▽122兆円の来年度予算案が閣議決定…過去最大の社会保障関係費・防衛費、「責任ある積極財政」路線鮮明に<読売新聞オンライン>2025/12/26 10:23
政府は26日、一般会計総額が122兆3092億円となる2026年度予算案を閣議決定した。25年度当初予算から7兆1114億円増え、2年連続で過去最大を更新した。税収も過去最高を見込むが、財源不足を国債発行で埋める苦しい財政運営が続いている。
首相官邸
一般会計の総額が120兆円を超えるのは初めて。前年度からの増加額は23年度(6兆7848億円)を上回り、過去最大となる。各省庁からの概算要求総額(122兆4454億円)を大枠で維持する予算編成で、高市内閣の「責任ある積極財政」路線が鮮明となった。
歳出では、社会保障関係費で過去最大の39兆559億円を計上した。高額療養費制度見直しなどの制度改革で計1500億円程度を圧縮したが、医療従事者の賃上げなどを図る診療報酬のプラス改定などに伴い7621億円増えた。
米軍再編関係費などを含む防衛費も3349億円増の9兆353億円で過去最大を更新した。政府は防衛力整備計画で23年度から5年間の防衛費の総額を約43兆円とする方針を示しており、4年目となる26年度は対象経費として8兆8093億円を計上した。
地方自治体の財源となる地方交付税交付金等は20兆8778億円を計上した。自動車の購入時に課税する「環境性能割」の廃止などに伴い、地方税収の減少分を交付金で手当てする。
高校授業料無償化の拡充や小学校の給食無償化などでは、国の負担分として約3700億円を積み増した。
国の借金の償還や利払いに充てる国債費は前年度比3兆579億円増の31兆2758億円で、初めて30兆円を超えた。債券市場の動きを受けて想定金利を25年度の年2・0%から年3・0%に引き上げたため、利払い費が2・5兆円増えて13兆円に膨らむ。
歳入は、税収が7年連続の過去最高となる83兆7350億円と見積もった。物価高や好調な企業業績を背景に、所得税、法人税、消費税の基幹3税でいずれも大幅増を見込む。
新規国債発行額は29兆5840億円で、前年度から9369億円増えた。内訳は公共事業費などの財源となる建設国債が6兆7160億円、赤字国債が22兆8680億円。歳入に占める新規国債発行の割合を示す公債依存度は24・2%だった。27年ぶりに30%を下回った25年度(24・9%)をさらに下回った。
政府は26年1月に召集される通常国会に予算案を提出し、3月末までの成立を目指す。
▽高市首相、3月の初訪米を模索…「台湾有事」発言踏まえトランプ氏と日米連携など確認<読売新聞オンライン>2025/12/26 05:00
日米両政府は、高市首相が来年早期に就任後初めて訪米し、トランプ大統領と会談する方向で調整に入った。日本側は3月の実現を模索している。首相の台湾有事を巡る国会答弁を機に日中関係が悪化する中、日米同盟の深化や日米の緊密な連携を確認する見通しだ。
アメリカのトランプ大統領(左)と握手する高市首相
複数の日本政府関係者が明らかにした。首相は25日、東京都内で開かれた講演で「できるだけ早期に(トランプ氏に)お目にかかりたいということで、いま調整している。来年の割と早い時期かなと想像している」と語った。
トランプ氏は来年4月に訪中して米中首脳会談に臨む予定だ。中国側が日本との関係を議題にする可能性があるため、その前に日中関係を巡る日本政府の立場についてトランプ氏の理解を得たい考えだ。
首相は講演で対中外交についても「首脳間を含め、あらゆるレベルで意思疎通が重要だ」と述べ、対話に意欲を示した。
政府は、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、来年末までに国家安全保障戦略など安保3文書を改定する方針だ。会談が実現すれば、首相は文書改定を通じて、さらなる防衛力の強化を目指す方針も伝えるとみられる。米国による関税措置を巡る日米合意の着実な履行も確認する見通しだ。


