• 純資産10億ドル超の州居住者に一度限り5%課税案、実現にはハードル
  • リスクが存在するだけでも、早期移転や緊急計画策定を富裕層に促す
ピーター・ティール氏
ピーター・ティール氏Photographer: Eva Marie Uzcategui/Bloomberg

Biz CarsonDylan Sloan

米西部カリフォルニア州から富裕層の脱出が始まっている。背景にあるのが、同州で浮上している純資産に対して5%を課税する富裕層向けの税構想だ。

  移住や国外転出を専門とするアドバイザー、デービッド・レスペランス氏は年明けを前に、4人のビリオネアの州外転出を支援したと語った。

  一方、米著名投資家ピーター・ティール氏とトランプ政権で人工知能(AI)・暗号資産(仮想通貨)政策を統括するデービッド・サックス氏は、昨年の大みそかにそれぞれ新たな拠点を公表。ティール氏はフロリダ州、サックス氏はテキサス州に移った。今回の富裕層向け課税は、2026年1月1日時点でカリフォルニア州に居住する人が対象となる。

  アイコニック・キャピタル創業者のディベッシュ・マカン氏は、すでに4-5家族が同州を離れたことを把握しており、課税案が承認されればさらに15-20家族が移ると見込んでいると、電子メールで明らかにした。ビジネス・インサイダーの報道によれば、アルファベット共同創業者のラリー・ペイジ氏も州外に移った。 

  ペイジ氏のファミリーオフィスとアルファベットの担当者はコメントの要請に応じなかった。レスペランス氏とマカン氏はいずれも、プライバシー保護を理由に個人の特定を避けたが、レスペランス氏は既に報道で名前が挙がっているビリオネアは含まれていないと説明した。

Larry Page
ラリー・ペイジ氏Photographer: Jeff Chiu/AP Photo

  今回の課税構想は、純資産が10億ドル(約1570億円)超のカリフォルニア州居住者に一度限り5%の課税を求める内容。州内の医療、食料給付、教育における財源不足を補うため、医療従事者の労働組合が約1000億ドルの調達を目指し発議した。11月の住民投票に付されるためには一定数の署名集め、その後投票で有権者の承認を得る必要があり、実現までにはなお越えるべきハードルが残っている。また民主党のニューサム州知事が同案を公に非難するなど、強い反対に直面するとみられている。

  ただ、富裕層向けのアドバイザーによると、州内に約200人いるビリオネアにとっては、そのリスクが存在するだけでも、早期の移転や不測の事態に備えた計画づくりを促す十分な要因になっている。

  反対派は同課税案がカリフォルニア州のイノベーション経済を危うくすると主張する。最大手企業の経営者だけでなく、資産の多くが帳簿上にとどまり、税負担を賄うための資産換金が難しい新興スタートアップ創業者にも課税が及ぶためだという。

  また、税収を高額所得者に過度に依存している州財政そのものを脅かす恐れもある。同州の分析では、富裕税が一度限りの歳入として「数百億ドル」を生み出す可能性がある一方で、ビリオネアが州外に移れば、長期的には年間で数億ドル規模の税収減につながり得ると試算している。 

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ジェンスン・フアン氏Photographer: Bridget Bennett/Bloomberg

  一方、米半導体大手エヌビディアの最高経営責任者(CEO)で、世界9位の富豪であるジェンスン・フアン氏は地元カリフォルニア州で検討されている富裕税について懸念していないと述べた。

  「われわれはシリコンバレーに住むことを選んだ。どのような課税であろうと、それで構わない。私は全く問題ないと思っている」とブルームバーグテレビジョンで語った。

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原題:Billionaires Ramp Up California Exits Ahead of Proposed 5% Tax(抜粋)