- 米国債入札や金融政策運営でNY連銀と取引、市場に関する情報提供も
- プライマリーディーラーはこれで26社、日本勢はMUFG含め5社に

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の米国ブローカー・ディーラー子会社、MUFGセキュリティーズ・アメリカが、ニューヨーク連銀のプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)に指定された。プライマリーディーラーは、債券市場でも特に限られた金融機関で構成される。
ニューヨーク連銀がまとめたデータによると、プライマリーディーラーへの新規参加は、2025年初めに三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下のSMBC日興セキュリティーズ・アメリカが加わって以来となる。
プライマリーディーラーの数は、2008年に17社まで減少した後、現在は26社に増加した。ただ、1988年に記録したピークの46社を依然として下回っている。
MUFGで日本を除くグローバルマーケッツのセールス・トレーディング部門を統括するマイク・ヤリアン氏は「今回のプライマリーディーラー指定は、「MUFGの財務基盤の強さやグローバルな事業展開、米国市場への長期的なコミットメントを示すものだ」と発表文で述べた。
声明ではまた、指定を受けるにあたり、MUFGは「マーケットメーカーとして十分な存在感を持つことや、ニューヨーク連銀が想定する取引量の決済を支えられるバックオフィス体制を備えていること」を示す必要があったとしている。
ニューヨーク連銀によれば、プライマリーディーラーはすべての米国債入札で「合理的に競争力のある」応札を行うことが義務付けられている。また、金融政策の実行を担う同連銀と取引を行うほか、同連銀の取引デスク向けに市場動向に関する情報提供も行う。
日本の金融機関ではこのほか、大和キャピタル・マーケッツアメリカ、みずほセキュリティーズUSA、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルが既にプライマリーディーラーの指定を受けている。

今回の指定は、2020年の新型コロナウイルス禍を受けて米国債の発行額が急増してきた中で行われた。米国債は残高が現在30兆ドル(約4800兆円)に達し、米国内外の投資家にとって最も市場に厚みがあり流動性の高い国債市場とみなされている。
ディーラーの層を厚くすることは、円滑に機能する米国債市場を支える手段とされる。プライマリーディーラーは、ヘッジファンドや資産運用会社、年金基金、保険会社とやり取りし、米国債の売買を担う。
一方で、特に中長期債の入札への参加状況をみると、プライマリーディーラーの市場シェアは低下傾向にある。金融危機以前は、2年債から30年債までの各入札で、少なくとも半分を落札するのが常だった。
過去1年では3年、7年、10年物の入札で、プライマリーディーラーの落札比率は10%未満と、過去最低水準を記録している。2023年7月の10年物インフレ連動債(TIPS)入札では落札比率が1.5%と、過去最低を更新した。
シタデル・セキュリティーズ、ジェーン・ストリート、ハドソン・リバー・トレーディングといったトレーディング会社が近年、米国債市場で存在感を高めているが、プライマリーディーラーは、発行総額に対して割り当て分に相当する最低限の応札が義務付けられており、入札で最終的な受け皿とみなされている。
MUFGは過去最高益を稼いでいるが、次期社長の半沢淳一氏には、金利上昇による一過性の利益を超えて成長を持続させるという課題がある。そのため同社には事業拡大への圧力が高まっており、経営幹部は自己資本利益率(ROE)や株価純資産倍率(PBR)といった主要指標で海外勢に追いつくべく、成長投資を進める方針を掲げている。
原題:MUFG Named Primary Dealer for Treasury Auctions by NY Fed (1)(抜粋)
