世界中が激動の兆しを強めている。ウクライナ戦争、ガゼ停戦の先行き、ロシアに中国、米国のトランプ大統領は何を考えているのか。国内では存立危機事態で対中関係が険悪になっている。何もかもが深刻かつ流動的だ。そんな中で今週は日本政治の先行きを占う重要なターニングポイントになるのではないか、そんな気がしている。何をもってそう思うのか。今週中、あるいは今日中にも自民党の高市総理・総裁と国民民主党の玉木代表による首脳会談が予定されているのだ。テーマは言わずと知れた「3党合意」の実現だ。玉木代表と高市総理はこれまでの国会質問など、極めて親密なやり取りを行なっている。両首脳とも腹は固まっているかのように見える。そして水面下では自民党の小林政調会長、小野寺税調会長、国民民主党の榛葉幹事長、古川税調会長などが激しく、かつ、日本の政治を左右するよな激論を行なっている。
テーマは税制、3党合意をいかに実現するかだ。もっとわかりやすく言えば「103万円の壁」という旧来の税制の否定だ。今年度の税制改正で自民党は103万円の壁を160万円に引き上げた。ただし対象は年収200万円以下の低所得者層のみ。引き上げ幅の根拠は1996年以来の消費者物価上昇率。3党合意で国民民主が主張したのは最低賃金の上昇率を根拠にした178万円への引き上げ。ガソリンの暫定税率の廃止とともに国民民主の主張を受け入れたのが3党合意だ。高市政権は衆議院でかろうじて過半数を維持しているが、参院は相変わらず小数与党にとどまっている。安定政権に向けて国民民主の協力は不可欠。あわよくば連立入りを実現したいところ。3党合意の実現にも積極的に見える。とはいえ、この問題はそれほど簡単ではない。財務省は相変わらず消極的だ。加えて、国民民主にも問題がある。
連合が反対しているのだ。労働組合の連合体である連合も内情は複雑だ。立憲民主党寄りの自治労や日教組などと、国民民主寄りの自動車総連、電気連合、電力総連などに分かれている。自民党が3党合意を受け入れるということは、国民民主の政権入りと引き換えになる。国民民主は連合の反対を押し切って政権入りができるのか、要するにこの問題は単なる税制改正にとどまらず日本の政界再編につながる可能性があるのだ。政党も連合も古い発想を引きずったまま今日に至っている。世界の情勢が激変する中で日本中がさまざまな問題で“再定義”を迫られ散る。自民党は19日に来年度の税制改正大綱をまとめる。今週中に自民党も国民民主党も決断を迫られている。果たして政治家や政党は残されたわずかな期間に日本の将来を左右する決断ができるのか。両党による水面下の激論はそれを見越したものになっている。そう期待したいのだが果たして結果は・・・
