総選挙後も高市総理が提唱する「責任ある積極財政」が信任されたかどうか、いまいちはっきりしないところがある。そんな中でこのところの円安の流れが止まっている。1月下旬、米財務省が実施したレートチェックが効いている可能性もある。外為市場で活発に取引を行っている投資家が、当局による円買い介入を警戒して円売りを控えていると、国内のアンチ高市勢力に属するオールド・メディアやアナリスト、エコノミストは解説する。積極財政の帰結として国債の大量発行がはじまり、国債価格が値下がりして利回りが上昇するという読みだ。相場は日々変動する。とはいえ、大きな流れは国家の経済政策を反映しているはずだ。筆者はアンチ高市勢力とは反対に、大きな流れは円高だと見る。国内の守旧派と見解を異にする最大の要因は、総選挙の大勝に加え、世界中の投資家が「責任ある積極財政」に注目しているからだ。
高市政権の総選挙大勝のあとを受けてエコノミストやアナリストの多くは、高市トレードの復活を予想した。要するに株高、円安、金利の上昇だ。積極財政によって大企業中に業績は好調を持続する。反対に国債の大量発行によって財政赤字が拡大、国債が売られて利回りは上昇する。金利が上がれば円高になるはずだが、金利の上昇で国内景気は後退し、円相場は円安に振れる。これがアンチ高市勢力の基本的なシナリオだ。だがこのシナリオにはいくつかの疑問符がついている。その一つはどうして株高になるかだ。アンチ派はおそらく「円安が大企業に恩恵をもたらすから」と言うだろう。そういう要素があることは否定しない。円安、株高、異次元緩和によるゼロ金利はアベノミックスが描いたシナリオ。だが、それでも日本国民は豊かにならなかった。物価高を背景にいまや円安を止めろと、国民の多くが叫んでいる。GDPはインドにも抜かれ。世界第5位だ。アンチ派の主張は日本の凋落を意味する。
そこに割り込んできたのが「責任ある積極財政」だ。多少時間がかかるが積極財政が日本経済に浸透すれば、国民生活はいまよりはるかに楽になる。基調的トレンドは株高、円高、金利高だ。円高になれば企業業績は悪化するというのは、失われた30年の悪夢に取り憑かれたエコノミストたちの間違った思い込みだ。米国は基調的にドル高だが、企業業績は隆々としている。この違いは何か。日本は米国に比べ生産性で劣後している。なんで、投資しないでに内部留保を厚くしているからだ。要するに簡単なことだ。投資を活発に行って潜在成長力を高めれば株高になり円も上昇し、金利も上がる。これがごく普通の経済的好循環だ。「責任ある積極財政」を先取りして株は急激に上昇した。買っているのは外国人だろう。金利も上昇する。当たり前のことだ。こうした中で円だけが円安に振れていた。これこそが異常なのだ。その円安が止まっている。積極財政論が日本の有権者や世界中の投資家に徐々に浸透し始めたのではないか。アンチ高市派のいどころはいずれなくなる。
