
[ワシントン 22日 ロイター] – トランプ米大統領は、ランドリー・ルイジアナ州知事をグリーンランド特使に任命すると発表した。自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「ジェフ(・ランドリー)はグリーンランドがわれわれの国家安全保障にとっていかに不可欠であるかを理解しており、同盟国や世界の安全、安心、そして存立のために、われわれの国の利益を強力に推進してくれるだろう」と投稿した。
ランドリー氏はXでトランプ氏に感謝の意を表し、「グリーンランドを米国の一部とするためにこうしたボランティアのポジションに奉仕できることは光栄だ。ルイジアナ州知事としての私の地位に影響はない」と述べた。
トランプ氏は安全保障上の理由と鉱物資源への関心を背景に、グリーンランドを米国の一部にすべきだと数年前から何度も発言。ランドリー氏は今年、この考えを称賛した。
これに対し、デンマークのフレデリクセン首相とグリーンランドのニールセン首相は共同声明で「他国を併合することはできない。国際安全保障を理由に議論したとしてもだ」と反発。「グリーンランドはグリーンランドの人々のものであって、米国がグリーンランドを占領することはできない」とした。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長とコスタEU大統領はXへの投稿で、北極圏の安全保障はEUにとり引き続き優先課題と強調。「領土保全と主権は国際法の基本原則であり、EUだけでなく、世界中の国々にとって不可欠」という認識を示した。EUが「デンマークとグリーンランドの人々と完全に連帯している」とも述べた。
デンマークは過去1年間、グリーンランドとの関係の修復に努めるとともに、安全保障の不十分さに関する米国の批判に対処するため北極防衛に投資することでトランプ政権との緊張緩和にも努めてきた。
コペンハーゲン大学のミッケル・ヴェドビー・ラスムセン教授(政治学)は「今回の人事は、デンマークがグリーンランドや北極圏の防衛に投資してきた資金や、米国に対し言ってきた友好的な言葉が、全く効果がなかったことを示している」と語った。
