- 米国債相場は反発、ISM指数が予想を下回り-原油と金も上昇
- ドル指数は下げに転じる、対円でドルは一時156円12銭に下落

Ira Iosebashvili、Julien Ponthus、Andre Janse Van Vuuren
5日の米株式相場は上昇。ベネズエラのマドゥロ大統領の排除により地政学的リスクへの懸念が高まる中でも、テクノロジー株を中心に買いが集まった。原油と金の価格もともに上昇した。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6902.05 | 43.58 | 0.64% |
| ダウ工業株30種平均 | 48977.18 | 594.79 | 1.23% |
| ナスダック総合指数 | 23395.82 | 160.19 | 0.69% |
エネルギー関連株や金融株主導でS&P500種株価指数が上昇。ダウ工業株30種平均は過去最高値を更新した。
ウェストウッドの最高投資責任者(CIO)、エイドリアン・ヘルファート氏は「株式市場に対する強気の見方は依然として揺らいでいない」と述べた。その上で、「地政学的リスクが連鎖的に広がらない限り、ベネズエラ情勢を完全に無視して進む可能性が高い」と話した。

キャピタル・エコノミクスのアジア太平洋市場統括責任者、トマス・マシューズ氏は「米軍によるベネズエラのマドゥロ大統領の拘束が大きな注目を集めているが、金融市場は冷静な反応を示しているようだ」と語った。ただ、「地政学的な影響は無視できず、一部の地域資産にはリスクプレミアムが高止まりする可能性がある」と指摘した。
アジア市場でも大型テクノロジー株の好調なムードが広がり、地域の株価指数は過去最高値を更新した。米国市場では、パソコンの中核となるプロセッサー市場への展開を拡大すると発表したクアルコムの株が上昇した。
サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏はブルームバーグテレビジョンで、人工知能(AI)が「今の市場で最も支配的な要因であるのは間違いない」と述べた。「テクノロジーに対する楽観が、他のあらゆる材料をしのぎ続けている」とも語った。

ベネズエラのロドリゲス暫定大統領は4日、米政府に対し、協調アジェンダ(政策課題)への協力を呼び掛けた。米軍によるベネズエラ攻撃を当初は非難し、拘束されたマドゥロ大統領の復帰を求めていたが、融和的トーンに転換した。
関連記事:ベネズエラ暫定大統領、米に融和姿勢-協調アジェンダに協力呼び掛け
アレックス・ソーンダース氏らシティのストラテジストは「ベネズエラの政治的変革は早急には実現しないだろう」と指摘。「米国の関与は、即時の政治改革を求めてのものというよりも、戦略的利益を優先した判断によって動かされている」と分析した。
米国債
米国債相場は反発。ISM製造業総合景況指数が予想を下回ったことを受け、米国債は上昇した。今後数週間で10年債利回りが4%を下回るとの見方に基づく強気のオプション買いも膨らみ、上げが加速した。
関連記事:米ISM製造業指数は約1年ぶり低水準、10カ月連続で縮小-不振続く (3)
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.83% | -3.6 | -0.74% |
| 米10年債利回り | 4.15% | -4.3 | -1.03% |
| 米2年債利回り | 3.45% | -2.7 | -0.77% |
| 米東部時間 | 16時15分 |
週末に米国がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したとの報道を受けて利回りは低下したが、原油価格が上昇に転じたことで利回りはいったん持ち直していた。
この日は新規の社債発行が急増し、投資資金の取り合いとなった影響もあって、取引は不安定な展開となった。一方で、10年債利回りが数週間以内に4%を下回るとの見方に基づくオプション取引が活発化した。4%を割れれば、昨年11月以来となる。
ナティクシス・ノースアメリカの米金利戦略責任者、ジョン・ブリッグス氏は、ISM指数に対する「反応は限定的だったが、適切な対応だ」と述べた。「年が明けたばかりで、ベネズエラ情勢もある中で、市場参加者が過度にリスクを取ることに慎重になるのは当然だ」と語った。
同氏はまた、より重要なのは12月の雇用統計だと指摘。「これは久しぶりに純粋な雇用データになる」と述べた。米政府が10月1日から11月12日まで約6週間にわたって閉鎖されていた影響で、9-11月の雇用統計は発表が遅れていた。

外為
外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル指数が小幅安。米国によるベネズエラ空爆とマドゥロ大統領の拘束を受けて上昇したが、予想を下回る米製造業指標が重しとなり、下げに転じた。ドルは対円でも下げに転じ、一時は156円12銭まで下げた。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1203.10 | -1.36 | -0.11% |
| ドル/円 | ¥156.38 | -¥0.46 | -0.29% |
| ユーロ/ドル | $1.1725 | $0.0006 | 0.05% |
| 米東部時間 | 16時15分 |
ドル指数は一時、0.4%上昇して2週間ぶりの高水準に達する場面もあった。ベネズエラに対する行動の特に原油や金属市場への影響を見極める中で、ドル買いが優勢になった。
マッコーリーのグローバル為替・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は「ドルへの影響は、この作戦の『成功』次第だ」と指摘。「過去の例を見ると、米国の対外介入が成功した場合、ドルは上昇する傾向にある」と述べた。

原油
ニューヨーク原油相場は反発。ベネズエラ情勢は地政学リスクに新たな潮流をもたらした。石油輸出国機構(OPEC)加盟国であるベネズエラからの原油輸出を阻止すべく、トランプ政権は海上封鎖を継続する構えだ。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は、1バレル=58ドル台で引けた。米政府はベネズエラ産原油の供給抑制措置を継続するものの、これが世界市場に占める比率は低く、価格はすでに供給のだぶつきに上昇を抑えられている。
ラピダン・エナジー・グループのボブ・マクナリー社長は「市場の解釈は正しい」と話す。「原油先物の短期的な動向には何ら影響しない一方、米石油企業やオイルメジャーには新たな追い風が吹く」と述べた。
ベネズエラと同国石油セクターの未来はいまだに不透明だが、トランプ米大統領は米国が一時的に同国を「運営」し、ベネズエラの石油供給に対する「完全なアクセス」が必要だと述べている。5日のCBS報道によれば、米国はベネズエラ産原油を積載しているとして、タンカー「マリネラ」(旧名ベラ1号)を拿捕(だほ)する計画だ。一方、ニューヨークに移送されたマドゥロ大統領はこの日出廷し、麻薬テロ関連の罪状について無罪を主張した。
関連記事:トランプ氏の大ばくち、ベネズエラ石油復興は1000億ドルのリスク案件
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「一連の出来事で地政学リスクは一段と熱を帯びた」と話す。「短期的にベネズエラ産原油の供給が減少する可能性には、原油市場の反応は鈍い。一方、米国の行動に対しロシアや中国、イランから連鎖的な影響が生じる可能性には強く反応している」と解説した。
OPECと非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は、4日のオンライン会合で、1-3月(第1四半期)の増産を計画通りに見送り、現行の生産水準を維持することを決めた。会合ではベネズエラに関する議論はなかった。複数の参加国代表者は、マドゥロ氏拘束を受けて直ちに供給量を調整するのは時期尚早だと述べた。
関連記事:OPECプラス、現行の生産水準維持を決定-ベネズエラ情勢など見極め
ベネズエラ以外では、イスラエル軍がイスラム組織ハマスとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラを攻撃する意向を表明。もろい和平合意枠組みが試される可能性がある。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は、前営業日比1ドル(1.7%)高い1バレル=58.32ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は1.7%上昇の61.76ドル。
金
金相場は銀とともに上昇。米国がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したことを受け、地政学リスクが高まった。
金スポット価格は一時2.9%上昇し、1オンス=4455ドルを上回った。トランプ米大統領は週末にマドゥロ大統領夫妻を拘束した後、米国がベネズエラを「運営」すると表明。石油資源を含むベネズエラへの「全面的なアクセス」が必要だとも語った。
オーバーシー・チャイニーズ銀行のアナリスト、クリストファー・ウォン氏は、今回の事態が「地政学的な不確実性という背景を改めて強めた」と指摘。ただ、目先のリスクは限定的との見方を示し、「ベネズエラ情勢は長期的な軍事衝突よりも比較的早期の収束に向かう可能性が高い」と述べた。

ベネズエラ情勢に加え、トランプ大統領は週末、グリーンランド領有への野心をあらためて強調した。グリーンランドは北大西洋条約機構(NATO)加盟国でデンマークの自治領。
デンマークのフレデリクセン首相は、米国にはその権利がないと述べ、トランプ大統領がグリーンランドを攻撃すれば、NATOの終焉(しゅうえん)を意味すると警告した。
ブルームバーグ「マーケッツ・ライブ」のマクロストラテジスト、タティアナ・ダリー氏は「地政学的なリスクが高まり、昨年末に始まった貴金属投機の熱狂があらためて盛り上がり、ボラティリティー(変動率)上昇の可能性を高めている」と述べた。
金相場は昨年、1979年以来の年間上昇率を記録し、最高値を更新。中央銀行による買い入れや、金を裏づけとする上場投資信託(ETF)への資金流入、3会合連続の米利下げが追い風となった。
金スポット相場はニューヨーク時間午後2時11分現在、前営業日比107.27ドル(2.5%)高の1オンス4439.56ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は同121.90ドル(2.8%)高の4451.50ドルで終了。銀スポット価格は4.3%上昇の75.87ドル。
原題:Stocks Rise as Traders Sanguine on Maduro Ouster: Markets Wrap(抜粋)
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