- 片山財務相、過度な変動には断固たる措置-介入は「フリーハンド」
- S&P500種は月間でもプラスに転じる-8カ月連続高の勢い

ニューヨーク外国為替市場では円が対ドルで上昇し、一時1ドル=156円71銭を付けた。片山さつき財務相がブルームバーグの単独インタビューで、市場介入も辞さない姿勢を示したことに反応した。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1205.86 | -4.29 | -0.35% |
| ドル/円 | ¥157.01 | -¥0.74 | -0.47% |
| ユーロ/ドル | $1.1760 | $0.0050 | 0.43% |
| 米東部時間 | 16時35分 |
片山氏は日本銀行の植田和男総裁の19日午後の記者会見後に進んだ円安について、「非常に短い時間での動き。完全にファンダメンタルズではなくて投機だ」と指摘。このような動きに対して、9月の日米財務相共同声明に基づき「断固として措置を取る、アクションを取るということを申し上げている」と語った。
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また為替介入も含めた行動を取れるということは日米財務相間の合意事項であり、「フリーハンドがあるということだ」と説明。年末年始で取引が薄くなる中でも、「常に万全の態勢」が整っているとした。状況はその都度異なるため、介入の手法に定型のパターンはないとも述べた。

片山氏の発言について、TDセキュリティーズのストラテジスト、ジャヤティ・バラドワジ氏は「ドル・円相場の上値を限定する効果にとどまり、円を大きく押し上げる材料にはならない」との見方を示した。
ウェルズ・ファーゴのアループ・チャタジー氏は「為替介入を支持する発言として、明らかに踏み込んだ内容だ」としつつ、「ただそのトーンについては、介入が差し迫っていると見なされる水準にまで強まったとは考えていない」と述べた。
その上で同氏は、「政策対応に踏み切るためには、前提条件としてより急激な円安進行が必要になると考えている」と指摘。「片山氏の発言は、当局が介入する『可能性がある』ことを市場に再認識させるのが狙いだ。日米の合意には無秩序な市場の動きを抑えるための介入を妨げる内容は含まれていない」とした。
またラボバンクのジェーン・フォーリー氏は「祝日で流動性が低くなる局面を利用して財務省が介入に踏み切るのではないかと、トレーダーは神経質になりそうだ」と述べ、市場心理への影響を指摘した。
JPモルガンの為替ストラテジスト、パトリック・ロック氏は「円のショートポジションが積み上がっていない状況を踏まえると、介入の効果は昨年に比べて限定的になる可能性が高い」との分析を示している。
株式
S&P500種株価指数は3営業日続伸。ウォール街で強気のモメンタムが続く中、幅広い銘柄が買われた。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6878.49 | 43.99 | 0.64% |
| ダウ工業株30種平均 | 48362.68 | 227.79 | 0.47% |
| ナスダック総合指数 | 23428.83 | 121.21 | 0.52% |
この日の上昇でS&P500種は月間ベースでもプラスに転じ、このままいけば8カ月続伸と、2018年以来の長期上昇局面となる。指数が最高値に接近する中、この日は約400銘柄が上昇。テスラとエヌビディアが大型株の上げを主導した。

モルガン・スタンレー傘下のEトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏は、ボラティリティーや人工知能(AI)関連取引への懸念はあったものの、今年はテクノロジー株が相場を押し上げてきたと指摘。テクノロジー銘柄は、12月の米株がプラスになるかマイナスになるかを分ける要素になる可能性が高いと分析した。
「サンタクロース・ラリーが実現するのなら、サンタの袋はテクノロジー株に対する前向きなセンチメントで満たされている必要がありそうだ」と述べた。
今年は株式市場にとって好調な1年となっており、投資家がこの前向きなムードを26年まで持ち越せるかが大きな焦点となっている。
株式のポジションは積み上がっており、ファンドマネジャーは現金比率を過去最低水準に維持している。割高なバリュエーションへの懸念より、さらなる上昇への期待が勝っている状況だ。米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策動向も注視されており、市場では来年2回の利下げが織り込まれている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のマイラン理事は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、来年も利下げを続けなければ、リセッション(景気後退)を招くリスクがあるとの考えを示した。
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ネーションワイドのマーク・ハケット氏は「年末に向けて全てが祝祭的な展開になりつつある」と指摘。「今週はテクニカル面での追い風や刺激策への期待、自己成就的な相場観によって押し上げられており、力強い年末と来年の堅調なスタートにつながる状況が整っている」と述べた。
また1950年以降、年末の最後の2週間は例年、最もパフォーマンスが良い時期だと指摘した。
ナベリエ・アンド・アソシエーツのルイス・ナベリエ氏は「トレンドは味方だ。26年は力強いスタートになりそうで、サンタクロース・ラリーの可能性も再び浮上している。そうなれば、年末は最高値で終えることになるだろう」と述べた。

S&P500種の長期的なバリュエーション指標は現在、テクノロジー株に押し上げられる形で過去最高水準にある。この指標は、ドットコム・バブル崩壊前の2000年夏や、金利急上昇を市場が織り込み始めた22年1月など、大幅な低下に先立って見られた過去のピークを上回っている。
ベルウェザー・ウェルスのクラーク・ベリン氏は「2025年は4月に関税を背景とした調整が起きるなど変動の大きい年だったが、26年についてもボラティリティーの懸念が解消されたとは考えていない」と述べた。
ベリン氏は、テクノロジーセクターは調整局面が続くとみる一方、今後数カ月のうちに底を打つと予想する。また、新たなFRB議長の就任まで利下げは見送られると同氏はみているが、その間、追加利下げがなくても株価は上昇し得ると予想した。
国債
米国債は、午後に実施された2年債入札(発行額690億ドル)を消化する中で下落。今週は23日に5年債、24日に7年債の入札が予定されている。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.84% | 1.2 | 0.25% |
| 米10年債利回り | 4.16% | 1.6 | 0.38% |
| 米2年債利回り | 3.50% | 1.9 | 0.55% |
| 米東部時間 | 16時35分 |
アジア時間も、日本国債が幅広く下落した流れを受けて米国債利回りは上昇していた。円安の長期化を抑えるため、日本銀行はより積極的な利上げに踏み切る必要があるとの観測が広がっている。
米国債オプション市場では、今後数週間で米10年債相場が上昇し、利回りが4%に低下する動きに賭けるポジションの積み上げが進んでいる。予想通り4%となれば、11月末以来の水準となる。
米国債市場のボラティリティーはかなり落ち着いた水準にあり、ICE BofA MOVE指数は約4年ぶりの低水準にある。年内に発表される主要経済指標は多くないものの、来月初めに公表される12月の米雇用統計は、米国債を最近のレンジ相場から押し出し、オプションがイン・ザ・マネーに近づくきっかけとなる可能性がある。
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原油
ニューヨーク原油相場は大幅続伸。トランプ米大統領がベネズエラ包囲を強めており、数週間前のタンカー拿捕に加え、週末にはタンカー1隻に乗船したほか、別の1隻を追跡している。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は先週、先々週と週間ベースでの下げが続いていた。米沿岸警備隊は20日早朝、カリブ海で原油タンカーを停止させ、立ち入り検査を行った。タンカーは約200万バレルのベネズエラ産原油を積載していた。制裁対象ではないタンカーが米国の標的とされたのは、これが初めて。米軍は21日、これとは別にベネズエラに向かっていたタンカーを追跡している。
米政府はベネズエラのマドゥロ政権への圧力を強化し、その主要な収入源である原油取引を妨害しようとしている。トランプ政権はベネズエラが違法薬物取引に関与しているとして、外国テロ組織に指定した。ベネズエラはこうした批判を全面的に退け、米国が天然資源を奪おうとしていると主張。ベネズエラは依然として世界最大の原油埋蔵量を抱えているが、その輸出は世界需要の1%も満たしておらず、ほとんどは中国に送られる。

ロシアの原油についても供給リスクが高まった。ウクライナは地中海を航行していたロシアの「影の船団」に、初めて無人機で攻撃を加えた。その前にはカスピ海にあるルクオイルの施設を攻撃している。
原油価格は地政学的要因に下支えされながらも、年初から約2割水準を切り下げた。需要が伸び悩む中で世界的に生産が増えており、供給超過が価格を押し下げている。
ラピダン・エナジー・グループのボブ・マクナリー社長は、ベネズエラ周辺で起きる軍事行動は供給超過の見通しに何ら影響しないと話す。
「しばらく前から顧客には、原油価格の下落傾向を想定するよう伝えてある。6月から見られるように時折は地政学的なニュースで上振れすることもあるが、需給は大幅な供給超過に向かっているからだ」と述べた。「しかしそうした地政学的展開は、生産と流通を実質的に混乱させるには至らないだろう。ショートカバーで1-2ドルほど上昇した後は、じりじりと下げる軌道に戻るはずだ」と続けた。
ブリッジトン・リサーチ・グループのデータによると、トレンド追随型の商品投資顧問業者(CTA)は依然としてブレントとWTIの両方を100%ショートにしている。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は、前営業日比1.35ドル(2.4%)高い1バレル=58.01ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は2.7%上昇の62.07ドル。
金
ニューヨーク金は大幅続伸。スポット価格は銀とともに過去最高値を更新した。地政学的緊張の高まりと、米国で広がる追加利下げ観測が影響した。
金のスポット価格は2%余り上昇し、10月に付けたこれまでの最高値1オンス=4381ドル強を上回った。貴金属は歴史的な1年の締めくくりを迎えつつあり、金と銀はいずれも1979年以来で最大の年間上昇率となる勢いだ。
短期金融市場は2026年に2度の米利下げを織り込んでいる。トランプ米大統領は利下げを強く求めている。金融緩和は利息を生まない金や銀の投資に追い風となる。地政学的緊張も貴金属の安全資産としての魅力を高めている。
ペッパーストーン・グループのストラテジスト、ディリン・ウー氏は「本日の上昇は、米国の利下げ期待に対する早期のポジション調整で、流動性に乏しい年末の市場が動きを増幅させている」と指摘。米国の低調な雇用の伸びと予想以上のインフレ低下で、利下げ回数の増加に説得力が生じていると同氏は述べた。

金の上昇には投資家の存在も大きく、政府債務の膨張で価値が目減りするとの懸念から国債やその国の通貨を回避する「ディベースメント取引」も背景にある。ブルームバーグがまとめたデータによれば、金を裏付けとした上場投資信託(ETF)には4週連続で資金が流入し、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の統計でも、今年は5月を除く全ての月で金ETFの残高は増加した。
金は過熱感やポジションの偏りが意識されて10月のピーク後に一時調整したものの、そこから回復。上昇の勢いは来年に入っても続きそうな様相だ。
ゴールドマン・サックス・グループなど複数の金融機関は来年も金相場の上昇が続くと予想、基本シナリオとして4900ドルへの上昇を見込み、上振れのリスクもあるとした。供給が限られている金の現物を巡って、ETF投資家が中央銀行と競合し始めているとも指摘した。
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ABCリファイナリーのニコラス・フラッペル氏は、相場を動かす主な要因として追加利下げ見通しと「地政学的な懸念、特にウクライナと、最近のトランプ政権による安全保障戦略」を挙げた。また日中の緊張とベネズエラ情勢も金支援の材料になっているという。
スポット相場はニューヨーク時間午後2時10分現在、前営業日比97.47ドル(2.3%)高い1オンス=4436.35ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は82.10ドル(1.9%)高の4469.40ドルで引けた。
原題:Dollar Resumes Losses, Yen Climbs on Verbal Warning: Inside G-10(抜粋)
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