• S&P500種、400銘柄余りが上昇-米国債も上昇、20年債入札堅調
  • トランプ大統領はNATO事務総長との会談後に枠組みに達したと説明
ニューヨーク証券取引所
ニューヨーク証券取引所Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

Rita Nazareth

21日の米株式相場は反発。朝方からプラス圏で推移していたが、トランプ米大統領がグリーンランドを巡る欧州諸国への関税措置を見送ると表明した後、上げ幅が一時急拡大した。S&P500種株価指数は終値ベースで、昨年11月以来の大幅高となった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6875.6278.761.16%
ダウ工業株30種平均49077.23588.641.21%
ナスダック総合指数23224.82270.501.18%

  トランプ氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に合わせ、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と会談。その後、グリーンランドを巡り「将来のディール枠組み」に達したとし、2月1日に発動するとしていた関税措置を見送るとソーシャルメディアで発表した。

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Day Two Of World Economic Forum (WEF) 2026
ダボス会議で話すトランプ米大統領Source: Bloomberg

  前日は「米国売り」が再び広がったとの指摘が一部にあったが、この日はS&P500種株価指数の構成銘柄中、400銘柄余りが上昇する展開となった。

  エネルギー株が上げをけん引し、ハイテク大手7銘柄で構成する「マグニフィセント・セブン」の指数も上昇した。

  ナベリアー・アンド・アソシエーツのルイス・ナベリアー氏は「米国が自己主張を強め、デンマークからグリーンランドを購入すると主張するなどの騒動があったため、ダボス会議は緊急サミットのようになった」と指摘。

  「トランプ氏は場を乱す人物だ。欧州の同盟国がどう反応するかが興味深い」と述べた。

  米連邦最高裁はこの日、クック連邦準備制度理事会(FRB)理事解任を巡る裁判で口頭弁論を実施。トランプ大統領が住宅ローン契約に関する詐欺疑惑を理由に同理事の解任に動いていることに、判事らは警戒感を示した。こうした措置はFRBの独立性を揺るがし、市場を動揺させかねないと指摘した。

関連記事:米最高裁、トランプ氏によるクックFRB理事解任の動きに警戒感示す

  エバコアのクリシュナ・グーハ氏は「リスク選好に急展開した。グリーンランドに関するトランプ氏のTACO(トランプはいつも尻込みする)的な方針転換に加え、最高裁の審理、また日本の長期金利の急上昇が一服したことが背景だ」と指摘。

  その上で、「これらの問題はいずれも解消されたわけではなく、しばらく市場の材料として残るだろう」と述べた。

  グリーンランドを巡る問題について、HSBCホールディングスのアラステア・ピンダー氏は「多くの投資家は今回の問題が株式市場を動揺させるのではと懸念しているが、われわれはそこまで悲観的ではない」と、20日付リポートで指摘していた。

  1940年以降に発生した主要な地政学的イベント36件について分析した結果、その3カ月後に米国株が上昇したケースが60%に上るという。

外為

  ニューヨーク外国為替市場でドル指数は上昇。グリーンランドを巡る関税発動見送りの表明を受けて、この日の高値を付けた。円は対ドルで下落し、一時0.2%安の1ドル=158円53銭を付けた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1205.850.480.04%
ドル/円¥158.31¥0.160.10%
ユーロ/ドル$1.1687-$0.0038-0.32%
米東部時間16時55分

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.2%下げる場面もあったが、持ち直した。  

  クレディ・アグリコルのG10通貨戦略責任者バレンティン・マリノフ氏は「為替の投資家はTACOの構図が進行していると判断し、再びリスク資産に飛びつく可能性がある」と分析した。

米国債

  米国債相場は上昇(利回り低下)。トランプ氏がグリーンランドを巡り「将来のディール枠組み」に達したと表明したことを受け、長期ゾーンの上昇が加速した。

  この日実施された20年債利回りが堅調な需要を集めたことも、利回り曲線のブルフラット化の動きを支えた。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.86%-5.7-1.15%
米10年債利回り4.24%-5.0-1.16%
米2年債利回り3.59%-1.0-0.28%
米東部時間16時54分

原油

  原油先物相場は小幅続伸。トランプ大統領がグリーンランドの将来を巡るディール枠組みに到達したとし、2月1日に発動を予定していた欧州諸国への関税を見送る考えを示したことが材料視された。

  トランプ氏によるグリーンランド取得の要求は、経済成長を抑制し原油価格を押し下げかねない貿易戦争を引き起こす恐れがあった。

  市場ではまた、イランに対する軍事行動リスクも意識され、相場を下支えた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、トランプ氏がイランに関する「決定的な」軍事オプションについて側近らに引き続き検討を求めていると報じた。

  バッファロー・バイユー・コモディティーズのマクロ取引責任者、フランク・モンカム氏は、原油市場の反応は比較的限定的に見えると指摘。

  「きょうの値動きは基本的にレンジ内の取引だ。イランについては今のところ、グリーンランド問題やダボス会議の陰に隠れており、不透明感が解消されるまで押し目では買いが入る上向きのバイアスだ」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物3月限は前日比26セント(0.4%)高の1バレル=60.62ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は0.5%上昇の65.24ドル。

  金スポット価格は続伸。ただ、トランプ大統領がグリーンランド取得に向けて過度な武力行使を望んでいないと発言したことで、上げ幅を削った。

  アジア時間には1オンス=4888.42ドルまで買われ、最高値を更新していた。

  金は過去12カ月に約75%値上がり。トランプ政権がグリーンランド取得を目指し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国への圧力を強めていることで金融市場に衝撃が走っており、金の高騰に拍車がかかった。各国中央銀行による購入や逃避買い需要に加え、米金融政策が緩和方向にあることも利息を生まない金の追い風になっている。

  INGグループのコモディティー担当ストラテジスト、エワ・マンゼイ氏は「金は一時的に足踏みしているかもしれないが、強気相場は明確に続いている。利下げ観測や地政学的緊張、そして中銀の旺盛な買いを踏まえると、リスクは上振れ方向だ」と指摘。「不確実性が依然として高い中、投資家は下落局面を相場の転換点ではなく、買いの好機と捉える可能性が高い」と述べた。

  金スポット相場はニューヨーク時間午後3時21分現在、35.55ドル高の1オンス=4798.98ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は71.70ドル(1.5%)上昇の4837.50ドルで引けた。 

原題:Stocks Surge on Trump’s Claim of Deal on Greenland: Markets Wrap

Treasuries Extend Rally After Trump’s Claim of Deal on Greenland

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Gold Rally Cools as Trump Cites Greenland Framework With NATO(抜粋)