今回の解散・総選挙は、国民民主党・玉木代表の連立入りをめぐる優柔不断さが誘発したと言っていいだろう。驚いたことに今朝のニュースには、立憲民主党と公明党が新党結成に動いているとある。野田代表の提案のようだ。さすがに総理経験者だ。決断するときは時は一気呵成に決断する。玉木代表の優柔不断さに比べれば、スピード感が際立っている。結果はどうなるかわからない。仮に自民党が圧勝するようなことになれば、国民民主の孤立は避けられない。野党にも与党にもなれない実態が浮き彫りになる。立憲・公明の即断即決は敬意を表するに値する。早ければいいというわけではないが、両党の決断は遅かれ早かれ政界再編につながる可能性がある。ことによったら自民党が割れるかもしれない。与党と野党の議席が接近すれば、例えば石破前首相など自民党の反高市勢力が離党するかもしれない。立民・公明政権が実現する可能性がないわけではない。玉木代表はどっちに付く。ここでも躊躇するのだろうか。

ただ、これまでの政治を振り返れば、立民・公明両党が新党結成の一枚看板とする「中道改革の政治」が失政を重ねてきたことも事実だ。この政治の実態は「失われた30年」が象徴している。野田総理(当時)が提唱した増税路線が、日本経済の弱体化を加速した。安倍総理もこの路線を否定できなかった。デフレが深刻化する中で躊躇しながら消費税率を引き上げた。課税最低限、いわゆる103万円の壁が30年近くにわたって据え置かれたのも中道政治のせいだ。自民党、公明党、立憲民主党といった既成政党がこれにお墨付きを与えた。そんな過去を忘れたかのように「中道改革の政治」を謳う。有権者はこれにどう反応するのだろうか。国民民主の玉木代表が提唱したガソリン減税や課税最低限を178万円に引き上げる政策は、民意に沿うものだった。既得権益優先の古い政治に楔を打ち込んだ。「対決より解決」というフレーズが、政治の古い体質に変化をもたらしたのだ。政治の転換に向けた環境整備の役割を果たした。

高市政権は前政権と同じように衆参両院とも当初は少数与党だった。掲げた「責任ある積極財政」路線は、中道政治が進めた財政健全主義からの大転換を目指すものだ。支持率が高くても高市政権の政権基盤は弱い。政策の実現には強い政権が必要になる。連立強化が課題になった所以だ。ターゲットは日本維新の会と国民民主党。とりわけ政策で共通点の多い国民民主の玉木代表には、折に触れて連立入りを勧奨し続けていた。だが玉木氏は決断しなかった。連立よりもキャスティングボードを握りたかったのだろう。選挙結果次第だが、仮に立民・公明が政権を握る可能性が出た時、玉木氏はこれに乗れるのだろうか。来年度予算にも賛成の意向を伝えている。国民民主はすでに与党の一翼を担っているのだ。だが突然の解散・総選挙に動揺は隠せない。解散反対も公言している。まるでゴマメの歯軋り(はぎしり)だ。でもまだ、参院ではキャスティングボードを握れる可能性はある。仮にそうなっても、影響力の減衰は避けられない。政局が動揺するたびに決断できない玉木代表、政策は重要だ。でも政局に反応できなければ誰からも相手にされなくなる。