▽自衛隊制服組トップ、レーダー照射で中国に反論 「対領空侵犯措置は当然」<ロイター日本語版>2025年12月11日午後 3:43 GMT+9

[東京 11日 ロイター] – 自衛隊制服組トップの内倉浩昭・統合幕僚長は11日午後の会見で、中国軍機が自衛隊機にレーダーを照射した6日の事案について、日本の防空識別圏内で「対領空侵犯措置を適切に行うことは当然」と述べ、自衛隊機によって安全な飛行を阻害されたとする中国側の指摘に反論した。中国とロシア軍用機による9日の共同飛行については、外交ルートを通じて「重大な関心」を表明したことを明らかにした。
内倉氏は「(中国の空母)遼寧が所在した海域には、沖縄本島、北大東島、南大東島、沖大東島などがあるとともに、日本の防空識別圏内」と説明。「空母から発艦した艦載機に対領空侵犯措置を適切に行うことは当然だ」と語った。「自衛隊機が中国の航空機の安全な飛行を深刻に阻害したとの中国側の指摘は当たらない」とした。
また、中ロの軍用機が東シナ海から太平洋まで共同飛行したことについて「度重なる爆撃機の共同飛行は日本周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、日本に対する示威行動を明確にしたもの」と指摘。中ロそれぞれに対し、「外交ルートを通じて安全保障上の観点から重大な関心を表明した」と述べた。
一方で、悪化している現在の日中関係と「関連性があるとは考えていない」とした。
中ロの爆撃機が日本周辺を共同で長距離飛行したのは2024年11月以来。内倉氏によると通算9回目。
▽レーダー照射問題で中国は「日本こそ茶番劇を画策した張本人」と主張…小泉防衛相は「問題の本質は中国側の断続的な照射」と批判<読売新聞オンライン>2025/12/10 21:17
臨時記者会見を行う小泉防衛相(10日、防衛省で)
東慶一郎
【北京=東慶一郎】中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射問題を巡り、中国軍は9日、訓練開始前の中国軍と自衛隊による無線のやりとりだとする音声をSNS上で公開し、事前に訓練を通告していたと主張した。
音声データは、中国海軍の艦艇が自衛艦に対して、中国語と英語で「我々の艦隊は計画に基づき、艦載機の飛行訓練を行う」と呼びかけ、日本側が英語で「メッセージを受け取った」と応答する内容だ。
また、中国軍はSNSで、自衛隊機が自ら「中国側のレーダーの捜索範囲内に進入し、レーダーの捜索信号を感知した」との持論を展開。その上で、中国側の航空機も同様に日本側のレーダー信号を感知したと主張した。
中国外務省の 郭嘉昆 副報道局長は10日の記者会見で、「日本が意図的にデマを流したことが証明された。日本こそがこの茶番劇を画策した張本人だ」と述べた。中国軍機によるレーダー照射以降の日中双方の主張
一方、小泉防衛相は10日、臨時記者会見を開き、中国側から訓練に関する時間や場所を示す事前通報はなく、「危険回避のために十分な情報はなかった」と反論した。航空自衛隊の戦闘機が中国機にレーダーを使用した事実も否定した。
小泉氏は、中国軍の6日の訓練が沖縄本島などの周辺の海域で行われたことに触れ、「自衛隊が対領空侵犯措置を行うことは訓練に関する事前通報の有無にかかわらず、当然だ」と語った。「問題の本質は、中国側が約30分にわたる断続的なレーダー照射を行ったことだ」と批判し、再発防止を改めて求めた。


