- 株は小幅高、最高値に迫るも失速-9月PCE価格指数は予想通り
- 円は対ドルで上げ消す、155円10-50銭のレンジでおおむね推移
Cristin Flanagan、Andre Janse Van Vuuren
5日の米国債相場は下落(利回りは上昇)。週間ベースでは8カ月ぶりの大幅安となった。今週発表された米経済指標が強弱まちまちの内容となり、来年の利下げ幅に関する市場の見方が揺らいだ。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.79% | 3.8 | 0.80% |
| 米10年債利回り | 4.14% | 3.9 | 0.95% |
| 米2年債利回り | 3.56% | 4.0 | 1.13% |
| 米東部時間 | 16時38分 |
10年債と30年債の利回りはいずれも週間で4月以来の大幅な上昇を記録した。当時は米政権が新たな関税措置を発表し、金融市場が世界的に動揺していた。
米連邦準備制度理事会(FRB)は来週利下げを実施すると引き続き広く予想されているが、来年の追加利下げ観測は後退している。米労働市場の健全性に関して強弱まちまちの兆候が示唆されているためだ。
ドイツ銀行の金利ストラテジスト、スティーブン・ゼン氏は「FRBに関する市場の見方は、タカ派寄りの方向に修正されつつある」と指摘。「投資家は来年の追加利下げに対して懐疑的な見方を強めている」と述べた。

9月の米個人消費支出(PCE)統計で、食品とエネルギーを除いたPCEコア価格指数は前月比0.2%上昇。3カ月連続で同率の伸びとなり、エコノミスト予想と一致した。前年同月比では2.8%上昇。こちらも市場予想と一致した。FRBは2%前後で維持することを目指しており、複数のFRB当局者はこれまで、インフレのトレンドを踏まえると、利下げを見送るべきだとの見解を示している。
関連記事:米PCE統計、9月の消費支出は足踏み-価格指数は予想と一致 (3)
HSBCセキュリティーズの金利ストラテジスト、ディラジ・ナルラ氏は、米政権が今週、5月に任期が満了するパウエルFRB議長の後任に関する計画を超えて、地区連銀総裁人事で新規則を提唱したことが「不確実性を再燃させた。それが値動きにも表れている」と指摘した。ベッセント財務長官は今週、地区連銀総裁の候補者について、就任前に少なくとも3年間は担当地区に居住していることを義務づける新たな規則を推進すると述べた。
特に長期金利市場は「今後の政策の進路に不確実性が生じることを好まない」とナルラ氏は説明。「政策の不透明感が高まれば、投資家はより長期の債券を保有するために、より大きなリスクプレミアムを求めるようになる」と続けた。
来週に3年債、10年債、30年債の入札が控えていることも米国債への重しとなっている。
みずほインターナショナルのストラテジスト、エブリン・ゴメスリヒティ氏は「市場は恐らく来週の国債入札を見据えるとともに、12月のFOMC会合が今後の方向性を示唆するかどうかを待っている」と話した。
株式
米株式相場は小幅上昇。最高値の更新には至らなかった。来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を控え、積極的な動きは手控えられた。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6870.40 | 13.28 | 0.19% |
| ダウ工業株30種平均 | 47954.99 | 104.05 | 0.22% |
| ナスダック総合指数 | 23578.13 | 72.99 | 0.31% |
S&P500種株価指数は一時0.6%上昇し、10月に付けた最高値に迫った。小型株で構成するラッセル2000指数は前日に最高値を更新したが、この日は一進一退の展開となった。
BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏はPCEについて「全体として、今回のデータはFRBが来週0.25ポイントの利下げを実施するとの見通しと整合的だが、FRBが2026年に利下げペースを加速させる必要があることは示唆していない」と述べた。
市場分析会社バイタル・ナレッジの創業者、アダム・クリサフルリ氏は「財のインフレ加速は関税の影響であることがかなり明確だ。ただ、FRB当局者の多くは、関税による物価上昇を一時的な要因と見なしており、この動きを見過ごす姿勢を取っている上、サービス価格が鈍化したことから、9月のPCE統計は総じて見ればややポジティブ(ハト派的)な内容だ」と話した。
ブラックロックのグローバル債券担当最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏はこの日の統計発表前にブルームバーグテレビジョンで、来週のFOMC会合では反対票や意見の相違が出ると見込んでいると述べた。
ミシガン大学が発表した12月の消費者マインド指数(速報値)は5カ月ぶりに上昇した。インフレ見通しの改善を背景に、家計の先行きに対する楽観的な見方が強まった。
関連記事:米消費者マインド指数、5カ月ぶりに上昇-インフレ見通し改善 (2)
個別銘柄ではNetflixが下落。同社は、メディア大手ワーナー・ブラザース・ディカバリーの買収で合意した。
関連記事:Netflixがワーナー買収、11兆円超で-パラマウントは対抗と報道 (1)
外為
外国為替市場で円は対ドルで小幅下落。ニューヨーク時間は1ドル=155円10-50銭のレンジでおおむね推移した。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1212.38 | -1.75 | -0.14% |
| ドル/円 | ¥155.34 | ¥0.24 | 0.15% |
| ユーロ/ドル | $1.1642 | -$0.0002 | -0.02% |
| 米東部時間 | 16時39分 |
日本銀行は今月の金融政策決定会合で政策金利を引き上げる公算が大きく、その後も利上げ継続姿勢を維持する見通しだとする報道を受けて、円は東京時間から欧州時間にかけては上昇した。だが、その後はじりじりと上げを消した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は下落。12月のミシガン大消費者マインド指数は5カ月ぶりに上昇したものの、ドルの反応は限定的だった。
FRBは来週にも追加利下げに踏み切る見通しだが、景気への効果が表れるまでに通常よりも時間がかかる上、金融政策の及ばない要因によってその効果が抑えられる可能性がある。
住宅など金利の影響を受けやすい産業は、借り入れコストの低下による恩恵が限定的となる可能性がある。住宅価格が依然として過去最高水準に近く、雇用情勢への不安が広がっているためだ。製造業のような他の分野では、トランプ大統領による変化の多い関税政策の影響で投資が抑制されており、利下げの効果は限定的とみられている。
関連記事:FRB利下げでも、景気浮揚効果は限定的な可能性-影響薄める外的要因

原油
ニューヨーク原油先物は3日続伸。世界的な供給過剰への懸念はくすぶっているが、ウクライナ和平案を巡る協議でなお合意が見通せないことが追い風となった。
ウクライナ和平案を巡る米ロの協議が合意に至らず、ウクライナ交渉団は再びフロリダで米国側との協議を継続。ロシア政府は米国とウクライナの協議についての分析を待っていると、インターファクス通信が報じた。
仮に和平案で合意すれば、ロシア産原油への制裁が解除され、供給増につながる可能性があるため、相場には重しとなる。だが、合意はまだ遠いようだ。ウクライナはロシアのシズラン製油所やテムリュク港への前夜の攻撃について自国の関与を認めた。一方、ロシア中央銀行の凍結資産を利用してウクライナに巨額の融資を行う欧州連合(EU)の計画を阻止しようと、米国がEU数カ国に計画への反対を働き掛けていたことが、関係者の話で分かった。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物価格は、重要な抵抗線とされる50日移動平均線を上抜け、強気な材料となった。ここ数日はアルゴリズムに基づく取引を行う投資家によるショートカバーも入っており、アナリストは今後数週間で買いが広がる可能性があるとみている。
TDセキュリティーズの商品ストラテジスト、ダン・ガリ氏は「アルゴリズム売りが一巡して以来、初めて本格的なショートカバーがこの日入った。来週にかけて商品投資顧問(CTA)の買いが本格化するためのハードルは低い」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限は、前日比0.41ドル(0.7%)高の1バレル=60.08ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は0.8%上げて63.75ドル。
金
金スポット価格はほぼ変わらず。一時は1.2%高の1オンス=4259.34ドルまで買われる場面もあったが、その後は前日終値近くまで押し戻されもみ合う展開となった。
国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、金に連動する上場投資信託(ETF)の保有量は11月末時点で3932トンに増え、6カ月連続の増加となった。このうち700トン超が今年購入されており、年間の伸びとしては過去最大を記録する勢いだという。
金相場は2022年末以降、着実な上昇基調にあるが、今年になって騰勢を強めている。安全資産としての妙味が増したほか、国債や通貨から資金を引き揚げ代替資産へと移す動きも追い風だ。こうした中、年間では1979年以来の大幅な値上がりとなる見通し。
金スポット相場はニューヨーク時間午後2時45分現在、前日比2.60ドル(0.1%)安の1オンス=4205.02 ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前日比変わらずの4243ドルで終えた。

原題:US Treasuries Wrap Up Worst Week Since April Amid Fed Doubts(抜粋)
US Stocks Cling to Gains as Fed Countdown Begins: Markets Wrap
Dollar Edges Lower While Loonie Surges on Jobs Beat: Inside G-10
Oil Rises as Traders Focus on Murky Russia-Ukraine Peace Talks
Gold-Backed ETF Holdings Set Month-End Record as Metal Rises
