▽経済安保強化へ欧州や東南アジアと連携、宇宙や海底ケーブルで産業協力…中国に対抗する狙い<読売新聞オンライン>2025/12/17 15:00

ジャカルタで開かれた会合では、日本企業が技術力をアピールした(10月15日)=作田総輝撮影
経済安全保障協力のイメージ

 政府は、経済安全保障の強化に向け、官民一体で欧州や東南アジア、オーストラリアとの連携に乗り出した。日本が強みを持つ宇宙や海底ケーブル、防衛分野での産業協力を進め、威圧的な振る舞いを繰り返す中国に対抗する狙いがある。ジャカルタで開かれた会合では、日本企業が技術力をアピールした(10月15日)=作田総輝撮影

 11月下旬、ドイツの首都ベルリンで日独両政府や防衛関連企業の関係者ら約70人が出席する会合が非公開で行われた。不審な無人機(ドローン)を無力化する技術や衛星データの活用・共有などが議論され、企業間協力を進めていくことを確認した。

 ロシアによるウクライナ侵略ではドローンが利用され、「戦場での戦い方を大きく変えた」(防衛省幹部)とされる。日本近海にも中国軍所属とみられる無人機が飛来し、日欧で同じ問題意識を共有している。

 同様の会合は10~11月にインドネシアと豪州でも開催し、両国の政府と産業界の橋渡しを行った。ジャカルタでは、日本からNECや三菱電機などのほか、宇宙関連企業が参加し、日本側参加者は「海洋国家同士、人工衛星技術を生かした離島の管理・監視で協力できる」と強調。インドネシアのヘリ・アフマディ元駐日大使は、「防衛協力だけでなく技術交流を促進したい」と応じた。

 同国では、NTTドコモとNECの合弁会社が11月に現地通信企業と契約を結び、通信網整備で協力するなどの成果も出ている。政府関係者は「中国の通信企業に対抗する取り組みになり得る」と期待を寄せる。

 キャンベラの会合には約100人が出席し、再生可能エネルギーの普及に必要な蓄電池や重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化での産業協力を確認した。ドローンの製造など防衛産業協力を進めることでも一致した。

 中国への依存を強めれば、中国製の通信網から情報を抜き取られたり、重要鉱物の輸出を止められたりする危険性をはらむ。経済的威圧は日本だけでなく各国が直面する共通課題だ。

 政府はこうした取り組みが相手国の経済安保を強化するだけでなく、「技術や製品の提供を通じて日本の産業基盤強化にもつながる」(赤沢経済産業相)と見ている。今後、欧州や東南アジア、他地域との協力をさらに広げていく考えだ。

▽高市首相、存立危機事態の答弁巡って「中国に粘り強く説明」<毎日新聞>2025/12/17 18:03

臨時国会の閉会を受け、記者会見で発言する高市早苗首相=首相官邸で2025年12月17日午後5時22分、平田明浩撮影
臨時国会の閉会を受け、記者会見で発言する高市早苗首相=首相官邸で2025年12月17日午後5時22分、平田明浩撮影

 高市早苗首相は17日、臨時国会の閉会に伴い官邸で記者会見を開いた。日中関係の悪化につながった存立危機事態に関する自らの国会答弁について「日本政府の従来の立場を変えるものではない。さまざまなレベルで中国や国際社会に粘り強く説明していく」と強調した。

 その上で「中国との対話については常にオープン、扉を閉ざすことはしない。中国側と意思疎通しつつ、国益の観点から適切に対応する」と述べた。