トランプ大統領が3日未明、南米ベネズエラに対して特別軍事作戦を展開。マドゥロ大統領夫妻を拘束、米国に連行して裁判を受けさせるという異常事態となった。電撃的なベネズエラへ攻撃によって幕を開けた2026年、トランプ大統領はこれみよがしに「グリーンランドは絶対必要だ」と、デンマークに挑戦状を突きつけた。まるで「言うことを聞かないとマドゥロのようになる」とデンマークのフレデリクセン首相を恫喝しているようだ。トランプ劇場のなんと破廉恥なことか。と同時にこの事件に対する世界各国首脳の反応を見ていると、地球がロシアと中国に代表される強権独裁国家と西側陣営に分断されている現実が浮かび上がってくる。トランプ氏の米国に強烈に反発する強権国家に対して、西側陣営の首脳たちは言葉を選びながら民主主義の必要性を強調する。強権国家の強圧的な団結力に比べると、西側首脳陣の曖昧さが一際目立つ。そのトランプ氏はウクライナ戦争ではプーチンの言いなりだ。こうなるとAmerica Firstは是か非か、改めて問われているような気がする。

南米に位置するベネズエラ。日本から遠く離れた異国の実態を理解するのは簡単ではない。石油の埋蔵量は世界一。だが、生産量は世界のわずか1%程度。これだけのことが起こっても、世界の金融市場は微動だにしない。ベネズエラはチャベス前大統領時代に反米路線に転換、「貧者の救済」を掲げて石油会社を国有化した。米石油資本によって成り立っていた石油産業は、国有化した途端に壊滅的な打撃を受ける。国有化の失敗で国民はハイパーインフレと高い失業率に見舞われ、国外に逃亡する国民が後をたたず、国家としては衰退の一途をたどる。それでも政権は大統領の独裁化のもとに強権化、国民の支持を失った後も独裁国家として生き延びる。チャベスの後を受けたマドゥロも反米と独裁政治を引き継いだ。そんなベネズエラにトランプ大統領は一撃を加える。一夜にして大統領夫妻は拘束され、米国に連行される。中国は3日遅く、「深い衝撃」を受けたと表明した。

「主権国家の大統領に対する露骨な武力行使」を強く非難し、米国の「覇権的行為」と断じている。ロシア外務省は声明で「深い懸念と非難」を表明。ベネズエラの主権侵害であると断定している。ウクライナに侵略したロシアに「主権侵害」などと米国を非難する資格があるのか、自問すべきだろう。これに対して西側陣営はEUのカラス外交安全保障上級代表が、マドゥロ氏の「正当性の欠如」を指摘しつつ、事態のエスカレーションを避けた「平和的な移行」を求めている。英国のスターマー首相は「事実を確認する」姿勢を示し、高市総理は4日になって、関係国と緊密に連携する方針をSNSで表明した。西側は戸惑いとトランプ支持の間で揺れている。ベネズエラ最高裁から次期暫定大統領に指名されたロドリゲス副大統領は、当初米国を強烈に非難していたが翌日にはトランプ政権との協調路線に転換するなど、態度を急変させている。昨年の大統領選挙に出馬したマチャド氏をトランプ政権は支持しないとしている。ベネズエラも世界も一寸先は闇だ。