総選挙が27日公示された。各党の候補者が出揃い、本格的な論戦が期待されるが、実態は相変わらずの党利党略。国際情勢も日本経済の先行きも、円相場の行方も無関係の当選最優先のドロ仕合い。そんな印象を受ける。そのせいだろう。ほぼ全党が消費減税の揃い踏み。本当にやる気があるのか、選挙結果次第では各党に責任が生じる。だが、議論は上滑りするだけ。たとえば1月26日に放送されたニコニコ動画の党首討論会。国民民主の玉木代表が各党党首に質問した。「消費税減税は免税取引で行うのか、それとも非課税取引で行うのか」と。各党の本気度を試す質問だった。最初に答えた日本維新の会の藤田代表は「免税取引です」と即座に回答。続いた高市総理も単刀直入に「同じです」とそれだけ。だが、その次に指名された中道改革連合の野田氏は、その前にちょっと前置きして「玉木さんはガソリン減税は国民民主がやったようなことをいいましたが、あればみんなが協力した結果です」と説明し始めた。この解説が長々と続く。
これを見ながら「さすが総理経験者だ、論点外しがうまい」と感じ入った次第。続く田村共産党委員長も質問には答えずじまい。消費税に免税取引と非課税取引があることとをこの時初めて知ったが、両者の違いは最終的には会計処理に差が出るようだ。この場合は免税取引が正解。だが、野田氏はそれを知らなかったのだろう。野田氏といえば、2012年8月に「社会保障と税の一体改革」関連法案が成立した時の総理大臣である。まさかとは思うが、ニコニコ動画の論点外しを見ていると、税制の細かいことは知らないのではないか、そのようにみえてしまう。昨日NHKの7時のニュースを見た。衆院選の公示を受け、全党首のインタビューを放映するという特別体制。すでに何回もメディアで流れた一般論と建前論が中心。政治の未来も庶民の暮らしが楽になる予感もまるでなかった。中革連のように野党も右傾化している実態はよくわかったが、何が争点なのかまるではっきりしなかった。唯一、チーム未来が「消費税より社会保障改革が先」と訴えていたのが印象的だった。
個人的には消費税も社会保障改革もやりたい。だが、いっぺんに両方やるのは流石に無理。社会保障の個人負担を引き下げれば、手取りは増える。各党と差別化しているところがこの党の魅力だ。ついでに言えば、野田氏が減税の財源と想定しているジャパン・ファンドの内容が少しだけみえた。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人が運用するファンド)に類似するファンドを創設し、その運用益を財源にしようというのだろう。確かに当該ファンドの運用益は、2025年度の第2四半期だけで14兆円強ある。ジャパン・ファンドをつくって食料品を課税対象から外した場合の必要原資はいくらか、試算しているのだろうか。中革連が政権を取れば高市ディールで急騰した株価は急落するだろう。その時どうするのか。現実感がまるでない。中革連を攻めるつもりはないが、党首に必要な“熱量”もまったく感じられない。もっと強烈に他党に政策論争を挑めば、党首討論は必ず盛り上がる。野田氏は「比較第1党を目指す」という。なぜ「政権をとる」と言わないのだろうか。
