を目指す中、与党内で増税への慎重論が出て結局見送った。【井口彩、遠藤修平、園部仁史、妹尾直道】