• ロドリゲス氏、国際制裁や経済的圧力の中で石油産業を仕切ってきた
  • ロドリゲス氏と共に働いてきた人々は彼女の長時間労働ぶりを語る
ベネズエラ暫定大統領に就任したデルシー・ロドリゲス氏
ベネズエラ暫定大統領に就任したデルシー・ロドリゲス氏Photographer: Gaby Oraa/Bloomberg

Patricia GaripBen BartensteinEric Martin

トランプ米政権がベネズエラのマドゥロ大統領の権力基盤を揺さぶっていた昨年、石油業界に関係する経営幹部や弁護士、投資家らが政権高官や議会の補佐官に自らの主張を訴えて回った。

  ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領(当時)がマドゥロ氏の後継にふさわしいという考えだ。

  石油相を兼任するロドリゲス氏(56)は、国際制裁や経済的圧力の中でベネズエラの石油産業を仕切ってきた。その実績から、長年にわたり業界幹部から窓口役と見なされていた。

  経営幹部やロビイストらは同氏について、マドゥロ氏への忠誠はともかく、米国が描く、ベネズエラをかつての産油国としての栄光に戻す計画を主導できる最適な人物だと主張している。

  関係者によると、トランプ米大統領の側近グループも同じ結論に達していたが、そうした判断は独自に行われたものだという。

  石油業界の関係者もトランプ氏の側近も、官民の橋渡し役として長く見られてきたロドリゲス氏が、反体制派の有力指導者マリア・コリナ・マチャド氏よりも速やかに石油頼みのベネズエラ経済を安定させ、米企業の事業を促進できると考えていたと関係者は語った。

  トランプ政権の当局者が意識していたのは、サダム・フセイン失脚後のイラクで生じた混乱だ。ビジネス上の利害はさておき、一定の事業継続性を維持することが、移行を成功させる鍵になる。

  だが、成功した移行とはどのようなものか、トランプ政権としてもまだ定義できていない。関係者によれば、ロドリゲス氏を推す動きに米国の大手石油会社は直接含まれていなかった。大手各社はマドゥロ氏の排除に驚き、米政府と今後どう連携するかを急いで見極めているさなかだという。  

Trump Snatches Maduro But Leaves His Regime In Charge For Now
ニューヨーク市ブルックリンにあるメトロポリタン拘置センター付近で取材するメディア関係者。ここにはマドゥロ氏が収容されている(1月4日)Photographer: Christian Monterrosa/Bloomberg

  ただ、長年ベネズエラで事業を展開してきた米国および国際企業は、石油業界以外にも広がっており、その多くがホワイトハウスや連邦議会に人脈を持つと、関係者は話した。

  ベネズエラで操業を許可されている唯一の米石油大手、シェブロンの広報担当者は、トランプ政権がベネズエラで実施した軍事作戦について「事前の通知は一切なく、マドゥロ体制後のベネズエラ統治に関して政権当局者といかなる協議も行っていない」と述べた。また、ベネズエラ事業の中断なく、法規制を全面的に順守して継続しているとも説明した。

  ロドリゲス氏は5日、ベネズエラ国会で宣誓し、暫定大統領に就任した。

政治キャリア

  トランプ氏は3日の記者会見で、当面のベネズエラ指導者としてロドリゲス氏を支持すると表明した。ノーベル平和賞を昨年受賞したマチャド氏については、国家を率いる資質を欠いていると述べ、同氏と国内外で彼女に希望を託してきた反体制派に衝撃を与えた。

  ホワイトハウスは、ベネズエラ政策で重要な役割を担うルビオ国務長官が4日に行った発言以上のコメントを控えた。ルビオ氏は、米国は石油封鎖と地域的な軍事プレゼンスを活用して政策目標を推進すると述べたほか、ロドリゲス氏の発する言葉よりも行動を注視すると語った。

  ベネズエラ国債の債権者委員会メンバー、グレイロック・キャピタル・マネジメントのハンス・ヒュームズ最高経営責任者(CEO)は5日、ブルームバーグテレビジョンの番組に出演し、ロドリゲス氏に触れながら「そこそこ許容できる環境で動ける人材が欲しいなら、最悪の環境で動いてきた人物を起用すべきだ」と述べた。

  ヒュームズ氏はまた、トランプ氏が大きな賭けに出ており、成功すれば「世界のエネルギー構図全体を再編する」可能性があるとの見方も示した。

  マドゥロ氏側近グループの中核に位置してきたロドリゲス氏は、外相を含む複数の要職を歴任。国際的な橋渡し役を務め、2024年に石油相に任命された。国営ベネズエラ石油(PDVSA)を監督し、汚職の一掃と肥大化したバランスシートの透明化を担った。

  卓球の名手としても知られ、国際的な石油会社のヒューストンやムンバイにいる上級幹部から定期的に電話を受けるほか、中国やロシアとも長期的な関係を築き、北京やモスクワを政府専用機で訪問している。

Swearing In Ceremony For Venezuela's Constituent Assembly
ロドリゲス氏(カラカス、2017年)Source: Bloomberg

  ロドリゲス氏は、ベネズエラ中央大学で法学を修めた後、13年に死去するまで大統領を務めたウゴ・チャベス氏の下で政治キャリアを開始した。

  父のホルヘ・アントニオ・ロドリゲス氏は、1960-70年代の著名な左派活動家で、マルクス主義政党の創設者だった。父親は76年、国家治安部隊による獄中拷問の末に死亡。娘のロドリゲス氏のキャリアを形作る決定的な出来事となった。 

  ロドリゲス氏と共に働いてきた人々は、同氏の長時間労働ぶりをよく口にする。マドゥロ氏は最近、ロドリゲス氏が深夜から早朝にかけてもメッセージに応答していたと語っていた。

  関係者の1人によると、マドゥロ氏拘束の数週間前に金融アドバイザーらと行った会合で、ロドリゲス氏はベネズエラの債務の状況や、米石油大手との関係を含む国際金融問題に強い関心を示していた。

Easing Sanctions Open Doors for Venezuelan Oil Deals
PDVSAの油井(ベネズエラ西部)Photographer: Bloomberg

原題:Venezuela’s New Leader Is Who Global Oil Wanted All Along (抜粋)