
[15日 ロイター] – フォード・モーター(F.N), opens new tabは15日、主に電気自動車(EV)事業関連で195億ドルの評価損を計上するとともに、7車種のEV生産・開発を打ち切ると発表した。
トランプ政権がEV普及支援に消極的なことや、EV需要自体の弱まりが背景にある。フォードのガソリン車・EV部門を統括するアンドリュー・フリック氏は「収益性につながる道がなくなっている大型のEVに多額の資金をつぎ込むのではなく、よりリターンが高い分野に投入しようとしている」と説明した。
こうした方針の下で、電動ピックアップトラック「F-150」はいったん生産を中止し、走行距離を延ばせるレンジエクステンダー型電気自動車(EREV)に衣替えする。次世代電動トラックや計画された電動商用バンからも手を引く。
ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)はロイターのインタビューで「ここ数カ月で市場が実に変化したことが決断のきっかけになった」と述べた。
フォードはガソリン車とハイブリッド車に軸足を移すとし、短期的にはケンタッキー州の電池工場で一定の人員削減を行うものの、最終的には数千人の従業員を雇用すると述べた。ハイブリッド車とEREV、純粋なEVが同社の全世界の車種構成に占める比率は現在の17%が2030年までに50%まで高まるという。
評価損は今年第4・四半期から2027年にかけて分散して計上する。195億ドルのうち約85億ドルは計画していたEVの開発中止に伴うもので、約60億ドルは韓国SKオンとの電池合弁解消関連、50億ドルは「プログラム関連費用」とされている。
またフォードは今年の調整後税・利払い前利益見通しを従来の60億-65億ドルからおよそ70億ドルに引き上げた。
フォードの方向転換はバッテリー駆動車への需要減退に対する業界の対応を反映している。トランプ政権がEVに対する補助金を打ち切り、排出規制を緩和したことを受け、EVの需要見通しは今年大きく悪化した。
EV購入に対する7500ドルの税額控除が9月30日に失効したことを受け、11月の米EV販売台数は約40%減少した。また、トランプ政権は7月に可決された大規模減税・歳出法案に、自動車メーカーが燃費規制違反に対して支払う罰金の凍結を盛り込んだ。
