• 変化が分散効果もたらし得る-協調なければボラティリティー拡大
  • 金融安定の柱は国家権力から独立した中央銀行にある
Bank of Italy Governor Fabio Panetta at World Savings Day
Photographer: Alessia Pierdomenico/Bloomberg

Alessandra Migliaccio

欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのパネッタ・イタリア中銀総裁は9日、国際通貨制度が今後、ドルだけでなく複数の基軸通貨が併存する体制へと移行する可能性が高いとの考えを示した。

  パネッタ氏はダブリンでの講演で、基軸通貨としての地位は今後もドルが維持するものの、世界は「徐々により多極的な構図へと漂流していく可能性がある」と述べた。

  「そうしたシフトは分散効果をもたらし得る一方で、協調が損なわれればボラティリティーや波及リスクを高める恐れもある」と指摘。リスク管理の鍵は優れたガバナンス(統治)で、金融安定の柱は国家権力から独立した中央銀行だと語った。

  国際決済銀行(BIS)が9月に公表した3年ごとの調査によると、ドルは依然として世界の外国為替市場を支配している。

  全取引の89.2%にドルが関与し、2022年の88.4%からさらに上昇した。ユーロのシェアは30.6%から28.9%に低下し、円は16.8%程度で横ばいだった。

  パネッタ氏によれば、欧州が国際通貨システムでより大きな役割を果たすには、流動性を一段と高めた資本市場と投資を伴う強固な経済基盤が必要。  

  同氏は今後の進展について、「ドルの伝統的な支柱の一部弱体化や中国の台頭、欧州統合の深化といったゆっくりと動く力に左右される」との見方を示した。

Bank of Italy Governor Fabio Panetta at World Savings Day
パネッタ・イタリア中銀総裁 Photographer: Alessia Pierdomenico/Bloomberg

原題:ECB’s Panetta Sees Move Away From Dollar as Key Global Currency(抜粋)