• 円は一時154円87銭まで下落-米国債利回り上昇、20年債入札振るわず
  • 米国株は続伸、原油は昨年10月以来の大幅高-金3日ぶり上昇
ドル指数は堅調な米経済指標の発表を受けて上昇、円下落
ドル指数は堅調な米経済指標の発表を受けて上昇、円下落Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

Rita Nazareth

18日のニューヨーク外国為替市場では、ドル指数が3日続伸。発表された統計がいずれも市場予想を上回ったことで米経済の底堅さがあらためて示され、年内に積極的な利下げが実施されるとの見方が後退した。

  ドル上昇を受けて、円はニューヨーク前日終値比で1%下落。今月に入って最大の下げを記録した。

  午前に発表された1月の鉱工業生産指数は約1年ぶりの大幅な伸び。昨年12月のコア資本財受注は市場予想を上回り、12月の住宅着工件数は5カ月ぶりの高水準となった。

  午後に入って公表された連邦公開市場委員会(FOMC、1月27-28日開催分)の議事要旨では、インフレ率が目標を上回る状況が続いた場合、利上げが必要になる可能性があると、「幾人かの」政策当局者が示唆していたことが分かった。

関連記事:FOMC議事要旨:利上げシナリオの可能性を幾人かの当局者が指摘 (1)

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数はこれを受けて、さらに上値を伸ばし、0.5%高となった。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1189.175.870.50%
ドル/円¥154.83¥1.520.99%
ユーロ/ドル$1.1785-$0.0070-0.59%
米東部時間16時41分

  スタンダードチャータードのG10通貨調査グローバル責任者、スティーブン・イングランダー氏は「予想を上回る住宅や耐久財のデータを受け、ドルが目に見えて上昇した」と指摘。

  ドルの上げは恐らく、ショートポジションの巻き戻しを反映している可能性があると指摘した上で、「為替市場は軟調な労働関連指標より、堅調な米経済活動のデータに注意を払い始めているのかもしれない」と述べた。

  円はドル上昇に連れて軟調に推移。議事要旨の公表後には一時1%安となり、154円87銭を付けた。

  FOMC議事要旨では、1月下旬に米財務省の要請を受け、ニューヨーク連銀がドル・円相場についてレートチェックを実施していたことが確認された。

関連記事:円が1ドル155円台に急伸、米当局がレートチェック実施と市場関係者

  高市早苗首相は18日夜の記者会見で、「金利、為替をはじめ日々の市場動向、これは十分に私もチェックをしている」と発言。また、食料品にかかる消費税率をゼロにするという自民党の検討案については、財源を特例公債に頼ることなく税率を引き下げる考えをあらためて示した。

関連記事:「高市内閣2.0」始動、財政持続可能性配慮で市場の信認確保-首相会見

  マネックスのアンドリュー・ハズレット氏はこの日の円下落について、実際のところ「ドル主導の動きだ」と指摘。市場動向をチェックしているなどとした高市氏の発言が「相場を有意に動かすことはなかった」と述べた。

  スコシアバンクのチーフ通貨ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「米国の利回りが上昇に転じ、円の重しとなっている」と分析。

  「短期的なリスクは市場全体のトーンに加え、原油価格の動向にある。市場参加者は中東情勢を見極めようとしている」と述べた。

国債

  堅調な経済指標を受けた利下げ見通しの後退で、米国債相場は続落(利回りは上昇)した。

  実施された20年債入札の需要が振るわず、それを受けて長期ゾーンの利回りはこの日の最高水準を付けた。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.71%1.90.41%
米10年債利回り4.08%2.50.61%
米2年債利回り3.46%2.90.85%
米東部時間16時41分

  利回りは全ての年限で上昇。10年債利回りは4.08%を付け、今月初め以来の2日連続上昇となった。

  JPモルガン・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は「耐久財受注と住宅指標、鉱工業生産データが市場予想を上回ったことを受け、金利はベアフラットニングの形で反応した」と指摘。

  米国がイランに対し軍事介入に踏み切るとの懸念を背景に、原油相場が大幅に上昇したことも、国債相場の材料となった。

株式

  米国株は続伸。人工知能(AI)によるディスラプション(破壊的な変化)を巡る懸念が和らぐ中、一連の経済指標が相場を後押しした。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6881.3138.090.56%
ダウ工業株30種平均49662.66129.470.26%
ナスダック総合指数22753.63175.250.78%

  利上げの必要性を示唆した当局者が幾人かいたことが議事要旨で分かったが、S&P500種構成銘柄のうち320銘柄ほどが上昇した。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1%高。ソフトウエア株に連動する上場投資信託(ETF)は1.3%上昇した。

  グラナイト・ベイ・ウェルス・マネジメントのポール・スタンリー氏は、最近のソフトウエア関連株への売りについて「行き過ぎだった公算が大きい」と指摘。AIを巡る勝者と敗者を市場が見極めようとする中で、主として条件反射的な反応だったと述べた。  

  その上で、「AIの勝者と敗者を見極めることが2026年の中心テーマとなる可能性が高い」とし、「AIは非常に有望だが、全ての企業がこの面で勝てると想定すべきではない」と述べた。

  個人投資家はシタデル・セキュリティーズのプラットフォームで、ソフトウエア株の買いに過去最大規模の資金を投じた。

  同社の株式・株式デリバティブ戦略責任者スコット・ルブナー氏は「買いの規模や持続性、広がりは、これまでのピークを大きく上回っている」と述べた。データ集計は2017年に開始したという。

  FOMC議事要旨では「参加者の大多数は、雇用の下振れリスクがここ数カ月に和らいだ一方、インフレがより持続するリスクはなお残っていると判断した」ことも明らかになった。

  アリアンツ・インベストメント・マネジメントのチャーリー・リプリー氏は「利下げは当面、選択肢にないという当社の見解を裏付ける内容だった」と述べた。

  ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのマーク・ニュートン氏は、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる超大型ハイテク株やソフトウエアメーカーの株は最近大きく売られたが、市場全体が本格的な下落局面に入ったことを示す証拠は多くないと指摘。

 「株式市場のボラティリティーを受け、市場心理はここ1週間で一段と弱気に傾いたが、株価指数そのものは底堅い。2026年における相対的に明るい材料として、その点は強調されるべきだ」と述べた。

原油

  ニューヨーク原油先物相場は急反発。昨年10月以来の大幅な上げとなった。米国のイランへの軍事介入が想定より早まる可能性があるとの一部報道を受け、両国の協議が対立回避に十分かどうかを見極めようとする動きが広がった。

  ニュースサイトのアクシオスは、米軍の作戦が実行に移された場合、1月にベネズエラで実施した限定的な作戦とは異なり、数週間に及ぶ可能性が高いと報じた。イスラエル政府は体制転換を狙うシナリオを支持しているとも、アクシオスは報じた。

  衝突が現実となれば、中東原油輸出の要衝であるホルムズ海峡での輸送が脅かされる可能性がある。イランは17日、軍事演習のため同海峡を一時的に閉鎖すると表明していた。原油価格の大幅上昇がガソリンの値上がりにつながれば、トランプ大統領は中間選挙を前に有権者の反発を招くリスクがある。

  サクソ銀行のコモディティ戦略責任者、オーレ・ハンセン氏は「物価問題が重要な争点となる選挙の年に、トランプ氏が国内のガソリン価格上昇を招くリスクを取るとは思えない」と述べた上で、アクシオスの報道が18日の相場上昇をもたらしていると指摘した。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、前日比2.86ドル(4.6%)高の1バレル=65.19ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント4月限は2.93ドル(4.4%)高の70.35ドル。 

  金スポット相場は3日ぶりに上昇し、一時1オンス=5000ドル台を回復した。過去2日間の下落を受けて押し目買いが入った。

  金スポットは一時2.7%上昇。前日までの2日間では3%超下落していた。アジア市場の多くが春節(旧正月)で休場となっている。

  BMOキャピタル・マーケッツのアナリストは祝日期間中の貴金属相場について、「軟調な局面が訪れると見込むのが妥当だ」とリポートで指摘。割安感から買いが入りやすい状況になるとの見方を示した。

  金は1月、記録的な上昇を見せた。価格は繰り返し最高値を更新し、初めて1オンス=5500ドルを突破。しかしその急騰は1月末に止まり、過去10年以上見られなかった大幅な下げを記録した。

  ING銀行のエワ・マンティー氏によれば、この歴史的な急落を受けてボラティリティーがリセットされ、ここ数週間は値動きの幅が広がっている。

  「ポジションは整理され、流動性は低下している。金は現在、マクロ経済のシグナルを一段と積極的に織り込み直しているため、より大きな変動に見えるが、大局的なトレンドは変わっていない」とマンティー氏は述べた。

  BNPパリバやドイツ銀行、ゴールドマン・サックス・グループなど多くの銀行は、金価格が再び上昇基調に戻ると予想している。地政学的緊張の高まりや米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を巡る懸念など、これまでの堅調な上昇を支えてきた要因はまだ続いている。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後1時48分現在、前日比107.88ドル(2.2%)高の4985.77ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は103.60ドル(2.1%)高の5009.50ドルで引けた。

原題:Dollar Rises to Daily High After US Data; Yen Falls: Inside G-10

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