• ビットコイン6.5万ドル割れ、アンソロピックまた新AIモデル発表
  • ドルほぼ全面高-国債は大幅上昇、労働指標悪化で利下げ観測強まる
米主要株価3指数がそろって下落。ソフトウエア株と仮想通貨が再び売り込まれたほか、弱い雇用指標が重なり、不安定な値動きとなった
米主要株価3指数がそろって下落。ソフトウエア株と仮想通貨が再び売り込まれたほか、弱い雇用指標が重なり、不安定な値動きとなったPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

Rita Nazareth

5日の米金融市場では、主要株価3指数がそろって下落。ソフトウエア株と暗号資産(仮想通貨)が再び売り込まれたほか、弱い雇用指標が重なり、不安定な値動きとなった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6798.40-84.32-1.23%
ダウ工業株30種平均48908.72-592.58-1.20%
ナスダック総合指数22540.59-363.99-1.59%

  S&P500種株価指数は1.2%下落。構成銘柄のうち300余りが値下がりした。ソフト株は下げ止まらず、iシェアーズ拡大テック・ソフトウエア上場投資信託(ETF)は5%下落した。

  アンソロピックは金融リサーチ能力を備えた新たな人工知能(AI)モデル「クロード・オーパス4.6」を発表。これを受けて金融サービス企業の株価が打撃を受けた。同社は法務サービス分野に進出し、ソフトウエア企業への売りを誘発したばかりだ。

  ナスダック100指数は3日間の下げが昨年4月以来の大きさ。連邦準備制度理事会(FRB)当局者が先週、早期の追加利下げに消極的な姿勢を示して以降、1兆ドルの時価総額が吹き飛んだ。一方、ビットコインは10%余り下げ、6万5000ドルを割り込んだ。

  ここ数日はグロース株への売りが膨らんでいたが、この日は売り圧力が広範なセクターに波及。S&P500種の主要11業種のうち9業種が値下がりした。S&P500種の構成銘柄を時価総額加重ではなく等分にした「S&P500種イコールウエート指数」も反落した。

  エドワード・ジョーンズのモナ・マハジャン氏は「相場上昇を主導してきた分野に資金を大きく振り向けていた投資家にとって、今週は厳しい状況だ」と指摘。「まず思い浮かぶのはテクノロジーやAIだが、足元では金などの貴金属、さらにビットコインをはじめ暗号資産(仮想通貨)全体でも売りが出ている」と述べた。

  景気の底堅さへの期待から、このところ成長見通しの改善で恩恵を受けやすい企業の株価が上昇していたが、直近のデータは米労働市場の脆弱(ぜいじゃく)さを改めて浮き彫りにした。

  2025年12月の米求人件数は予想外に前月から減少し、2020年以来の低水準となった。米企業が発表した1月の人員削減は、同月としては金融危機の最悪期にあった2009年以来の多さとなったほか、先週の米新規失業保険申請件数は予想以上に増えた。

  eToroのブレット・ケンウェル氏は「直近の雇用指標は、米雇用市場が万全ではないことを改めて示した。今後さらに悪化するようなら、連邦準備制度理事会(FRB)と投資家にとって真剣に受け止めるべきリスクだ」と指摘。「とりわけ目先の不透明感が強まれば、振れの大きい展開が続くだろう」と述べた。

  インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トレス氏は「労働市場が悪化しているとの懸念と、巨額のAI投資が株主の許容範囲を超えつつあるのではないかという不安が重なり、株式が激しい売りを浴びている」と述べた。

国債

  米国債相場は年限全般で上昇(利回りは低下)。弱い労働関連指標が相次ぎ、年内の利下げ観測が強まった。また株式やビットコインが再び売られたほか、金・銀の不安定な値動きも続き、安全資産とされる米国債の妙味が相対的に増した。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.84%-7.2-1.47%
米10年債利回り4.19%-8.8-2.05%
米2年債利回り3.46%-9.5-2.66%
米東部時間16時32分

  米金融政策見通しに敏感な短期債が利回りの低下を主導。2年債利回りは約1カ月ぶりの低水準をつけた。

  BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏は今回のデータは「市場のムードを変え、来週予定されている雇用統計に対する期待を弱めた」と述べた。米政府機関の一部が閉鎖されていた影響で、1月雇用統計は11日、1月消費者物価統計(CPI)は13日にそれぞれ発表が延期された。

  短期金融市場では、今回の弱いデータを受けて、FRBが年央までに追加利下げに踏み切るとの見方が強まった。

  スタイフェル・ニコラウスのストラテジスト、クリス・アーレンス氏は「現時点で、FRBは様子見の姿勢と受け止められている」としながらも、「労働市場データの軟化が鮮明になってくれば、市場はパウエル体制下の残り数カ月で追加利下げが行われる可能性を少なくとも織り込もうとするだろう」と続けた。

為替

  ニューヨーク外国為替市場では、ドルが主要通貨の大半に対して上昇。弱い米指標が重しとなったものの、貴金属が売られ、ドルの追い風となった。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.2%上昇。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1195.083.490.29%
ドル/円¥157.05¥0.190.12%
ユーロ/ドル$1.1784-$0.0023-0.19%
米東部時間16時32分

  ソシエテ・ジェネラルで調査責任者を務めるスバドラ・ラジャッパ氏は「チャレンジャーの弱いデータに、新規失業保険申請件数の増加が重なり、市場の関心が再び労働市場に向かった」と述べた。

  バンク・オブ・ナッソー1982のチーフエコノミスト、ウィン・シン氏は「ドルが上昇しているのは、米経済が好調だからではない。むしろ、株式や暗号資産、銀など他のリスク資産が下落する中で、純粋なリスク回避の動きのように感じられる」と述べた。

  円は対ドルで売り買いが交錯。総じて156円台半ばから157円台前半で推移した。

  ポンドは対ドルで下落。イングランド銀行(英中央銀行)は政策金利を3.75%で据え置いたが、予想された以上の僅差での決定となり、3月利下げへの期待が再浮上した。

  ユーロは対ドルで下落。欧州中央銀行(ECB)は5会合連続で据え置きを決定した。ラガルド総裁は会見でユーロの為替レートについても協議したと発言。ECBは特定の為替レートを目標にしていないとあらためて主張つつ、ユーロ高が「現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れ」があることを認めた。

原油

  ニューヨーク原油先物相場は3日ぶりに反落。イランが米国と協議を行うと確認し、軍事衝突や供給混乱の差し迫ったリスクが後退した。イランのアラグチ外相は4日、米国との核協議が6日にオマーンで開催されるとSNSに投稿した。

  5日の午前中には一時下げを拡大した。米企業による人員削減発表の統計を受け、景気減速や原油需要鈍化への懸念が再燃した。

  その後は下げを縮める場面もあった。サウジアラビアは、代表油種のアジア向け価格を数年ぶりの水準に引き下げた。ただ、引き下げ幅は業界で広く予想されていたほど大きくはなかった。これは、サウジが自国産原油の需要に一定の自信を持っていることを示す兆候と受け止められている。

  米・イラン協議の枠組みを巡って双方の立場は異なっており、中東地域で緊張が高まる中、大きな隔たりと現実的に埋められるかどうかは依然不透明だ。このため、原油価格には再び一定のリスクプレミアムが織り込まれている。

  シェルのワエル・サワン最高経営責任者(CEO)は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで「現時点では確かに多少の供給過剰が見られるが、地政学的な課題に伴う大きな不確実性で相殺されている」と指摘。「その不確実性とボラティリティーには、プレミアムが付いている」と語った。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、前日比1.85ドル(2.8%)安の1バレル=63.29ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント4月限は2.75%下げて67.55ドル。

金 

  金と銀の相場は下落。銀はアジア時間に急落し、その後ニューヨーク時間も軟調に推移した。前日までの2日間で回復を見せていたが、歴史的な急落後の底値がなかなか見つからない状態が続いている。銀スポット価格は一時18%下げて、1オンス=73ドルを下回った。

  貴金属相場はこの1年、中国での投機資金の流入や地政学的混乱、米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を巡る懸念から急上昇してきた。だが上昇局面は先週末に反転。1月30日には銀が過去最大の下落率を記録し、金も2013年以来の大幅安となった。

  メタルズ・デイリー誌のロス・ノーマン最高経営責任者(CEO)は5日付のリポートで、特に中国での投機が「貴金属の価格形成プロセスを混乱させている」と指摘。貴金属のボラティリティーは実物市場やその要因から切り離され、自律的に拡大していると述べた。

  金スポットはニューヨーク時間午後2時1分現在、前日比103.12ドル(2.1%)安の1オンス=4861.81ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は61.30ドル(1.2%)下げて4889.50ドルで引けた。

原題:Rout Deepens on Wall Street as Tech, Crypto Slide: Markets Wrap

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