• 実質個人消費支出は前月比横ばい、予想0.1%増-8月分は下方修正
  • 価格指数はコア・総合ともに前年同月比2.8%上昇、予想と一致

Mark Niquette

9月の米個人消費支出(PCE)統計では、個人消費支出の停滞が明らかになった。根強いインフレの影響で、政府機関が閉鎖される前にすでに消費者は財布のひもをきつくしていた。

キーポイント
インフレ調整後の実質個人消費支出は前月比横ばい-予想0.1%増
8月は0.2%増(速報値0.4%増)に下方修正
PCEコア価格指数は前月比0.2%上昇-市場予想と一致
前年同月比では2.8%上昇-予想と一致
PCE総合価格指数は前月比0.3%上昇-予想と一致
前年同月比では2.8%上昇-予想と一致

  9月のPCE統計は10月31日に発表される予定だったが、政府閉鎖で延期されていた。発表元の経済分析局(BEA)によると、次回のPCE公表予定はまだ決まっていない。

米個人消費支出、9月は足踏み

  10月1日から史上最長期間続いた米政府閉鎖の前に、米経済の主力エンジンである個人消費が停滞していたことが示唆された。より近いデータでは、ブラックフライデー(感謝祭翌日)の堅調が明らかになった一方、雇用不安の強まりで消費者信頼感指数が大きく低下。支出は主に富裕層主導となっていることが示唆されている。

  PCE統計と同時に米ミシガン大学がこの日発表した12月の消費者マインド指数(速報値)は、5カ月ぶりに上昇した。インフレ見通しの改善を背景に、家計の先行きに対する楽観的な見方が強まった。

関連記事:米消費者マインド指数、5カ月ぶりに上昇-インフレ見通し改善 (1)

  連邦準備制度理事会(FRB)当局者の見解は、減速する労働市場のてこ入れ策として来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを支持する勢力と、根強いインフレを懸念する側との間で、過去にないほどはっきりと分裂している。

  この日発表されたPCE統計は9月のものだが、これに示された消費の軟化と、コアインフレが前月比で緩やかな伸びにとどまったことは、利下げ決定への追い風となり得る。投資家の間では追加利下げ予想が圧倒的だ。

  統計発表後の米金融市場では、S&P500種株価指数と米国債利回りが上昇した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール、エステル・オウ両氏は「来週9-10日に開かれるFOMCに、9月の個人所得と個人消費支出のデータはほとんど影響しないだろう。コアインフレの高止まりでタカ派陣営の不安は続くが、ハト派は実質消費の伸び悩みに注目するかもしれない」と分析した。

  BEAは消費支出が伸びなかった大きな理由として、財への支出が5月以来の大幅減少となったことを指摘した。財価格が0.5%上昇と、1月以来の大きさで上昇したことが響いた。自動車・部品、衣服、靴への支出がいずれも減少した。

  実質可処分所得は2カ月連続でわずかな増加。インフレ調整前の賃金・給与は前月比0.4%増えたほか、富裕層の所得を支える資産所得の伸びが加速した。貯蓄率は4.7%で変わらず。

  市場で注目されるエネルギーと住宅を除いたサービス価格は、前月比で0.2%上昇に鈍化した。

  統計の詳細はをご覧ください。

原題:US Consumer Spending Stalled in September, Inflation in Line (3)(抜粋)