• ソフトウエア会社の買収、ドイツ銀は約12億ドルの債権販売に苦戦
  • 売れないローン債権「ハング債務」、銀行のバランスシートに滞留
ドイツ銀行のフランクフルト支店
ドイツ銀行のフランクフルト支店Photographer: Alex Kraus/Bloomberg

Aaron Weinman

ドイツ銀行が率いる銀行団は、ソフトウエア企業の買収を支援する約12億ドル(約1900億円)のローンで、債権の売却に苦戦している。人工知能(AI)による産業破壊への警戒が金融に影響した新たな一例となった。

  事情に詳しい関係者によると、PROSホールディングスのB2B事業に対するソフトウエア会社コンガによる買収について、ドイツ銀行は当初予定していた融資債権の売却を断念し、代わりに6億2500万ドルのタームローンで資金を提供すると、債権者候補に伝えた。関係者らは非公開情報であることを理由に、匿名で話した。銀行団はまた、2028年に満期を迎える5億4000万ドルの融資についても借り換えを予定していたが、これも見送られたとの説明が投資家にあった。

  ドイツ銀行がこの債権への関心を集められなかった背景では、AIの台頭に揺さぶられるセクターへのエクスポージャー(投融資)に対する不安が深刻化している。プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社のトーマ・ブラボーが支援するコンガは、文書自動化ソフトウエアを企業に提供する。こうしたSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)企業の多くは、特に脆弱(ぜいじゃく)だと見なされている。コード作成やデータ分析といった従来業務を、AIモデルがこなせるようになっているためだ

  トーマ・ブラボーの担当者はコメントを控えた。ドイツ銀行の担当者からのコメントは現時点で得られていない。コンガにもコメントを求めたが、返信はない。

  ドイツ銀行は先月、コンガ向けローン総額11億7000万ドルの募集を開始。金利はベンチマークに4ポイントの上乗せで、額面1ドルに対して97.5〜98セントのディスカウントで提供するとしていた。同行は投資家向け資料で、コンガによる買収は2月2日に完了する見通しだと説明していた。ローン債権の販売は今後も続ける方針だという。

  買収完了前に引き受けたローンを第三者の投資家に売却できない場合、銀行はその借り入れをバランスシート上に抱え込むことになる。いわゆる「ハング債務」が積み上がると、銀行は将来の融資を引き受ける余力が低下する。

  AIによる事業破壊リスクは、世界のクレジット市場全体に重くのしかかっている。民間クレジットローンを束ねるビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC)の株価は、ソフトウエア分野への幅広いエクスポージャーが懸念され、今週下落した。ここ数日では、資産運用大手ブルー・アウル・キャピタルがテクノロジー特化型ファンドからの多額の資金流出を明らかにしたほか、欧州のソフトウエア業界でも融資案件の凍結が相次いだ。

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原題:Deutsche Bank Group Stuck With Software Loans in Rare Hung Deal(抜粋)