• 米国債利回り上昇、ドル指数は2週間ぶりの高値-円は一時157円07銭
  • NY原油先物が急反発、ベネズエラやイランなど地政学リスクを意識
S&P500種株価指数ほぼ変わらず
S&P500種株価指数ほぼ変わらずPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

Cristin FlanaganLu Wang (News)

8日の米株式市場では、S&P500種株価指数がほぼ変わらず。昨年の勝ち組であるハイテク株が売られる一方、エネルギー関連や消費関連、小型株に資金が流入した。世界的な債券高の流れも一服した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6921.460.530.01%
ダウ工業株30種平均49266.11270.030.55%
ナスダック総合指数23480.02-104.26-0.44%

  ナスダック100指数は4日ぶりに下落。エヌビディアやアップルといったハイテク大手が下げを主導した。一方、防衛関連株はトランプ大統領による国防費拡大方針を背景に上昇。大型テクノロジー株が物色対象から外れる中、小型株で構成するラッセル2000指数は過去最高値を更新した。

  2026年の最初の数営業日では、上昇銘柄の裾野が大きく広がる展開となっている。大型テクノロジー株の支配力が緩み、通常は景気拡大局面で買われやすい業種が先行して上昇した。こうした動きは、異例ともいえるほど大きなローテーションとなっている。ラッセル2000は2026年の最初の5営業日でナスダック100指数を上昇率で約4ポイント上回り、年初としては過去2番目の好パフォーマンスとなっている。

  ロイス・インベストメント・パートナーズの共同最高投資責任者(CIO)、フランシス・ギャノン氏によると、小型株企業の利益成長は、数年間にわたる低調な業績を経て、大型株を上回るペースになる見通しだという。

  ギャノン氏は「小型株には相対的な割安感という材料があり、利益面でも優位性がある」と述べ、「長らく敬遠されてきた分、これからは小型株にとって長い上昇サイクルの始まりとなるだろう」と語った。

  ロッキード・マーチンやクラトス・ディフェンス・アンド・セキュリティ・ソリューションズなどの銘柄が上昇した。トランプ大統領が2027年度の国防費を1兆5000億ドルに引き上げる方針を示したことが背景にある。

  エバーコアISIのサラ・ビアンキ氏は「これは歳出を巡る議会での討議の方向性を形づくるために掲げた野心的な目標だと見ている」と述べたうえで、「この規模の資金を議会の承認なしに動かすのは、たとえ今回の政権であっても極めて困難だろう」と語った。

  JPモルガン・プライベート・バンクの欧州・中東・アフリカ(EMEA)株式戦略責任者、ナタリア・リピヒナ氏は「ここ数日間の上昇を受けて、利益確定がやや出ているが、地政学的リスクは依然としてかなり高い」と指摘。「市場は今、本格化する決算シーズンに向けてポジションを取り始めている」と語った。

  サクソー・マーケッツのチーフ投資戦略責任者、チャル・チャナナ氏は「市場は2026年の力強い滑り出しの後で一息ついており、9日の米雇用統計を前に新たなリスクを取りたがる投資家はいない」と述べた。「米金融政策を巡る議論はまだ決着しておらず、地域の安全保障に関する報道も投資家を慎重姿勢にさせている」と語った。

米国債

  米国債相場は下落。9日に発表される12月の雇用統計や、米財政の改善に寄与してきた関税を最高裁が無効と判断する可能性を見据える動きが広がった。

  10年債利回りは一時4.18%に上昇。12月の米国企業による解雇計画は2024年7月以来の低水準となった。新規失業保険申請件数も、市場予想ほどは増加しなかった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.83%0.30.06%
米10年債利回り4.16%1.60.38%
米2年債利回り3.48%1.50.42%
米東部時間16時43分

  労働生産性が改善したほか、新規失業保険申請件数が最近の低水準付近にとどまり、原油価格が3営業日ぶりに上昇したことなども背景にある。

  ナットアライアンス・セキュリティーズのアンドリュー・ブレナー氏は顧客向けリポートで米国債には強い買い支えが見られるため、雇用統計が強くても売りは限定的だろうとし、関税を巡る判決次第では「金利はどちらにも振れる可能性がある」と述べた。

  12月の雇用統計は、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ見通しに影響を与える可能性がある。昨年、労働市場の弱さを示す兆候を受けてFOMCは利下げを3回実施したが、足元では一部の当局者がインフレリスクを理由に利下げの停止を示唆している。短期金融市場では、28日の次回FOMC会合での政策変更の可能性は極めて低いとみられている。年内の利下げは2回分が織り込まれている。

外為

  外国為替市場では、ブルームバーグのドル指数が2週間ぶりの高値を付けた。米労働市場の堅調な指標を受けて、今後数カ月の米利下げ観測が後退し、米国債利回りが上昇。これを背景にドル買いが優勢になった。

  ドルは対円で一時、157円07銭まで上昇した。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1209.231.950.16%
ドル/円¥156.84¥0.080.05%
ユーロ/ドル$1.1660-$0.0015-0.13%
米東部時間16時43分

  シティのジゼラ・ヤング、アンドリュー・ホレンホースト両氏は統計発表後のリポートで「ここ数週間の新規失業保険申請件数のデータは、祝日を挟んだ週の変動の影響でやや読みづらくなっているが、全体としてはレイオフが懸念されるほど増えている兆しは見られない」と記した。

原油

  ニューヨーク原油相場は急反発。地政学リスクが価格のプレミアムにつながる可能性に神経を尖(とが)らせながら、トランプ政権によるベネズエラ原油のコントロールを見極める展開となった。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は1バレル=58ドルに接近して引け、前日まで2営業日での下げをほぼ帳消しにした。

  トランプ米大統領はデモが拡大するイランに触れ、政府がデモ隊を殺害すれば「強力な」打撃を同国に与えると脅した。原油市場は供給超過を想定していたため、イラン産原油の供給が途絶えれば予想外のハードルとなり得る。

  商品インデックスの年次リバランスで今後数日中に原油へのマネー環流が予想されていることも、原油の強気センチメントを高めた。

  ライト米エネルギー長官は7日、トランプ政権がベネズエラ産原油の販売を管理する計画で、まずは滞留している在庫を市場に出していくと述べた。エネルギー省はベネズエラ産原油はすでに市場で販売されていると明らかにした。

  ベネズエラ国営石油・ガス会社のペトロレオス・デ・ベネズエラ(PDVSA)は、シェブロンとの間で取り決めたような枠組みに基づく原油販売を、トランプ政権と交渉していることを明らかにした。シェブロンはベネズエラで唯一操業している米石油大手。

  一方、トランプ米大統領はニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、米政府によるベネズエラ管理は複数年を要する可能性があり、石油に関してはしばらく時間がかかるだろうと述べた。

  コンサルティング会社エナジー・アスペクツの共同創業者で調査ディレクターのアムリタ・セン氏は「今回の件は本質的には貿易フローの転換であり、それが最大の影響だ」と、ブルームバーグテレビジョンで語った。「中国向けの供給を削って米国に多く出す形にはなるが、ベネズエラの生産量が大きく増えるわけではない」とも述べた。

  ベネズエラが間接的に保有する米製油会社シットゴー・ペトロリアムは、2019年に制裁で途絶えた原油購入を再開する方向で検討している。大手商社のトラフィグラ・グループも関心を示している。シェブロンはベネズエラでの操業ライセンスの延長で交渉に入っている。ロイターの報道によれば、ビトル・グループはすでに米政府から原油交渉のための特別暫定許可を受けた。

  コノコフィリップスやエクソンモービルなど他の米石油大手もベネズエラの石油産業復興に関わる可能性を模索している。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は、前日比1.77ドル(3.2%)高い1バレル=57.76ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は3.4%上昇の61.99ドル。

  ニューヨーク金スポット価格は反発。続落となっていたが終盤に上昇に転じた。銀は大幅続落となった。商品インデックスの年次リバランスに伴い、数日内に大規模な売りが見込まれている。

  昨年の金相場は1979年以来の好成績だったが、アナリストらはまだ金に強気だ。昨年は中央銀行による買い入れ増額や、金ETFへの資金流入に支えられた。またドル安も金上昇の追い風となった。

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  HSBCホールディングスの貴金属担当チーフアナリスト、ジェームズ・スティール氏は「相場上昇は安全への逃避にリスクオフの買いが重なったことで加速した。ドル安と政策の不透明感も追い風になった」と分析。同氏は2026年上期に金が1オンス=5000ドルに達すると予想。地政学リスクの上昇と財政赤字の拡大が相場を押し上げるとみている。

  一方で中国と日本の貿易摩擦や、米国によるベネズエラ大統領拘束といった地政学的な緊張の高まりも、ここ数日の金相場を支えている。

  9日に発表される12月の米雇用統計など、主要な経済データも注目されている。弱い内容となれば追加利下げ観測が補強され、利息を生まない貴金属投資には追い風となる。

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  金スポット相場はニューヨーク時間午後3時47分現在、17.53ドル(0.4%)高い1オンス=4474.00ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は同1.80ドル(0.1%未満)下げて4460.70ドルで終了した。

原題:Stock Rotation Hits Big Tech as Small Caps Rally: Markets Wrap(抜粋)

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