• ドル指数は2022年以来の低水準、協調介入の思惑も-S&P500は最高値
  • NY原油相場は昨年10月以来の高値、金スポットは最高値を更新
ニューヨーク証券取引所の前を犬と散歩
ニューヨーク証券取引所の前を犬と散歩Source: Bloomberg

Rita Nazareth

27日のニューヨーク外国為替市場では、円が対ドルで3日続伸。終盤の取引でトランプ米大統領がドルの下落を懸念していないと発言し、円買い・ドル売りの流れが強まった。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1174.60-13.36-1.12%
ドル/円¥152.36-¥1.82-1.18%
ユーロ/ドル$1.2034$0.01541.30%
米東部時間16時34分

  発言を受けて、円は対ドルで一時、1.35%高の1ドル=152円10銭と、昨年10月以来の高値に上昇した。

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  ドルに対しては、トランプ氏の発言前から先安観が強まっていた。米当局が円を下支えするとの思惑から、主要貿易相手国の通貨に対するドル安誘導を目的とする協調介入の可能性が再び意識されている。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数はトランプ氏の発言後、1%余り下落。2022年2月以来の低水準を付けた。円の反発や米政府機関閉鎖の可能性を巡る不透明感も重しとなった。ユーロとポンドはともに対ドルで2021年以来の高値圏に上昇した。

  DWSアメリカズの債券部門責任者、ジョージ・カトランボーン氏はブルームバーグ・ラジオのインタビューで、連邦準備制度理事会(FRB)当局者が23日に実施したとされるドル・円相場のレートチェックが「ドルをさらに押し下げた」と指摘した。レートチェックは通常、為替介入の前段階とされる。

  片山さつき財務相は主要7カ国(G7)財務相オンライン会合後、省内で記者団に対し、円相場が再び急騰する場面があったことに関し、為替動向についてはコメントを控えつつ、米国と緊密に連携して対応すると強調した。

関連記事:円が再急騰、片山財務相「日米連携」強調-為替動向の言及控える (1)

  UBSインベストメント・バンクのストラテジスト、ヴァシーリ・セレブリアコフ氏は「円買い介入への懸念に加え、米政府機関の閉鎖が現実味を増していることから、ドル売りの勢いは依然として強いようだ」と述べた。

  コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は27日のリポートで「米政府が保護主義に傾き、安全保障への関与を弱める中、各国は防衛支出を増やし競争力強化に注力している。これにより、これまでドルを優位にしてきた成長率や金利の格差が縮小しつつある」と記した。

米国株

  米株式市場ではS&P500種株価指数が続伸。過去最高値を更新し、節目の7000に迫った。好調な企業決算が買いを誘った。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6978.6028.370.41%
ダウ工業株30種平均49003.41-408.99-0.83%
ナスダック総合指数23817.10215.740.91%

  米消費者信頼感が低下したものの、S&P500種は5日連続で上昇。ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は強気の業績見通しを示した。ナスダック100指数は、主力ハイテク株の決算発表を前に上昇した。一方、さえない業績見通しを示したユナイテッドヘルス・グループなど保険株は安い。米政府がメディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)の民間版プランへの支払いを来年にほぼ据え置く案を示したことも失望を誘った。

関連記事:米医療保険株が急落、政府がメディケア民間版で支払率ほぼ据え置き案

  米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定を翌日に控え、中長期債利回りは小幅上昇。雇用市場の安定を背景に、数カ月にわたる意見の対立が幾分解消され、FOMCは利下げサイクルの停止に動くとの見方が広がっている。

  金利据え置きの決定がなされれば、利下げを求めるトランプ大統領の不満がさらに高まる可能性が高い。

  SWBCのクリス・ブリガティ氏は、米経済がなお際立った強さを示していることから、FRBは経済指標に基づいて今後も政策を判断する姿勢を強調するとの見通しを示した。一方、今週から始まる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる巨大ハイテク企業7社の決算は、堅調な内容となる見込みで、アナリストによる上方修正も自信の高まりを示していると述べた。

  ブリガティ氏は「2026年を占う上で、今週は市場の短期的な方向性を定める重要な局面となる」と指摘。「過去の例を見ると、1月の相場が強いと通年のトーンにも影響を与える傾向があり、投資家心理が突出して大きな役割を果たす」と語った。

  UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブチャディ氏は「短期的な変動は予想されるものの、リスク資産に対する全体的な前向きな見方は維持している」と述べた。その上で「分散されたポートフォリオを維持することが、より自信を持って乗り切る一助になる」と語った。

米国債

  米国債市場では短期債が小幅上昇した一方、中長期債は売りが優勢になった。消費者信頼感の低下をきっかけに短期債が買われ、今月に入り一時停滞していた昨年からのイールドカーブのスティープ化が再び活発になった。

関連記事:米消費者信頼感、2014年以来の低水準-労働市場への悲観強まる (2)

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.86%5.61.17%
米10年債利回り4.24%3.00.71%
米2年債利回り3.57%-1.7-0.47%
米東部時間16時34分

  5年債入札(発行額700億ドル)では、最高落札利回りが3.823%と、昨年7月以来の高水準なった。ただ、入札締め切りである午後1時時点の入札前取引(WI)水準の3.820%とほぼ同水準となり、中期ゾーンの反応は限定的だった。

原油

  ニューヨーク原油相場は反発し、昨年10月以来の高値を付けた。トランプ米大統領がイラン近辺での軍事プレゼンス拡大を強調したことが材料視された。大雪による影響も意識された。

  またドル指数が4年ぶりの安値に下げたことで、ドル建てで取引されるコモディティーの投資妙味が相対的に高まった。

  原油相場は今年に入って持ち直している。供給のだぶつきが広く予想されているものの、カザフスタン産原油輸出の混乱で欧州市場の需給が引き締まったほか、米国の対イラン強硬姿勢がリスクプレミアムを押し上げた。

  トランプ氏は「艦隊」が中東に向かっていると改めて発言。できれば使わずに済むことを願っていると付け加えた。米先物市場では、ここ2週間近くにわたって強気なコールオプションの需要が強い状態が続いており、2024年10月以来の長さとなっている。投資家は不透明な地政学情勢に備える比較的低コストのヘッジ手段として、オプションを活用することが多い。

関連記事:トランプ氏、イラン情勢で中東派遣の艦隊を使わずに済むことを願う

  米国では寒波の影響で、メキシコ湾岸の石油生産や精製に混乱が生じた。ただ、その影響は長期化しない見通しだ。寒波を受けて急騰していた米国の天然ガス先物はこの日、反落。ニューヨーク市場のディーゼル先物も下落した。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、前日比1.76ドル(2.9%)高の1バレル=62.39ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は1.98ドル(3%)高の67.57ドル。

  金スポット相場は7営業日続伸し、1オンス=5000ドル台を維持。トランプ大統領がドル下落を懸念していないと発言すると、上げ幅を拡大し、最高値を更新した。

  投資需要の強まりを背景に、今月は貴金属価格が急上昇。銀は月初から50%上昇したほか、金とプラチナも大幅な値上がりを記録している。

  過去数週間には、投資家が通貨や米国債から資金を引き揚げる中、いわゆる「ディベースメント取引(通貨価値下落に備えた売買)」が再び活発化した。日本国債の大規模な売りは、巨額の財政支出に対して投資家が拒否反応を示していることを改めて印象づけた。また、米当局が円を押し上げるため日本を支援する可能性があるとの観測がドルの重しとなっており、ドル建てで取引される貴金属に割安感が出ている。

  グリーンランド併合やベネズエラへの軍事介入を警告するなど、トランプ米政権による一連の行動や、FRBの独立性に対する新たな攻撃も市場の不安定化につながった。

  ドイツ銀行のアナリストは金の上昇が続いている背景について、「持続し得る投資動機がある。外貨準備における金の配分拡大や、非ドル資産やリアルアセットへの投資配分引き上げだ」と26日のリポートで指摘。年末までの予想を6000ドルに引き上げた。

  金スポット相場はニューヨーク時間午後2時37現在、前日比81.66ドル(1.6%)高の1オンス=5090.36ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は1.70ドル(0.1%未満)下げて5120.60ドルで引けた。 

原題:Dollar’s ‘Relentless’ Slide Has Traders Bracing for More Pain(抜粋)

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