- ワーナー作品の劇場公開方針を堅持すると15日付の文書で言明
- 「雇用を支え、映画・テレビ制作の健全な将来を確保する」

Netflixの共同最高経営責任者(CEO)2人は、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の買収に向けた社内や業界の懸念を和らげようと、制作スタジオの閉鎖は生じないと改めて強調した。
Netflixの共同CEOを務めるグレッグ・ピーターズ、テッド・サランドス両氏は15日付の文書で、買収手続きは「今後約1年にわたる複雑なプロセスになる」とも述べた。
同社による総額827億ドルでの買収提案は、今月に入ってWBDの取締役会が承認した。しかしその後、パラマウント・スカイダンスが約1080億ドルでの敵対的買収案を提示し、争奪戦の様相を呈している。
WBDの取締役会は週内にもパラマウント案への回答を示すとみられており、パラマウント側は今回の提示額が最善かつ最終とは限らないとの姿勢を示している。WBD株式を保有するハリス・アソシエーツのファンドマネジャー、アレックス・フィッチ氏は「パラマウントがさらに高い提案を出しても不思議ではない」と述べた。
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NetflixによるWBD買収が実現すれば、ハリウッドでも長い歴史と伝統を持つスタジオの一つを傘下に収めることになる。ストリーミングの台頭や人工知能(AI)の影響で雇用がすでに揺らぐ映画業界では、この大型取引がさらなる人員削減につながるとの懸念が広がっている。経営陣は今回の文書を通じ、雇用削減や劇場公開の終焉に対する懸念の沈静化に動いた格好だ。
共同CEO2人は、ワーナー・ブラザースの作品を劇場で公開する方針を堅持すると言明。文書には「これまでNetflixでは劇場公開を優先してこなかったが、それは当社の事業ではなかったからだ。今回の取引が成立すれば、その事業にも取り組むことになる」と記されている。サランドス氏は過去に、映画館での鑑賞を「時代遅れ」の体験と表現したことがある。
さらに「スタジオ閉鎖は行わない」とも説明。「今回の取引は成長を目的としたものだ」とし、「ハリウッドを代表するスタジオの一つを強化し、雇用を支え、映画・テレビ制作の健全な将来を確保する」としている。
パラマウント案については「まったく想定の範囲内だ」と述べ、「当社には堅固な合意がある」と強調した。WBDを巡る争奪戦は厳しい規制当局の審査に直面するとみられ、各陣営は自らが優位に立つと主張している。
Netflixの経営陣は書簡で「必要な承認は得られると確信している」と述べたうえで、「この取引の本質は明確で、消費者、イノベーション、労働者、クリエーター、そして成長に資するものだ」と強調した。
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原題:Netflix CEOs Make Their Case for Warner Bros. Acquisition(抜粋)
