20日に起こった出来事。日米両国をはじめ世界中で国債が暴落し、長期金利がハネ上がった。折からダボス会議に出席していた片山財務相とベッセント財務長官が会談。同長官は「日本国債の下落が米国債市場にも波及した」との見解を示した。このことはニュースを見て知っていたが、この時は暴落の原因は米国にあるのではないか、直感的にそんな気がしていた。しかし、今朝、Bloombergの記事を見て驚いた。「20日の日本国債急落、少額の超長期債取引が引き起こすー世界に衝撃」とタイトルされている。中身を見て2度びっくり。「わずか436億円の取引で、7兆2000億ドル(約1143兆円)規模の日本の国債市場が大混乱に陥った」とある。436億円は、20日の超長期国債の合計売買代金だ。この日だけで日本国債全体の損失は、評価額ベースで410億ドルに達した。世界の市場に衝撃が走ったが、これは何を意味しているのだろうか。

これを見て日本では「トラス・ショックの再来」と叫ぶ市場関係者がいた。トラスとはジョンソン首相の跡をつで就任した英国のトラス首相を指す。同氏は就任早々、財政規律を無視した大型減税を発表。これを受けて国債が大暴落、市場が大混乱に陥った。高市総理が解散・総選挙に踏み切り、2年間に限定して食料品を消費税の対象から外す方針を明らかにした。野党が軒並み消費税の廃止や税率の引き下げを選挙公約に掲げた。これに対抗する「選挙の争点はずし」を狙ったものとみられるが、市場関係者の間からは「トラス・ショックの再来」など、財政悪化を囃す批判が巻き起こった。これに対して専門家は、「国債市場の厚みが薄く、限界的な取引で価格が決まる市場では、まさに想定通りの結果だ」(みずほ証券・大森チーフ・ストラテジスト)と語っている。取引量が少ないと価格が上下に大きく振れやすくなるのだ。

わずかな取引で世界の金融市場が大混乱に陥った。どうして?色々な要因があると思うが、個人的にはアベノミクスが推進した異次元緩和が原因だと考えている。国債市場はY C C(イールド・カーブ・コントロール)といった市場機能を無視した価格維持政策によって、機能しなくなってしまったのだ。当時の黒田総裁の大きなミスだ。そんな実態を無視して市場関係者は財政悪化懸念を喧伝する。事実にそぐわない悪材料を囃したてて国債を売る。要するに投資ではなく投機が市場を覆い尽くしているのだ。記事の中には次の一文がある。「日本証券業協会のデータによると、日本国債の現物取引に占める海外投資家の比率は現在、月間ベースで約65%に達している」と。暴落を誘引したのはひょっとすると外国人投資家かもしれない。こうした投資家の国籍はわからない。だが、運用市場で大きな影響力を持っているのは米国籍の投資家だ。この日の内外で国債の暴落を仕掛けたのは米国籍の投資家ではないか、個人的にはそんな印象を持っている。