中道改革連合の綱領を発表する立憲民主党の安住幹事長(左)と公明党の西田幹事長(19日午前、国会内で)=米山要撮影

 立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」は19日、衆院選の公約に向けた基本政策を発表した。「生活者ファーストの政治」を実現させるとして、食料品の消費税率ゼロを掲げたほか、安全保障関連法を合憲と位置づけるなど現実路線を強く打ち出した。

中道改革連合の綱領を発表する立憲民主党の安住幹事長(左)と公明党の西田幹事長(19日午前、国会内で)=米山要撮影

 新党の基本政策には、食料品に関する消費税ゼロを盛り込んだ。立民と公明は新党結成前から消費税減税を訴えてきた経緯があり、公明の岡本政調会長は記者会見で、食料品の消費税は「恒久的にゼロにしていきたい」と意欲を語った。

 立民が「違憲部分の廃止」を主張してきた安保関連法を巡っては、新党の基本政策では「存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」との立場をとった。立民の本庄政調会長は記者会見で「法律の運用実態や日米間の関係の変化などを総合的に勘案した上で考え方に至った」と説明した。

 エネルギーに関しては、立民は綱領で「原発ゼロ社会を一日も早く実現する」としてきたが、新党は「将来的に原発に依存しない社会を目指す」としつつ、安全性の確認と地元合意などを条件に再稼働を容認することにした。

 いずれも、自公連立政権として同法と原発再稼働を容認してきた公明に対し、立民が歩調を合わせた形で、中道勢力の結集を目指す狙いがある。

 憲法に関しては「立憲主義、憲法の基本原理を堅持する」とした上で、「責任ある改正議論を深化」との表現にとどめた。公明が連立を離脱するきっかけとなった「政治とカネ」の問題では、政治資金の透明・公平性を確保する法整備などを通じて、「問題への終止符」を打つとした。

 新党はこの日、「国民が求める改革を主導する基軸となる」などとした新党の綱領も正式発表された。

 第1の柱 「一人ひとりの幸福を実現する、持続可能な経済成長への政策転換」
  1 生活者ファーストへの政策転換と、手取り対策にとどまらない額面が増える経済構         造の構築
  2 行き過ぎた円安の是正と、食料品・エネルギーなど生活必需品の物価引き下げ
  3 防災・減災および国土 強靱きょうじん 化の強化に向けた、インフラ更新・流域治水・耐震化等への重点投資の推進
  4 再生可能エネルギーの最大限活用/将来的に原発に依存しない社会を目指しつつ、安全性が確実に確認され、実効性のある避難計画があり、地元の合意が得られた原発の再稼働/次世代技術の開発促進などによるエネルギー安保の確保と脱炭素社会を実現

 第2の柱 「現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築」
  1 政府系ファンド(ジャパン・ファンド)の創設や基金の活用などによる財源確保と、食料品消費税ゼロおよび社会保険料等負担の低減
  2 医療・介護・障がい福祉・教育など、生きていく上で不可欠な公的サービスへのアクセスを保障するベーシック・サービスの拡充
  3 予防医療の充実による健康寿命の延伸と、国民のウェルビーイング(心身が健康で幸福な状態)の向上
  4 中低所得者の負担軽減と格差是正に向けた「給付付き税額控除制度」の早期導入、社会保障と税の一体改革への取り組み

 第3の柱 「選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現」
  1 教育の無償化拡大と質の向上、ならびに社会人・高齢者を含む学びなおし・リスキリングの制度的保障など「人への投資」の拡充
  2 選択的夫婦別姓などジェンダー平等およびルールに基づく多文化共生などの推進による、マイノリティーも含め誰もが尊厳を持って生きられる社会の構築
  3 持続可能な地球環境を未来に引き継ぐための、気候変動対策および生物多様性を守る環境政策の推進
  4 食の安全の観点も踏まえた農林水産業支援、地域資源の活用・育成、地域医療への支援などによる地域の活力と魅力の向上

 第4の柱、 「現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化」
  1 積極的な対話と平和外交の一層の強化/自由、民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値や原則に基づく国際秩序の堅持
  2 激変する安保環境へ適切に対応する防衛力等の整備/憲法の専守防衛の範囲内における日米同盟を基軸とした抑止力・対処力の強化/平和安全法制が定める存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲/非核三原則の堅持
  3 中国に対する懸念への 毅然きぜん とした対応と、国益確保を両立させる中長期的視点に立った戦略的互恵関係の構築
  4 立憲主義、憲法の基本原理を堅持した上で、国民の権利保障、自衛隊の憲法上の位置付けなどの国会での議論を踏まえ、責任ある憲法改正論議を深化

 第5の柱 「不断の政治改革と選挙制度改革」
  1 政治資金の透明性・公正性を確保する法整備による、政治とカネをめぐる問題への終止符
  2 企業・団体献金の受け手制限規制の強化/不正防止を担う第三者機関の創設
  3 民意を的確に反映する選挙制度への改革と、司法の要請および有識者の知見を踏まえた公正な制度への移行

 生活者ファーストの政治の実現へ
 ~より良い未来に向けた社会のかたちの再設計~

 世界的なインフレの進行、格差の拡大、気候変動、国際秩序の不安定化などにより、世界は今、かつてないほど不確実性の高い時代に直面している。若年層をはじめとする生活者が抱える不安は、既存の政治への失望へと転じ、その隙間を突くように、分断をあおる極端な政治が台頭する風潮が生じている。

 この不確実性の時代において、良識ある政治と社会の安定を取り戻すために必要なのは、イデオロギーや対立を優先する政治ではなく、生活者一人ひとりの現実から出発する政治である。中道改革連合は、「生活者ファースト」を政治の原点に据え、平和を守る人間中心の社会の実現を目指す。

 私たちは、立憲主義を政治の土台とし、権力の乱用を防ぎ、個人の尊厳と自由を守る。同時に、多様な価値観や生き方を尊重し、共生と支え合いによって地域・社会の安定と活力を高めていく。対話と包摂を重んじる中道の立場こそが、今の時代に求められる政治の姿である。

 この考えのもとに結集した「中道改革連合」は、五つの柱からなる基本政策を掲げ、不安よりも希望が感じられる社会の構築を目指す。生活者一人ひとりの暮らしを豊かにする持続的な経済成長、現実的な外交・安全保障政策、責任あるエネルギー安保政策、時代に対応した憲法改正論議の深化など、国が存立する基盤を生活者の視点で強化していく。

 とりわけ、かつて終身雇用や安定した資産形成が可能であった時代とは異なり、非正規雇用の拡大、実質賃金の低下、住宅価格の高騰、国民負担率の上昇などにより、現在の若年層・現役世代は、努力しても報われにくい現実に直面している。私たちはこの現実を放置することなく、あらゆる英知を結集し、社会の仕組みそのものを現代にふさわしい形へと再設計していく。

 増税に頼るのではなく、経済成長と公正な分配によって持続可能な財源を確保できる国へと進化させ、市場との対話を通じた財政への信頼とインフレ時代に対応した税制を両立させる「生活者ファーストの賢い財政」を実現する。また、「現役世代に負担を求める社会保障」から、応能負担を通じた「現役世代も同時に支える社会保障」へと転換を図る。加えて、教育・雇用・分配の仕組みを生活者の視点で見直し、誰もが置き去りにされることなく、いつでも前を向いて歩み続けることができる社会を構築する。

 以上の考えに立ち、中道改革連合は、生活者一人ひとりの不安を安心へ、停滞を前進へと変えるため、次に掲げる五つの政策の柱をもって、「生活者ファースト」の中道改革を着実に実行する。