- 個人消費は3.5%増、予想2.7%増-サービスへの支出が押し上げ
- 企業設備投資は2.8%増、データセンターへの投資は過去最高更新

米経済は7-9月(第3四半期)に2年ぶりの高い成長率を記録した。底堅い個人消費や企業設備投資に加え、貿易政策の落ち着きが寄与した。
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| 米実質国内総生産(GDP)は前期比年率4.3%増加 ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は3.3%増 4-6月(第2四半期)は3.8%増 個人消費は3.5%増 市場予想は2.7%増 4-6月は2.5%増 |
米商務省経済分析局(BEA)は7-9月のGDP速報値を当初10月30日に公表予定だったが、政府閉鎖の影響で発表を見送った。通常は四半期の成長率について3回の推計値を公表し、追加のデータが入るにつれて中身を精緻化していくが、過去最長となった今回の政府閉鎖前の7-9月については2回のみの公表となる。

GDP発表後の米市場では、S&P500種株価指数が午前の早い段階に上昇し、米国債利回りも上昇した。
トランプ大統領が打ち出した関税措置が一部撤回される中、米経済は個人消費が先導する形で年央を通じて勢いを維持したことが、今回のGDPでは示された。
政府機関の閉鎖は10-12月(第4四半期)の成長を圧迫すると見込まれるが、エコノミストは2026年には緩やかに回復すると予想している。家計への税還付や、トランプ氏による包括的な関税措置を連邦最高裁が無効とする可能性があることなどが理由だ。
米連邦準備制度理事会(FRB)の最新の経済見通しも、こうした見方を裏付けている。パウエル議長は来年の成長率が加速するというFRB見通しの根拠として、財政政策の下支えや人工知能(AI)向けデータセンターへの投資、家計消費の持続を挙げた。FRBは今年末までに3会合連続で利下げを実施した後、2026年の利下げは1回にとどまると見込んでいる。
一部のFRB当局者が借り入れコストのさらなる引き下げに慎重な一因は、インフレ率が依然として目標の2%を上回っていることだ。今回のGDP統計によると、FRBが重視するインフレ指標である食品とエネルギーを除く個人消費支出(PCE)コア価格指数は、7-9月期に2.9%上昇した。BEAは10月分および11月分の月次PCE統計について、公表日程をまだ示していない。
ネーションワイドのシニアエコノミスト、ベン・エアーズ氏は、10-12月の個人消費軟化を示す兆候は見られるものの、「経済の下支えは依然として強い」と指摘。「2026年には景気が加速すると楽観している」と述べた。
個人消費
米経済成長の主要な原動力である個人消費の拡大は、医療などサービスへの支出が堅調だったことを反映した。自動車への支出は減少した。
ただし、労働市場の軟化や物価高が2026年には消費者への逆風となり得る。こうした状況を背景に、所得水準による家計消費の格差が一段と鮮明になっている。
企業設備投資は2.8%増。コンピューター機器への支出が引き続き好調だったことが寄与した。AI向けインフラを担うデータセンターへの投資は、過去最高を更新した。
純輸出のGDP成長率への寄与度は約プラス1.6ポイント。今年前半はプラスマイナスに振れる不安定な動きが続いていた。米国で生産されていない財・サービスは、GDP算出からは差し引かれるが、消費されると含まれる。一方、第3四半期は在庫と住宅投資がともに成長の重しとなった。
トランプ氏は「米経済指標の数字が素晴らしいのは関税のおかげだ」と、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
しかし、GDPは前年同期比では2.3%増と、より緩やかな拡大にとどまった。輸入関税の引き上げや根強いインフレの影響を反映した。
今年のGDPデータは貿易と在庫の変動による影響が大きいため、エコノミストは消費需要と企業投資を示す狭義の指標である民間国内最終需要に注目している。この指標は3%増と、1年ぶりの高い伸びを示した。
経済活動の目安となるもう一つの指標、国内総所得(GDI)は2.4%増。4-6月は2.6%増だった。GDPは財・サービスに対する支出を測定するのに対し、GDIは同じ財・サービスの生産に伴って生じる所得と費用を測定する。
GDIデータに含まれる企業利益は4.2%増。今年最大の伸びとなった。利益マージンの指標である粗付加価値(GVA)に占める非金融企業の税引き後利益の比率は今年に入って低下しているものの、1950年代から新型コロナ禍までに見られた水準を依然として大きく上回る。
7-9月GDPで最終となる2回目の推計は、1月22日に公表される。BEAは当初1月29日の予定だった10-12月速報値および2025年通年について、新たな公表日をまだ決めていない。その時点までに「十分な」データがそろわないとしている。
耐久財受注
この日別に発表された10月の米耐久財受注は前月比2.2%減と、市場予想(1.5%減)以上に落ち込んだ。一方、航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は0.5%増と、市場予想(0.3%)を上回る伸び。
またコア資本財の出荷は0.7%増と、こちらも伸びが市場予想(0.3%)を上回った。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Economy Grows at Fastest Pace in Years With 4.3% GDP Gain (2)(抜粋)
