高市政権が一枚看板ともいうべき「経済対策最優先」の方針を転換した。23日に召集される通常国会の冒頭で解散する。主要メディアの中には「撤回の可能性もある」との見方もあるようだ。おそらくそうした予測は外れるだろう。読売新聞のスクープとなった解散情報は9日(金)の23時ちょうどに、Web版にアップされた。政権側の誰かがリークしのだろう。翌10日からは3連休、メディアの取材活動は鈍る。翌週は13日に韓国大統領が来日、15日にはイタリアのメローニ首相の訪日を控えている。高市総理は外交上の儀礼としてこの間、解散風にコメントしなくても済まされる。要するに解散風を煽る記事としては絶好のタイムミングが選ばれている。この間、与野党を含めた冒頭解散の是非論が喧々囂々(けんけんごうごう)と論じられる。外交日程の準備を進めながら高市総理はこの議論を静かに見守る余裕ができる。要するに敵と味方を判断する材料になるのだ。与党・自民党の手慣れた日程調整。なんで政策に生かされないのか。
大義はあるか。愚問だろう。解散権は総理の専権事項だ。現行制度ではいつでも、総理がその気になれば解散可能なのだ。良い悪いの問題ではない。制度上の瑕疵はない。でも大義なき解散が有権者の心を射止めることもないだろう。おそらくメローニ首相が離日する16日以降、総理自ら大義について説明するだろう。それを待つしかない。個人的には支持率が高い政権をめぐる二重構造の解消が目的だと見る。支持率は高いが、野党にとどまらず与党内にも高市政権に対して批判的な政治家はいっぱいいる。とりわけ財政健全派はいまだに「責任ある積極財政」に反対している。主要メディアも既得権益派を後押しする。手のひら返しの石破前総理を引っ張り出して、高市批判を展開させながら世論操作に余念がない。これがオールドメディアの実態だ。官僚、学者の多くも反高市と見ていいだろう。
要するに高市政権は有権者の高い支持率に支えられているに過ぎない。国民から見れば多数派だが、政治を運営している政治家、官僚、メディアの中では依然として少数派だ。頼みの国民民主党は相変わらず原則論にこだわっている。少数与党である限り、何か問題が起こって民意が離反すれば万事休すだ。要するに二重構造ともいうべき高市政権の“脆弱性”を一番理解しているのが、高市総理その人であり、それを取り巻く側近達だ。中国問題はどんどん環境が厳しくなる。ベネズエラもイランもこの先どうなるかわからない。国際社会を取り巻く環境は想像以上に劣悪なのだ。トランプ政権だって味方なのか敵なのか、いまだに判然としない。難問山積する環境の中で政権が考えることはただ一つ。「強い政権」を作りたいのだ。それをするにはリスクが伴う。高市総理はあえてリスクを取って解散する道を選んだ。この選択は正しかったのか、答えは投開票日に出る。
