今朝Bloombergのニュースを見て考えさせられた。タイトルは「物言う株主の野村絢氏、SBI新生銀上場で最大100億円を追加受け取りへ」とある。野村綾氏は、日本のもの言う株主の草分け的存在である村上世彰(よしあき)氏の長女である。もちろん彼女も父親の薫陶宜しきを得たもの言う株主だ。その手腕についてフジHDに不動産事業の分離などを要求している米アクティビストファンドのダルトン・インベストメンツの共同創業者、ジェームズ・ローゼンワルド氏は次のように言う。「タフで賢く、膨大な利益を上げている」と。そして「彼女は父親よりもソフトな虎だが、虎であることに変わりはない。その牙はとても長い」と述べている。父親の世彰氏は約20年前、フジサンケイグループのラジオ局ニッポン放送株投資で、インサイダー取引容疑で逮捕され実刑判決を受けている。

堀江貴文氏率いるライブドアによるもニッポン放送株をめぐるM&Aに絡んだ取引だ。詳細は省くとして村上氏は実刑判決を受けた後一旦はもの言う株主を廃業した。Bloombergは当時の村上氏の主張を次のように説明する。「村上氏は当時、上場企業の役員と会う前には、その会社の有価証券報告書や決算短信を読み込んでいた。しかし、財務状況について分かっていない経営者がことのほか多く、特にバランスシートの状況を把握していない経営者が多いことに驚かされた」という。「多くの経営者と話をするうちに分かったのは、特段のポリシーもないまま、過去からの経営方針をなんとなく引き継いでいる企業がほとんどだ」と自著で述懐しているとある。今の経営者はもっと真剣に経営に向き合っている。だが当時はそんな雰囲気があった。俗にう“ぬるま湯”経営だ。

「物言う投資家」はズケズケと経営に介入する。もちろん目的は利益を得るためだ。これに対して日本的カルチャーは「短期的な利益追求よりも雇用の維持や顧客・地域社会との関係を重視する」。このためもの言う株主とあつれきを起こすことが多い。だが世界の現実は圧倒的に敵対的だ。今話題のWBDの買収はまさにこれだ。相手をブチのめすまで戦う。良いか悪いかではない。父親の薫陶を受けた野村綾氏はどうして100億円という大金を手にできるのか、興味のある人はBloombergの記事で確認を。問題はM&Aに限らず日本の政治も経済も、ある意味では犯罪までもが国際的な影響を受けているという事実だ。内閣府は昨日、安全保障上の重要施設周辺で外国人や外国法人による土地・建物の取得が、2024年度は37都道府県で合計3498件に上ったと発表した。このうち5割近くが中国だという。これが今日本が置かれている現実だ。