• 一時は前日NY終値比で1.7%上昇の155円69銭、年初来高値を更新
  • NY連銀のレートチェック、単独介入にはならないことを示唆-BMO
ドル円の為替
ドル円の為替Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

Hidenori Yamanaka

ニューヨーク時間23日の外国為替市場で、円が対ドルで急騰し、1日としては約6カ月ぶりの大幅上昇を記録した。日本当局が通貨安の進行を食い止めるため、市場介入に踏み切る構えだとの警戒感が広がった。

  市場関係者によると、ニューヨーク連銀が主要銀行に対し、参考となる為替レートの提示を求めるレートチェックを実施。同連銀が市場介入を支援する準備を進めているのではないかと受け止められた。ニューヨーク連銀の担当者は、現時点でコメントを出していない。

  円は一時、前日NY終値比で1.7%上昇し、155円69銭と年初来高値を更新した。上昇率は昨年8月1日以来の大きさ。

  マネックスの為替トレーダー、アンドリュー・ハズレット氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)が午前11時頃、ドル・円市場でレートチェックを行ったと聞いている。これが円高・ドル安の動きを加速させた」と語った。

  BMOキャピタル・マーケッツのマネジングディレクターのビパン・ライ氏は、ニューヨーク連銀が円に関してレートチェックを行ったとの観測が円相場を押し上げたと指摘した。

  「過去の例では、レートチェックが必ずしも介入が差し迫っていることを意味しない点にも留意することが重要だ」とライ氏。「ただ、ニューヨーク連銀がレートチェックを行っていたという事実は、仮にドル・円への介入が行われるとしても、単独介入にはならないことを示唆している」と述べた。

  この日2回目の円急伸は、欧州市場が終了し、取引の主戦場が米国へ完全に移ったタイミングで起きた。

  BNYのマクロ戦略責任者ボブ・サベージ氏は「前回の介入を思い起こさせる不気味な動きだ」と指摘。「金曜午後で流動性が乏しく、市場はこれに逆らいたくない」と述べた。

  米国が打ち出す予測不能な政策が重しとなり、この日のニューヨーク市場ではドル指数が下落。円はそうした中で急伸した。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.6%下げ、昨年9月18日以来の安値を付けた。

  クレディ・アグリコルのストラテジスト、ヴァレンティン・マリノフ氏は円相場について、「この日の値動きは、介入警戒感によって、円を調達資金とするキャリートレードへの意欲が損なわれたことを示唆しているようだ」と述べた。

  23日に行われた日本銀行の植田和男総裁の記者会見後は円売りが優勢で、14日以来の159円台に下落していた。

  東京時間夕方の2円近くの円急上昇について、マリノフ氏は、過去に当局が介入を行った水準に非常に近いところで市場がいかに神経質になっているかを示していると指摘。当局の正式な介入に向けた初期段階にあると結論付けたくなると語っていた。

  片山さつき財務相は23日、為替介入の可能性について問われ、「お答えできない」と同省内で記者団に話した。為替市場について「常に緊張感持って見守っている」とも発言した。

関連記事:片山財務相、為替介入について記者団からの質問にお答えできない

  日銀の植田総裁は同日の会見で、次の利上げ時期について問われ、4月は相対的に価格改定の頻度が高い月だとし、「そこにある程度の関心を持っていることは事実」と述べた。

  高市早苗政権の積極財政路線を背景に、今年に入り円は対ドルで一時159円45銭と2024年7月以来の安値を更新。その後円安の勢いはやや弱まっていたが、衆院が解散・総選挙となり、与野党共に消費税の軽減税率引き下げを打ち出していることで今週に入り再度円安傾向となっていた。

  あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、大口のドル売りフローが出たのではないかと推測。「当局の口先介入のようなニュースヘッドラインもなく、実弾の売りはいきなり出ないだろうし、レートチェックでもないのではないか」との見方を示した。

  一方、みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、欧州時間に入り大口の欧州勢の投資家から大口の利益確定の売りが出た可能性もあるとした半面、「円安が進んでいたので160円手前の水準でレートチェックが入ったのではないかとみていた。

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