• 「クロード・オーパス4.6」、人間なら数日かかる財務分析を作成
  • ファクトセット・リサーチ株は10%安、S&Pやムーディーズも下落
アンソロピックのウェブサイト
アンソロピックのウェブサイトPhotographer: Gabby Jones/Bloomberg

Rachel Metz

アンソロピックは同社最強の人工知能(AI)モデルを刷新し、金融リサーチ能力を備えたバージョンをリリースした。同社が法務サービス分野に進出し、ソフトウエアメーカーを動揺させてから、数日しかたっていない。

  同社は5日、「クロード・オーパス4.6」を発表した。企業データや規制当局への提出書類、市場情報を精査し、人間であれば通常、数日を要する詳細な財務分析を作成できるという。オーパス4.6はまた、スプレッドシートやプレゼンテーション資料の作成、ソフトウエア開発など、さまざまな業務関連機能においても性能が向上しているとされる。

  発表を受けて米株式市場では、金融サービス企業の株価が下落。ファクトセット・リサーチ・システムズは一時10%下げた。S&Pグローバルとムーディーズ、ナスダックも下落に転じ、大幅安となった。

  アンソロピックや競合するOpenAIは金融サービスからヘルスケアに至るまで、より幅広い専門的業務を効率化するツールの開発に、この1年の大半を費やしてきた。より多くの法人顧客を獲得し、高い評価額を正当化することを目的としている。アンソロピックは現在、評価額3500億ドル(約54兆8700億円)に基づく資金調達ラウンドを協議中。OpenAIも最大8300億ドルの評価額で調達の協議に入っている。

  OpenAIも同じく5日、AIコーディングエージェント「Codex」のアップデートを発表した。コードの記述やデバッグのプロセスをさらに効率化することを目的としたもので、複雑なゲームやアプリといったソフトウエアの構築に利用できるという。ソフトウエアの記述にとどまらず、スライド資料の作成支援やユーザーデータの分析といった、関連するドキュメント作成やプレゼンテーション業務にも機能が及ぶと同社は強調した。

  アンソロピックによれば、同社のモデルを利用して職場での業務を効率化している法人顧客は、30万社を超えている。特にコンピュータープログラミングの分野で「クロード・コード」が普及し、同社はマーケットリーダーとしての地位を確立している。

  クロードのコーディング分野外進出は最近、ウォール街を動揺させている。アンソロピックが特定の法務業務を自動化するツールを公開したことが、今週になって1兆ドル規模の相場急落を引き起こした。衝撃は特にソフトウエア株で強く、将来的に同セクターが時代遅れになるかもしれないとの懸念が、投資家の間で意識された。アンソロピックの製品は、どの企業やサービスが最終的にAIによって破壊されるのかという懸念を象徴する存在となった。

  法務機能がプラグインとして加わったAIエージェント「クロード・コワーク」は、今年すでに「研究用プレビュー」としてリリースされていた。コワークはアプリの構築や、スプレッドシートの作成、大量のデータ整理をより直感的に行えるツールとして、テクノロジー愛好家の間で急速に注目を集めた。アンソロピックによれば、コワークの構築はわずか数日で完了し、そのコードの大半はクロード自身のAIが書いた。

  クロードAIモデルの製品責任者、スコット・ホワイト氏は今後同社が重点を置くのはサイバーセキュリティーやライフサイエンス、ヘルスケア、金融サービスといった分野での業務実行能力を向上させることだと述べた。

  「これらの分野に当社は本腰を入れて取り組んでいく」と語った。

  ブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルームバーグLPは、金融データやニュースの提供で、S&Pグローバルやファクトセット・リサーチ・システムズと競合する。ブルームバーグ・ローは法務調査ツールやソフトウエアを提供する。

原題:Anthropic Releases New Model That’s Adept at Financial Research(抜粋)