円相場の波乱が続いている。ベッセント財務長官は昨日、CNBCのインタビューを受けた。Bloombergによると、ドル・円相場への介入について質問されると、「絶対にしていない」と強い口調で答えた。数日前にレートチェックしたことに関連した質問には、「(我々は)強いドル政策を維持していると言う以外にコメントしない」と質問者の口を封じた。前日にはトランプ大統領が、足元のドル下落について容認する姿勢を示していた。これはドル安容認を意味する。ドル安を懸念しているかと記者団に問われると、「いいや、素晴らしいと思う」と発言。さらに「ドルの価値については、われわれが行っているビジネスに目を向けてほしい。ドルは好調だ」とも述べている。素人が聞いても「どっちなの」と聞き返したくなるほどだ。米国の本音はドル安、それともドル高。独断と偏見で答えれば「両氏とも分かっていない」、のではないか。

ベッセント氏の別の引用もある。「(我々は)トランプ大統領の下で『ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル(大型減税・歳出法)』や規制政策を通じ、事業を立ち上げるのに最適で、かつ税制や規制、エネルギーに関する確実性を備えた環境を整えている」。専門家の反応。「ベッセント氏は、神経質になっていた市場を落ち着かせようとしているように見える」。ただそれだけのことかもしれない。「米国が全体としてドルの弱含みを歓迎する可能性はあるものの、ドルの急激な下落は明らかに自国の利益にはならない」。専門家というのは関係当局の発言を「うまく解釈する人」のことをいうのかもしれない。「だからどっちなの」と聞きたくなる人は、素人ということになる。要するに誰もわからないのだ。別の専門家の声も聞いてみよう。「成長率が借り入れコストを十分に上回っていることを踏まえると、日本の放漫財政を懸念する声は行き過ぎだ」。円安・ドル高の原因は日本にはないとの読み方もできる。

円相場はここ数日で1ドル=159円台から152円台まで乱高下している。現在は153円台(午前11時前)前半だ。この間、日銀の金融政策決定会合とFOMC(公開市場委員会)が開かれた。政策金利はどちらも据え置きで予想通りの展開。この間市場では米国によるレートチェックが実施され、介入警戒感が高まった。これに対して国内では高市総理も片山財務相も「発言を控える」の一点張り。円ドル相場の先行きは誰にもわからない。需給を反映するのがマーケットだが、需要も供給も生み出すのは投資家や政府だ。投資家は総理や財務大臣、あるいはベッセント氏のような海外の大物、財務長官などの発言に神経質なほど気を配る。巡り巡って結局は通貨当局が為替をコントロールしているように見える。ところが通貨当局は「為替の水準を決定するのは経済のファンダメンタルズだ」と解説する。ファンダメンタルズは誰が決めるのだろう。こちらも巡り巡っている。要するに好循環か、悪循環か。水準を決める要因はこの2つしかない気がする。