▽プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州とウクライナ側に」<ロイター日本語版>2025年12月20日午前 2:11 GMT+9
Guy Faulconbridge, Vladimir Soldatkin, Anton Kolodyazhnyy, Anastasia Teterevleva, Filipp Lebedev

[モスクワ 19日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は19日、年末恒例の記者会見を行い、ウクライナ紛争終結に向けたロシアの条件は2024年6月に自ら示した内容から変わっていないと強調した。米国が和平に向けて取り組む中、歩み寄りの姿勢は示さなかったほか、欧州連合(EU)が協議した凍結ロシア資産をウクライナ支援に充てる案については「強盗」行為にあたると非難した。
プーチン氏は2001年以降、ほぼ毎年、年末に長時間の記者会見を実施。質問は記者のほか一般市民からもオンラインや電話で受け付け、今年の会見は約4時間半に及んだ。物価上昇から核抑止に至るまで多岐にわたる内容に答えるが、今年の主要な議題はウクライナ情勢だった。
<ボールは欧州とウクライナ側に>
プーチン氏は、 トランプ米大統領が ロシア・ウクライナ戦争終結に向け 動いていることについて 「トランプ大統領はこの紛争を終結させるために真剣な努力を続け、完全な誠意をもって取り組んでいる」と言及。ただ、 「ボールは完全にわれわれの西側の対抗相手、主に『ウクライナの政権』の指導者とそれを支援する欧州諸国の側にある。われわれは交渉にも、平和的な解決にも応じる用意がある」と述べ、 和平へ向けた次の一手を講じる責任は 欧州諸国とウクライナの側に あるとの立場を示した。
<ウクライナが選挙実施なら 攻撃停止検討の用意>
ウクライナのゼレンスキー大統領については、正統性は失われているとの見解を改めて表明。 ゼレンスキー氏の任期は昨年満了したが、ウクライナはロシア軍との戦闘に伴う戒厳令下にあり、憲法上、新たな選挙を実施できない状況にある。 プーチン氏は、ウクライナが 選挙を実施すれば、投票期間中はウクライナ領の奥深くに対する攻撃の停止を検討する用意があると言及。同時に、ロシア国内に居住しているとする「500万─1000万人のウクライナ人」も投票できるようにするべきだと主張した。
プーチン氏は会見の冒頭で、ウクライナ側が和平合意に応じる準備が整っているとは考えていないが、対話に応じる意思を示す「一定のシグナル」はあると指摘。「昨年6月に外務省で示した原則に基づき、この危機の根本原因に対処することで紛争を平和的に終わらせる用意と意志がある。言いたいのはこれだけだ」と語った。プーチン氏は昨年6月の演説で、ウクライナに対し北大西洋条約機構(NATO)への加盟断念と、ロシアが自国領と主張する4州からの完全撤退を求めていた。
現在の戦況については、ロシア軍が前線全体で前進し、ウクライナ軍は後退しているとの認識を示した。
<凍結ロシア資産の利用「白昼堂々の強盗行為」>
EUは欧州内で凍結されているロシア資産を裏付けとしてウクライナへの融資を実行する案を検討していたが見解の相違を埋められず、19日の首脳会議でウクライナの対ロシア防衛資金として、凍結されたロシア資産を利用するのではなく、現金を借り入れることを決定。緊急措置としてEU予算を担保としてウクライナに900億ユーロをの融資を実施することで合意した。
プーチン氏はこれについて、EUが当初の計画を断念したのはロシアによる深刻な報復措置を懸念したためだったとし、その結果、EUは資産を安全に保管できる場所としての信用を失ったと指摘。凍結ロシア資産を原資としてウクライナに融資を実施する計画について「窃盗という言葉は適切ではない。これは白昼堂々とした強盗だ。実行すれば深刻な結果が及ぶ可能性があるため、この強盗を実行することができなかった」と語った。
<記者会見中に中銀が利下げ発表>
ロシアの2025年の経済成長率は 1%と、前年の4.3%から大きく減速。プーチン氏はこれについて、ロシア中央銀行がインフレ対策のために金融を引き締めたため経済が減速した と説明した。これに歩調を合わせるかのように、ロシア中銀はこの日に開いた理事会で主要政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き下げ16%にすると決定。利下げはプーチン氏の記者会見中に発表された。
▽ウクライナ、地中海で「影の船団」タンカー攻撃 ロシア産石油の遮断狙いか<ロイター日本語版>2025年12月20日午前 3:34 GMT+9
[ロンドン 19日 ロイター] – ウクライナ保安庁(SBU)は19日、ロシア産石油取引に関与しているとみられる「影の船団」のタンカーを地中海で無人機(ドローン)によって攻撃したと明らかにした。ロシア産石油の輸送を遮断する狙いがあるとみられる。
SBU当局者は書面による声明で、タンカー「ケンディル号」はウクライナから2000キロ以上離れた公海上で、無人機による攻撃を受け、重大な損傷が生じたと述べた。無積載の状態だったという。攻撃時のタンカーの正確な位置や発生時刻には言及しなかった。
タンカーはオマーン船籍。船舶追跡サイト「マリントラフィック」のデータによると、タンカーはインドのシッカ港からバルト海沿岸にあるロシアの港に向け、リビア沖を航行していた。インドはロシア産石油の主要輸入国。
ウクライナは2024-25年にかけてロシアの石油精製施設を攻撃してきた。ここ数週間で範囲を拡大しており、カスピ海の石油掘削施設を攻撃したほか、黒海でタンカー3隻へのドローン攻撃を行ったと主張している。
▽プーチン氏、凍結資産巡りEU批判 「主要産油国の外貨準備にリスク」<ロイター日本語版>2025年12月19日午後 8:38 GMT+9

[モスクワ 19日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は19日、世界の主要産油国が欧州連合(EU)内に保有する外貨準備にリスクが及んでいると警告した。
凍結したロシア資産をウクライナ支援に充てる案がEUで議論されたことが背景。 もっと見る
プーチン氏の発言は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など、世界有数の外貨準備保有国を念頭に置いたものだ。
プーチン氏は、ロシア資産の差し押さえを「強盗」と呼び、EU加盟国に重大な結末をもたらすため中止すべきだと主張。
「これは単なるイメージの問題ではない。ユーロ圏に対する信頼を根底から揺るがすものだ。事実として、ロシアだけでなく、何よりも産油国をはじめとする多くの国々がゴールドや外貨準備をユーロ圏に預けている」と述べた。
ロシアのプーチン大統領はこれまでタンカーへの攻撃を海賊行為だと非難し、ウクライナの黒海へのアクセスを遮断すると警告しているが、今回の攻撃に関して新たなコメントは出ていない。
英海事リスク管理グループのバンガードは「対ロ制裁対象の石油輸出網に対して、ウクライナが無人機などの使用を大幅に拡大していることを示している」と指摘した。
▽ウクライナ、GDP連動ワラント再編で合意 債務懸案に一区切り<ロイター日本語版>2025年12月19日午前 10:22 GMT+9

[ロンドン 18日 ロイター] – ウクライナは18日、GDP連動ワラント債の26億ドル規模の債務再編について合意した。債権者の圧倒的多数が債券と現金の交換提案を受け入れ、ウクライナが国家デフォルト(債務不履行)の状態から脱却するための重要な一歩となる。
GDP連動ワラント債が経済成長率が一定水準を超えると返済額が上乗せされる債券。ロシアのクリミア併合後、15年の債務再編の一環として発行された。
ウクライナ政府によると、GDPワラントの保有者の99%が新たな債券と一部現金への交換に賛成。成立に必要な75%を大きく上回った。
同意した保有者は総額35億ドルの新しい「C債」を受け取る。C債は、32年が償還期限で、利率が4%から7.25%へ段階的に引き上げられる仕組み。残りの保有者は30年と34年に償還される既存の「B債」の3500万ドル分が割り当てられる。
ウクライナ政府は、GDP連動型という特殊な構造のために、戦後の急速な復興に伴う経済成長シナリオで41年までに最大200億ドルの支払いが生じる可能性があると試算し、ワラントの廃止を望んでいた。政府は6億0400万ドル分のGDPワラントを買い戻しており、手続きが完了すればこの金融商品は完全に退場する。
22年、ロシアの全面侵攻のために国家債務の不履行に陥ったウクライナは、国債約200億ドルの保有者と24年に再編の合意に達したが、GDPワラントに関する交渉は難航していた。
マルチェンコ財務相は「ワラントの再編完了はウクライナが長期的な債務の持続性を確保し、安全保障状況が改善すればすぐに国際市場へ迅速に復帰するための重要な一歩だ」と述べた。

▽米ウクライナ出資の復興基金、運用方針を承認 来年から案件審査へ<ロイター日本語版>2025年12月19日午前 9:55 GMT+9

[キーウ 18日 ロイター] – 米国とウクライナが共同出資するウクライナ復興に向けた投資基金は18日、運用方針を承認した。基金を監督する米国際開発金融公社(DFC)が発表した。2026年に初投資案件の審査を開始する準備が整った。
基金は両国が4月に署名したウクライナの資源開発を巡る協定に基づいて設立された。
DFCによると、基金の第2回会合で、基金を完全に運用可能な状態にするために欠かせない最終的な合意に達した。重要鉱物の採掘やエネルギー開発のほか、海事インフラなどが投資案件として検討の対象となる可能性があるという。
ウクライナには欧州連合(EU)が防衛、高性能電子機器、グリーンエネルギーなどの産業にとって重要とみなす34種類の鉱物のうち22種類の鉱床が存在する。しかしこうした鉱床の多くはまだ十分に調査が行われておらず、開発には多額の資金が必要となる。秋には米国の代表団が協議のためウクライナを訪れ、有望とみられる幾つかのプロジェクトの現場を視察した。
▽EU首脳、ウクライナ支援へ共同借入合意 ロシア資産凍結は継続へ<ロイター日本語版>2025年12月19日午後 1:36 GMT+9
Lili Bayer, Jan Strupczewski, Ingrid Melander, Andrew Gray, Andreas Rinke

[ブリュッセル 19日 ロイター] – 欧州連合(EU)首脳は19日、ウクライナの対ロシア防衛資金として、凍結されたロシア資産を利用するのではなく、現金を借り入れることを決定した。
EUのコスタ大統領は同日早朝、会見で「本日、ウクライナに900億ユーロを供与する決定を承認した」とし「緊急措置として、EU予算を担保とした融資を実施する」と述べた。
これに先立ち、コスタ氏はソーシャルメディアに「われわれは合意した。2026─27年にウクライナに900億ユーロ(1055億3000万ドル)を支援する決定が承認された」と投稿。
ロイターが確認した首脳会議の結論文案では、EU予算を担保にした資本市場からの借り入れによるとされている。合意はウクライナへの資金拠出を望まないハンガリー、スロバキア、チェコの財政義務には影響しないとしている。
EU首脳は、欧州委員会に対し、凍結されたロシア中央銀行の資産に基づくウクライナ向けの賠償融資に引き続き取り組むよう求めた。ただ、この案は、凍結資産の大半を保管するベルギーが反対しており、現時点では実行不可能との結論に至った。
同文書によると、共同借り入れに基づくウクライナへの融資は、ウクライナがロシアから戦争賠償金を受け取ってから返済される。それまでロシア資産は凍結されたままであり、EUはそれを融資返済に充てる権利を留保する。
ロシア資産を利用する際の最大の難関は、凍結資産の大半を保有するベルギーにロシアの潜在的報復による財政的・法的リスクに対する十分な保証を提供することだった。
共同借入は全会一致を必要とするため困難だった。ロシアと友好的なハンガリーは、ロシア資産利用に反対したように、共同借入にも反対すると述べていた。
しかし、ハンガリー、スロバキア、チェコは、自国に財政的影響が及ばないことを条件に、この計画を容認した。
ドイツのメルツ首相は、EU首脳が全会一致で、ウクライナに900億ユーロの無利子融資を行うことを決定したと発表。「これはウクライナにとって良い知らせであり、ロシアにとっては悪い知らせだ。それがわれわれの狙いだった」と述べた。
ベルギーのデウェーフェル首相は会見で「賠償融資については疑問点があまりに多く、プランBに移らざるを得なかった。理性が勝ったのだ」とし「EUは混乱と分裂を回避し、結束を維持した」と述べた。
EUのある外交官は「ウクライナが2年間資金を確保できるという意味では良いことだ」と述べた。
別の外交官は「少なくとも凍結資産の利用を推進してきた人々の面目を保つことになった」と語った。
