▽東京3区「公明1万4000票」が流出、閣僚にも危機感…中道も急ごしらえ感否めず<読売新聞オンライン>2026/01/31 05:00
荒木香苗、高田悠介
[26衆院選 現場から] 東京3区
「高市首相はしっかりと物価高対策を行っている」「高市首相と共に強い日本をつくりたい」
27日、東京都品川区の商業施設前で第一声を上げた環境相、石原宏高(61)は約10分間の演説で8回、「高市」と連呼した。演説前には「高市内閣のメンバーである環境相だ」と紹介された。ずらっと並んだ自民品川区議団が着る青色のジャンパーの胸には、首相の顔写真のシールがはられている。
石原が東京3区から挑むのは9回目だ。石原慎太郎・元東京都知事の三男で知名度もあるが、「高市カラー」を前面に打ち出す。
全面支援を受けてきた公明党抜きでの選挙戦となり、危機感はかつてなく強い。3区の中心となる品川区は公明が強固な地盤を誇る。区議会の公明会派(7人)は自民会派(8人)と並ぶ規模だ。前回2024年衆院選での得票から、石原陣営は「公明票は1万4000程度」と見ている。石原と次点の差は約7500票だっただけに、公明票が相手陣営に回れば、形勢は逆転しかねない。
石原が期待をかけるのが、自公が長年にわたり地域で培ってきた絆の強さだ。品川区議会では、国政と異なり、自公は共に区長を支える与党であり続けている。26日夜の集会では、陣営の選挙対策事務局長に就いた区議会議長の渡辺裕一(52)が「区長与党としての連携と信頼は揺るがない」と強調した。石原も「これまでの人間関係は続く」と公明のつなぎとめを誓った。
石原は過去3回、3区で苦杯をなめ、無党派層が起こす風の怖さも痛感してきた。無党派対策にも腐心してきたが、今回はそれもままならない。
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件を契機に、閣僚には厳戒警備がしかれるようになった。演説会場は聴衆と10メートルの距離を置くよう柵が設けられ、握手する際も警護官が取り囲む。屋内集会が活動の中心で、石原は「かなり制約がある。非常に苦しい」と胸の内を明かす。陣営幹部は「無党派層にアプローチしづらいからこそ、公明の組織票が離れるのが痛い」とこぼす。
対する阿部祐美子(61)は立憲民主党として挑んだ前回選は次点だった。中道改革連合からの出馬で雪辱を期す。品川区議や東京都議時代を通じ、友人や隣人が中心で支える草の根型の戦いを続けてきたが、今回は様相が異なる。
29日には、品川区内の武蔵小山駅前で、阿部と公明参院議員の川村雄大(41)が並び、公明のスタッフがビラを配った。川村は「中道の理念を高く掲げ、(立民を)離党し、ここにいるのが阿部さんだ」とエールを送り、阿部は「志を同じくする人たちが大きな塊を作っていかないといけない」と訴えた。
もっとも、2人に面識はなく、名刺を交換したのは演説の直前だった。阿部陣営は、公明の支援をいかす組織戦も意識するが、急ごしらえ感は否めない。
事務所開きの際は、連合関係と立民系ばかりだった必勝のため書きには、その後、公明代表の竹谷とし子のものが加わった。
阿部について、前回は石原を支援した公明の地元区議は「全面的に支援するという党の通知があり、それに沿っていく」と説明する。これまで双方の付き合いはほとんどなく、手探りで走り出したが、陣営は日に日に協力態勢は固まりつつあると手応えを感じている。陣営幹部は期待を込め、こう語る。「公明は集票のプロだ。信頼して任せるしかない」(敬称略。荒木香苗、社会部 高田悠介)
▽旧統一教会との関係、自民「遮断を周知・徹底」…弁護士連絡会が各党に質問状<読売新聞オンライン>2026/01/31 09:10
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の献金被害の救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は30日、記者会見を開き、衆院選に合わせて主要政党を対象に行った公開質問状の回答を明らかにした。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の教団本部
公開質問では各党に対して、所属議員と教団の交流や選挙支援にどう対処するか、議員と教団との関係性を外部の専門家が調査することの是非などを尋ねた。
自民党は個別の質問には答えず、「社会的相当性が懸念される組織との関係を遮断する統治指針(ガバナンスコード)を決定し、議員に周知・徹底している」とした。中道改革連合は「教団とは一切関係を持つべきでない」とし、外部専門家による調査は「検討を進める」と答えた。他の各党からは教団との関係は「ない」との言及が相次いだ。外部専門家の調査を巡っては、実施や結果の公表について積極的な回答が目立った。
同連絡会の紀藤正樹弁護士は会見で、「政治と教団との関係は依然として社会的な関心が高い。投票先を決める際の参考としてほしい」と呼びかけた。各党の回答全文は同連絡会のウェブサイトで公開している。
▽「SNS強者」自民の落下傘VS.「組織力」頼みの中道 40代4氏が激突する東京23区<産経ニュース>2026/1/31 07:00

東京・町田市がある衆院東京23区は、SNSで人気の元都議が自民党の落下傘候補となり「空中戦」を仕掛け、公明党の支持母体である創価学会や連合といった強固な「組織力」に支えられる中道改革連合の候補と競り合っている。共産党と参政党を合わせた候補者4人はそろって40代。若々しい各陣営の動きを追った。
「ユーチューバー」自民・川松氏
「SNSを使って、皆さんと対話をさせてください。いろんな媒体で発信します。僕が1人で考えるのではなく、皆さんと考えながら町田を良くしていく。そんな(投開票日までの)12日間にします」
衆院選が公示された27日夜、JR町田駅前のデッキ上で自民党新人の川松真一朗氏(45)は声を枯らした。
テレビ朝日アナウンサー出身で、2013年から東京都墨田区選出の都議を3期務めた。昨年の都議選には立たず、国政進出の機会をうかがっていたが、地元・墨田区を含む衆院東京14区にはベテランの松島みどり首相補佐官がいたことなどもあり、地縁のない町田の地から出馬することを選んだ。
かつては「都議ユーチューバー」として、自身のユーチューブチャンネルで都政の抱える問題などを解説。プロレスラーとしてデビューするなど異業種にも「参戦」し、いまや9万人を超えるチャンネル登録者を抱える。
川松氏は、選挙戦略について「序盤は支援者と一緒にSNSで支持を広げ、無党派層を取り込む。それから地上部隊の『地上戦』に入る。大物弁士にも数多く入っていただける予定です」と語った。
街頭に立つと、撮影機材を手に動画を撮影する支援者も多い。「実はまったく知らない人もいるんですが、ありがたいですね」(川松氏)
衆院選の公示後、オンラインでは注目候補の演説動画を自身のSNSで拡散させ、アクセス数を増やす人が目立つようになった。候補者の人物像が、本人の知らない第三者の手によって広まっていく。そんな時代の流れに乗って、川松氏は活動する。
「私の動画を広く公開します。自由に使って頂き、切り抜きなど広く展開して下さい」。川松氏は29日、自身のX(旧ツイッター)に、自身の選挙演説の様子を映した動画を投稿した。
「地上戦」に全力…中道・伊藤氏
川松氏と競り合う中道の前職、伊藤俊輔氏(46)の戦略は対照的だ。選挙戦の序盤から「地上戦」に全力を注ぐ。27日は届け出を終えると小田急町田駅前に向かい、寒空の下、集まった約30人の支援者や聴衆を前に午前10時半すぎから第一声を上げた。
「この選挙区で今回が6回目の戦いです。浪人時代も含めて、ここまでずっと地元でやってきました。今回も皆さんとの思いを大切にやっていきます」
衆院議員を長年務めた父親で自民党の伊藤公介氏から引き継いだ地盤で、10年以上選挙を戦い、組織力を培ってきた。しかし、2012年と14年の衆院選は日本維新の会系の政党から出て落選。初当選は希望の党から出た17年。選挙区では敗れたが、比例代表東京ブロックで復活当選を果たした。21年は立憲民主党から出て、再び東京ブロックでの比例復活だった。これら4回の選挙で選挙区を制したのはいずれも、自民党の小倉将信元こども政策担当相だった。
伊藤氏は「選挙の相手が誰か、強いとか弱いとかは気にしていない。自分の政策実現のことをきっちり伝えていくことだけを考えている」と語る。支援者には父親の代からの支援者も少なくない。
今回公認された中道は、公示直前に立民と公明が合流してできた。それでも伊藤氏は「二大政党制で自民に代わり得るもう一つの政権政党にしたい」と強調する。選挙戦ではあくまで支援者との対面で地道に支持を訴えかける地上戦に比重を置く。SNSには頼らず、組織戦頼みだ。陣営関係者は「中道という理念の元に一緒にやるだけ。公明は党を挙げて全力で応援する」と語った。
地元で迎え撃つ共産・池川氏
そんな自民と中道に割って入る形となったのが、共産新人で町田市選出の元都議、池川友一氏(40)だ。川松氏は都議会での「先輩」に当たるが、「地元・町田のことだったら、私の方が負けないぞ、という思いです」と意気込む。
共産党は21年の衆院選で、立民との「野党共闘」を仕掛け、同年と24年の前回選挙では立民の伊藤氏に一本化し、支援した。そんな伊藤氏とも今回の選挙でぶつかることには「もともと立憲主義や安保法制廃止の問題など市民の求めを受けて共闘してきた。中道の綱領を見ると、そこから軸足がずいぶん移って、足場を失っているようだ」と突き放す。
9年ぶりに再び党独自の候補となる共産。JR町田駅近くの公的施設が入るビルの前で27日、支持を訴える池川氏を、支援者らは反戦ののぼりを掲げるなどして見守った。
池川氏にSNS戦略を聞いたところ、「自分も若者に広めるツールとしてSNSに力を入れたい。いまは自分で発信するよりも、周りが発信する方が広がっているようですが、SNSが罵倒の場になってしまっている一面もあることには、ちょっと残念に思います」と語った。
若者に訴える参政・舟見氏
「失われた30年が40年、50年になってしまってもいいのでしょうか!」
公示日の午後、参政党新人で会社員の舟見裕貴氏(40)はJR町田駅前の大通りで、こう声を張り上げていた。参政党の神谷宗幣代表は、SNSを駆使した選挙戦も展開しているが、舟見氏は「リアル」な地上戦での訴えにも力を入れている。
ターゲットは若者層。「減税・積極財政」「少子化対策」「外国人問題」が訴えの3本柱。「経済を立て直し、賃上げできる環境を整えていけば若者が生活に希望を見い出せ、結果的に人口減少にも歯止めがかけられる。そうすれば外国人労働者は必要なくなる」。選挙戦も中盤に差しかかり、声のトーンが自然に上がっている。
序盤はあくまで地上戦に比重を置いていた。選挙戦が佳境に入っていくなかで、SNSでの発信にも力を入れる。選挙戦は熱を帯びている。(外崎晃彦)


