• 円は155円台後半から156円台前半で推移、国債上昇-祝日前で薄商い
  • 原油は小幅安、金は利益確定の売りで4日ぶりに下落
S&P500は最高値を更新
S&P500は最高値を更新Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

Rita Nazareth

24日の米国株は5営業日続伸。クリスマスを翌日に控え比較的静かな取引となる中、S&P500種株価指数は再び最高値を更新した。雇用市場が急速には悪化していない兆候が新たに示され、景気がソフトランディングするとの見方を後押しする格好となった。米国株は、米東部時間午後1時までの短縮取引だった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6932.0522.260.32%
ダウ工業株30種平均48731.16288.750.60%
ナスダック総合指数23613.3151.470.22%

  サンタクロース・ラリーへの期待が広がる中、その期間の初日でS&P500は上昇。サンタクロース・ラリーの期間は、年末最後の5営業日と年初の2営業日を指すことが多い。

  落ち着いた値動きは、年初に関税を巡る混乱で株価指数が弱気相場入り寸前まで追い込まれた際の激しい変動とは対照的だ。それ以降に株価は大きく上昇。下落局面では記録的な速さで押し目買いが入り、FOMO(乗り遅れることへの不安)が市場心理を支配した。

  年末にかけて人工知能(AI)を巡る過度な楽観が疑問視され、力強い上昇は一時的に足踏みしたものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)が2026年に追加利下げを行う余地があるとの見方が、米企業利益に対する楽観を支え続けた。

  UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブチャディ氏は今週、「投資家は株式相場のさらなる上昇を見据えたポジションを取るべきだと考えている」と指摘。「米国株に関して魅力的との評価を維持している。テクノロジー、ヘルスケア、公益事業、金融といった分野に有望な投資機会があり、それが一段高に向けた基盤を広げるはずだ」と述べた。

  トレーダーらは最新の経済指標を精査する中で、来年に0.25ポイントの利下げが2回あるとの見方を維持している。これは当局者の予測中央値より1回多い。

  先週の米新規失業保険申請件数は減少した。例年この時期はホリデーシーズンでデータが振れやすくなる。今回の統計は、レイオフが比較的低水準にとどまっている現状と整合的だ。

関連記事:米新規失業保険申請、1万件減少-ホリデーシーズンで振れやすく (2)

  プリンシパル・アセット・マネジメントのマグダレナ・オカンポ氏は今週、「現時点では来年2回の利下げを予想しており、上期に実施される可能性が高いとみている。失業率が急上昇しない限り、底堅い経済、インフレ鈍化、そして政策緩和が来年のリスク資産を支えるだろう」と予想した。

  シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)は今年の最低水準を付けた。個別銘柄ではインテルが下落。エヌビディアが先端半導体の製造にインテルの生産プロセスを用いる試験を中止したとする報道が、売り材料視された。ナイキは約5%上昇。

  グラナイト・ベイ・ウェルス・マネジメントのポール・スタンリー氏は「株式市場はここ数週間の不安定な展開を経て、12月の月間ペースでようやくプラスになり始めた。年末の数営業日に起きると見込まれる、例年通りのサンタクロース・ラリーにちょうど間に合った格好だ」と述べた。

  S&P500が年間ベースで3年連続の2桁上昇に向かう中、テクノロジー株の高いバリュエーションやAI投資の野心的な計画への懸念を背景に、市場のけん引役が交代するのではないかとの疑問が浮上している。

  インベスコのブライアン・レビット氏は「投資家は『マグニフィセント・セブン』を一体の存在として捉え、常に同じ動きをし、市場全体の成否がその主導力にかかっていると考えがちだ」としつつ、「主要指数に占めるウエートが極めて大きいことを考えれば理解できる見方だが、現実を単純化し過ぎている」と付け加えた。

  実際には、そうした見方は数字と一致していないとレビット氏は指摘する。こうした大型株の大半は今年、S&P500を下回るパフォーマンスにとどまっている。

  前述のスタンリー氏は、「テクノロジー株のバリュエーションは高いが、マグニフィセント・セブンの一部銘柄は今年、S&P500を下回っている。これは、なお上昇余地があり、全てのテクノロジー株が行き過ぎた、あるいは楽観に基づく評価で取引されているわけではないことを示唆している」と語った。

国債

  米東部時間午後2時までの短縮取引となるなか、国債相場は上昇(利回り低下)。10年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.13%となった。

  この日実施された7年債入札(発行額440億ドル)では、堅調な需要が見られた。最高落札利回りが3.930%、応札倍率は2.51倍だった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.79%-3.0-0.63%
米10年債利回り4.13%-2.9-0.70%
米2年債利回り3.50%-3.1-0.87%
米東部時間14時22分

為替

  ニューヨーク外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル・スポット指数が3日続落。クリスマスを控え、総じて静かな取引となった。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1200.68-1.21-0.10%
ドル/円¥155.96-¥0.27-0.17%
ユーロ/ドル$1.1778-$0.0017-0.14%
米東部時間16時04分

  円は対ドルで堅調。155円台後半から156円台前半で推移した。片山さつき財務相が、為替の行き過ぎた動きには「フリーハンド」で対応するとの姿勢を示した後、ドルには下押し圧力がかかっている。

原油

  ニューヨーク原油相場は小幅安。薄商いの中、前日終値を挟んで方向感に欠ける動きとなった。地政学的緊張の高まりと世界的な供給過剰見通しという今年の2つの要因を、市場関係者は引き続き見極めようとしている。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は6営業日ぶりに下落。トランプ政権がベネズエラへの圧力を強める中、同国に絡んだ供給混乱の兆しがないかを注視する展開が続いている。

  BOKファイナンシャル・セキュリティーズのトレーディング担当シニアバイスプレジデント、デニス・キスラー氏はベネズエラ情勢について「祝日を挟む週末にかけて最大の焦点だ」と指摘。

  ベネズエラへの制裁や同国に寄港する石油タンカーの取り締まりなどは「世界の供給を減らすことはないが、遅らせる可能性はあり、相場は強気に傾きやすい」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は、前日比3セント安の1バレル=58.35ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は14セント下落し、62.24ドルで引けた。

  クリスマスイブのこの日は取引が通常より早く終了。25日は祝日のため休場となる。

  金スポット価格は小幅安。前日まで3営業日続伸していたことで利益確定の動きが広がった。アジア時間には史上初めて1オンス=4500ドル台に乗せ、4525.77ドルの最高値を記録した。

  ニューヨーク時間の午前には、薄商いの中で0.8%下げる場面もあった。

  年末が近づく中、一部のトレーダーは利益確定に動き始めている。それでもスポット価格の年初からの上昇率は約70%に上る。

  テクニカル指標もこの日の売りの根拠。相対力指数(RSI、14日間)は買われ過ぎを通常示唆する水準に達した。相場が一服あるいは下落する可能性が意識された。

  金はこのままいけば、1979年以降で最高の年間パフォーマンスを記録する。中央銀行による旺盛な買い入れや上場投資信託(ETF)への資金流入によって値上がりが支えられている。

  スポット相場は前日比5.05ドル(0.1%)安い1オンス=4479.42ドルで終了。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は2.90ドル(0.1%未満)安の4502.80ドルで引けた。

原題:S&P 500 Closes at Record in Pre-Christmas Session: Markets Wrap(抜粋)

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