- 円は一時159円19銭、24年7月以来の安値-衆院解散報道の影響続く
- 米コアCPIは伸びが予想下回る、当面の利下げ見送り観測は変わらず

Rita Nazareth
外国為替市場で、円は対ドルで下落。一時0.7%安の1ドル=159円19銭と、2024年7月以来の安値となった。 高市早苗首相が23日召集予定の通常国会冒頭で衆議院を解散する意向を自民党幹部に伝達したとの報道が引き続き影響した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は上昇。昨年12月の米消費者物価指数(CPI)統計で、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数の伸びは市場予想を下回り、年内利下げの論拠を補強する内容となった。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1211.68 | 2.12 | 0.18% |
| ドル/円 | ¥159.15 | ¥1.01 | 0.64% |
| ユーロ/ドル | $1.1646 | -$0.0021 | -0.18% |
| 米東部時間 | 16時30分 |
TDセキュリティーズの通貨ストラテジスト、ジャヤティ・バラドワジ氏は「高市首相の支持率は高く、自民党が国会で議席数を増やすのを後押しする可能性が高い。そうなれば、同氏は野心的な財政政策を推し進めることができる」と指摘。「円には改めてリスクプレミアムが戻ってくるだろう」と話した。
カーライル・グループのグローバル調査・投資戦略責任者ジェイソン・トーマス氏らのチームは、13日に発表した年次見通しで、日本国債利回りの上昇と円安の同時進行は、経済が数十年にわたるデフレから脱却しつつある良い兆候だとの見方を示した。
関連記事:国債利回り上昇と円安の同時進行、デフレ脱却の良い兆候-カーライル

米コアCPIは前月比0.2%上昇。市場予想は0.3%上昇だった。前回の統計は政府機関の一時閉鎖に伴うゆがみで判断が難しい部分があったが、物価上昇圧力の鈍化をより確かな形で示す内容となり、年内利下げ観測が強まった。
関連記事:米コアCPI、12月は予想下回る伸び-年前半の利下げ観測強まる (3)
JPモルガン・チェースのFXストラテジスト、パトリック・ロック氏は「今回のインフレデータはドルに対する弱気な見方を後押しする。一部の景気指標はこれまで、より底堅い成長を示唆していた」と指摘。さらに、「政策金利の最終到達点(ターミナルレート)の再評価においても、CPIデータは上向き圧力をほとんどかけていない」と述べた。
みずほインターナショナルの欧州・中東・アフリカ(EMEA)マクロ戦略責任者、ジョーダン・ロチェスター氏は米CPIについて、「やや弱め」だが、「見方を大きく変えるほどのサプライズではない。政府機関閉鎖に伴う統計の不確実性を踏まえると、なおさらそう言えるだろう」と指摘。「この統計だけで方向性を論じるのは難しい。今週は特に、米連邦準備制度理事会(FRB)やパウエルFRB議長にとって政治的な影響が大きくなっている」と話した。
クレディ・アグリコルのG10通貨戦略責任者バレンティン・マリノフ氏は、「12月の米コアCPIはわずかながら下振れサプライズとなり、インフレ指標の弱さが一時的なものではなかったことを裏付けた」と分析。「ドルへの影響は米金利の反応次第だが、今のところ限定的だ」と述べた。
その上で、「今年2回の利下げが既に織り込まれている中、FRB関連の多くの悪材料は既にドルの価格に反映されていることが一段と裏付けられた」と続けた。
株式
米株式相場は反落。CPI発表後も当面の利下げ見送り観測は変わらなかった。この日決算を公表したJPモルガン・チェースを中心に、銀行株が下げた。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6963.74 | -13.53 | -0.19% |
| ダウ工業株30種平均 | 49191.99 | -398.21 | -0.80% |
| ナスダック総合指数 | 23709.87 | -24.03 | -0.10% |
S&P500種株価指数は最高値から下落。JPモルガンは4.2%安。同行の2025年10-12月(第4四半期)決算では、投資銀行業務の手数料収入が予想に反して減少し、先月示した自社ガイダンスを下回った。
関連記事:JPモルガン、投資銀手数料が予想に反し減少-トレーディングは好調
14日にはバンク・オブ・アメリカ(BofA)やウェルズ・ファーゴ、シティグループが決算を発表する。大手米銀の年間利益は全体で、過去2番目の高水準になる見込みだ。トランプ大統領による政策変更が追い風になるとみられている。
市場はまた、トランプ政権が実施してきた関税に関して連邦最高裁が14日に判断を示す可能性にも留意している。判断が政権に不利な内容となれば、市場はネガティブな反応を示す恐れがある。ただし、政権には大半の関税について代替的な法的手段が残されている。
プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は、失業率が低水準にあり、成長率はトレンドを上回って推移、財政投入による刺激策が下支えとなっており、インフレ率は依然として目標を上回っていると指摘。このため、FRBは今月の連邦公開市場委員会(FOMC)およびその後の数会合において金利を据え置く公算が大きいと同氏は分析した。ただし、インフレ懸念が和らぐのに伴い、1回か2回の追加利下げを正当化できるスタンスへと移行していく可能性も高いと述べた。
eToroのブレット・ケンウェル氏は、「雇用環境の鈍化が続く中、インフレは金利政策においてあまり大きな制約とはならない可能性がある」と指摘。「しかし、今回の統計は株式投資家のセンチメントを大きく揺さぶるものではない。市場の関心は決算シーズンの幕開けへと移る公算が大きい」と話した。

国債
米国債はほぼ変わらず。コアCPIの伸びが市場予想を下回り、相場は一気に上昇する場面もあったが、伸び悩んだ。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.83% | 0.6 | 0.13% |
| 米10年債利回り | 4.18% | 0.0 | 0.00% |
| 米2年債利回り | 3.53% | -0.6 | -0.17% |
| 米東部時間 | 16時30分 |
短期金融市場では、次回のFRB利下げ時期が2026年半ばになるとの見方が続いている。
インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トレス氏は「市場予想を下回るコアCPIを受けた当初の高揚感は、長続きしなかった」と指摘。「その一因は、次回の利下げ時期を6月から4月に前倒しする材料とはならなかったことだ。債券市場関係者の間では、昨年12月の利下げがパウエル議長在任中では最後になるとの見方が出ている」と述べた。
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのエレン・ゼントナー氏は「これまでと同じで、インフレは再加速しているわけではないが、引き続き目標水準を上回っている」と指摘。「関税の価格転嫁はなお限定的だが、住宅の値ごろ感は改善していない。今回のインフレ統計は、FRBに今月の利下げを迫る内容とは言えない」と述べた。

原油
ニューヨーク原油先物相場は昨年10月下旬以来の高値に上昇。トランプ大統領がイランを巡る語調を強めたことを受け、同国産原油の供給途絶や米国による介入の可能性に対する懸念が広がった。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=61ドル台で引け、約2カ月ぶりの高値。トランプ氏はデトロイトで記者団に対し、米国民がイランから退避するのは「良い考えだ」と発言。イランのデモ参加者に対して「支援が向かっている」とも述べた。
トレーダーはイラン国内の政治的混乱と米国が介入する可能性を注視している。米国が介入に踏み切った場合、日量約330万バレルに上るイランの原油生産が脅かされる恐れがある。
トランプ氏は先にSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、イランのデモ参加者に「抗議を続けよ」と促し、イラン当局がデモ隊殺害をやめるまで同国当局者との会合を中止したことを明らかにした。米国に拠点を置く人権団体「ヒューマン・ライツ・アクティビスツ・ニュース・エージェンシー(HRANA)」は、今回の抗議デモで少なくとも2000人が死亡したと報告した。
関連記事:トランプ氏、イランのデモ隊に「抗議続けよ」-死者は数千人規模か

トランプ氏はまた、イランと取引する国からの輸入品に25%の関税を課す方針も示している。
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米投資会社カーライルでエナジー・パスウェイズ担当最高戦略責任者を務めるジェフ・カリー氏は「地政学的リスクは過去最高に達している」とブルームバーグテレビジョンのインタビューで述べ「足元で価格が急上昇する典型的な条件だ」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は、前日比1.65ドル(2.8%)高の1バレル=61.15ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は1.60ドル(2.5%)上げて65.47ドル。
金
金スポット相場はほぼ変わらず。予想を下回る米インフレ指標やトランプ政権によるFRB攻撃再開を受け、金利の先行きを見極める動きが広がった。
金スポットは一時1オンス=4634.55ドルを付けて最高値を更新したが、その後は上げを失った。基調インフレの目安とされるコアCPIの伸びが懸念されたほど大きくなかったことから、年内の利下げを支持する材料と見なされた。統計発表後にドルは上げを拡大した。金利スワップ市場では、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合までの利下げがほぼ完全に織り込まれており、前倒しの可能性もやや残されている。ただ1月会合での実施確率は極めて低い。
年内の追加利下げは利息を生まない金投資にとって追い風となる一方、ドル建てで取引されることから、ドル上昇は金相場の重しとなった。
それでも、米司法省がFRB本部改修を巡り刑事捜査に着手するなど、ホワイトハウスがFRBへの攻撃を強めたことを受け、逃避需要が金相場を下支えしている。トランプ大統領はこれまで、パウエルFRB議長の任期が5月に切れる前に同氏を解任したいとの考えを示している。
サクソバンクの商品戦略責任者オーレ・ハンセン氏は「商品指数の年次リバランス(ウエート見直し)完了まで残り1日という、機械的な売りが出やすい局面だが、市場の強さは際立っている。金と銀がその供給を難なく吸収していることは、投資家に強いシグナルを送り、当面は強気相場がさらに続くとの見方を強めている」と分析した。
商品バスケットの代表的な指標であるブルームバーグ商品指数は年1回、ウエートを見直す。5日間のロール(乗り換え)期間は8日に始まった。
金スポット相場はニューヨーク時間午後2時39分現在、1セント高の1オンス=4597.52ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は、15.60ドル(0.3%)下落の4599.10ドルで引けた。
原題:Stocks Wipe Out CPI-Fueled Gains as JPMorgan Sinks: Markets Wrap(抜粋)
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