▽衆院定数削減、今国会での成立断念…高市首相と会談の維新・吉村代表「通常国会で必ず実現の方向性で合意」<読売新聞オンライン>2025/12/16 22:34

日本維新の会の吉村代表(奥左)と会談する高市首相(同右)(16日午後、国会で)=米山要撮影
党首会談での合意・確認事項
会談後に記者会見する高市首相(左)と日本維新の会の吉村代表(16日午後、国会で)=米山要撮影

 高市首相(自民党総裁)と日本維新の会の吉村代表(大阪府知事)は16日、国会内で会談し、来年の通常国会で衆院議員の定数削減を含む選挙制度改革を実現する方針で合意した。両党が国会提出した衆院議員定数削減法案については、今国会での成立を断念して今後に持ち越した上で、当面は与野党協議に議論を委ねる考えだ。

日本維新の会の吉村代表(奥左)と会談する高市首相(同右)(16日午後、国会で)=米山要撮影

 会談は約40分間行われ、木原官房長官や維新の藤田文武共同代表らが同席した。

会談後に記者会見する高市首相(左)と日本維新の会の吉村代表(16日午後、国会で)=米山要撮影

 首相は会談後の共同記者会見で、同法案の提出を「とても大きな一歩だ」と評価しつつ、今後は与野党でつくる「衆院選挙制度に関する協議会」で選挙制度改革とともに議論してもらう姿勢を強調した。協議会は今後、定数削減を含む選挙制度改革について来春をめどに結論を出す方向だ。

 これに対し、吉村氏は「来年の通常国会で法案を必ず実現させようという方向性を(首相と)合意したと思っている」と述べた。法案については「審議すらされずに国会が終わってしまうことは非常に残念に思う」と述べ、審議入りに応じなかった野党を批判した。

 同法案は、「420人を超えない範囲で現行定数の1割を目標」に削減することを定めた。具体的な削減内容は同協議会で議論するとし、1年以内に結論が出ない場合は、小選挙区で25議席、比例選で20議席の削減が自動的に確定する規定を盛り込んだ。

 この日の会談では、高校生年代(16~18歳)の子供がいる親の所得税負担を軽くする扶養控除について、現状維持で調整することも確認した。

▽「連立長続きしない」自民幹部が嘆息 吉村氏に振り回された定数削減<毎日新聞>2025/12/16 20:45

党首会談終了後に行われた共同記者会見で、握手を交わす高市早苗首相(左)と日本維新の会の吉村洋文代表=国会内で2025年12月16日午後6時40分、平田明浩撮影
党首会談終了後に行われた共同記者会見で、握手を交わす高市早苗首相(左)と日本維新の会の吉村洋文代表=国会内で2025年12月16日午後6時40分、平田明浩撮影

 自民党と日本維新の会が今国会での成立を目指していた衆院議員定数削減法案は16日、高市早苗首相(自民総裁)と維新の吉村洋文代表(大阪府知事)の党首会談で成立先送りが正式に決まった。10月の連立協議で突然、「政治改革のセンターピン」(吉村氏)に掲げられた定数削減を巡って、自民はこの間、吉村氏に振り回され続ける結果となった。臨時国会は17日に閉会するが、両党内では吉村氏の統治能力を疑問視する声も出始めており、連立政権は発足2カ月で大きな不安材料を抱えた格好だ。

定数削減で「公明と決別に」

 定数削減はそもそも自民と維新の温度差が大きい課題だった。維新が当初求めた比例代表の削減には、連立離脱した公明党を含む野党が反発。連立を解消したとはいえ、引き続き地方での公明との選挙協力に期待を寄せる自民からは「公明と完全に決別することになる」(党三役経験者)と慎重意見が絶えなかった。

 与党は、法施行後1年以内に衆院各会派で構成する選挙制度協議会で結論が出ない場合は、小選挙区25、比例代表20を自動的に削減する「自動削減条項」を法案に盛り込むことで折り合った。だが、法案提出は国会会期末が約2週間後に迫った12月5日。自民ベテランは「もともと成立は無理筋だった」と振り返る。

 連立交渉で吉村氏は当初、副首都構想と社会保障改革を「2本柱」として掲げた。…