• 持続的2%インフレ達成まで緩やかな政策調整を継続する考えを表明
  • 市場は利上げを大方織り込み、焦点は金利軌道と中立金利
Kazuo Ueda on Dec. 9.
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

Toru Fujioka

日本銀行の植田和男総裁は、同中銀が物価目標の達成に近づきつつあるとの認識を示した。日銀が来週の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの観測を一段と強めた。

  英紙フィナンシャルタイムズ(FT)が8日夜に収録し9日に配信したインタビューで植田総裁は「持続的な2%のインフレに近づいている」と発言。「私はそう考えていると言える」と述べた。

  市場は日銀が政策金利を0.75%に引き上げることを織り込んでいる。実現すれば1995年以来の高水準となる。次回の政策決定は12月19日に予定されている。

  植田総裁はFT紙とのインタビューで、日銀が再び利上げを実施してもそれが最終ではないと示唆した。

  「持続的に2%のインフレを達成」するまで、日銀は緩和の度合いを緩やかに調整し続けると述べた。

  「政策金利が自然利子率(中立金利)の水準に戻るまで」と続け、「その水準がどこであるにしてもだ」と付け加えた。

  植田総裁の発言が配信されると円はわずかに上昇し、ドル・円は一時156円を割り込んだ。

  翌日物金利スワップ市場では、来週の会合で利上げが実施される確率は約88%と織り込まれている。

  焦点は、植田総裁が今後の金利軌道と、景気を刺激も抑制もしない中立金利についての考えをどう示すかだ。

  植田総裁はまた、為替相場の物価への影響を注視しているとの日銀の姿勢を改めて強調した。

  円は先月、一時1ドル=157円89銭と1月以来の安値を付け、インフレ圧力を高める懸念を誘った。

  円安には、高市早苗首相の経済対策などによる日本の財政健全性への懸念も影響している。

  植田総裁は「財政政策について明確なコメントをするのは控えるようにしている」とし、「われわれは通常、『中長期的な財政の持続可能性を確保するのは政府の役割だ』といった言い方をする」と語った。

原題:BOJ’s Ueda Says Japan Is Getting Closer to Sustainable Inflation(抜粋)