- AIの成長を支えるデータセンター需要を取り込みたい考え
- デジタルブリッジを買収、非公開化する可能性について交渉-関係者
Josh Sisco、Ryan Gould、Michelle F Davis
ソフトバンクグループは、データセンターなどの資産に投資するプライベート・エクイティー(PE、未公開株)投資会社デジタルブリッジ・グループを買収する方向で協議している。デジタルインフラにおける人工知能(AI)ブームを活用したい考えだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。
非公開の情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、ソフトバンクはデジタルブリッジを買収し、非公開化する可能性について交渉している。デジタルブリッジの株価は年初来で13%下落。時価総額は約18億ドル(約2800億円)となっている。
ソフトバンクG創業者の孫正義氏は、AIの成長を支えるデータセンター需要を取り込む方法を模索してきた。関係者によると、協議は継続中で合意に至る確証はないものの、早ければ数週間以内にまとまる可能性がある。
ソフトバンクとデジタルブリッジの担当者はコメントを控えた。
デジタルブリッジのウェブサイトによると、同社の運用資産は9月末時点で約1080億ドル。ポートフォリオにはAIMS、アトラスエッジ、データバンク、スイッチ、ヴァンテージ・データ・センターズ、ヨンドル・グループといったデジタルインフラ事業者が含まれている。
レーモンド・ジェームズのリサーチアナリスト、リック・プレンティス氏は10月30日のリポートで、デジタルブリッジは単独で存続するよりも、規模と資金調達の基盤を備えたオルタナティブ資産運用大手が同社を買収する方が理にかなうとの見方を示した。
その上で「デジタルブリッジは売却を検討するだろうが、それは適正な(かつ現在の水準をはるかに上回る)現金価格と条件が提示された場合に限られるだろう」と記した。
1月、ソフトバンクGはOpenAI、オラクル、アブダビ首長国の投資会社MGXと共同で、米国内にデータセンターを建設する5000億ドル規模のプロジェクト「スターゲート」を発表した。孫氏は「直ちに」1000億ドルを投入すると約束したが、データセンターの立地を巡る意見の相違などもあり、スターゲートの展開は計画より遅れている。
これらの企業は9月に、テキサス州、ニューメキシコ州、オハイオ州に5カ所の新拠点を計画していると発表。最終的に7ギガワットの電力供給能力を備える見通しで、都市に匹敵する規模となる。孫氏は前例のない需要、特にOpenAI自体の膨大なAIクラウド需要を取り込むべく、鴻海精密工業(ホンハイ)と進めるデータセンター計画もある。
このため資金を再配分する必要が生じ、一部資金の移動が求められた。11月には保有する全ての米エヌビディアの株式を58億3000万ドル(約9000億円)で売却したと発表。孫氏は1日、資金を他のAI支出に振り向けるため「泣く泣く売った」と述べた。
原題:SoftBank Said to Eye Buying DigitalBridge in AI Data-Center Play(抜粋)
