Mia Glass

衆院選後初の超長期国債入札となる20年債入札が19日実施される。財政懸念の後退を手がかりに買い戻しが加速する中、足元の金利水準で超長期債が安定的に消化されるかどうかを見極める試金石となる。

  投資判断の基準となる20年国債利回りは足元で2.9%台後半と、1月に付けた1997年以来の高水準の3.46%や、同月の入札時の平均落札利回り(3.25%)を下回っている。自民党が衆院選で予想外に圧勝し財政悪化への懸念が和らいだ上、経済指標の鈍化で日本銀行の利上げ観測が後退したことが背景にある。

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  入札への関心は日本国内にとどまらない。米国債に次ぐ規模を持つ日本国債市場が金利ある世界へと移行するのに伴い、その影響が海外市場にも及び始めているからだ。20年金利が3%の節目を下回る中で迎える今回入札は、利回り低下が需要を抑制するかどうかが焦点となる。

  アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、「選挙後に超長期金利が急速に低下したことで、生命保険会社など国内機関投資家は20年債入札に積極的に参加する意欲がそがれている可能性が高い」とみる。

  岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、足元の金利低下は海外投資家が主導している側面があると指摘。その上で、今後も「金利低下の流れが続くのかどうかを見極める入札になる」と予想した。

変わる投資家層

  これまで超長期債の主な買い手だった生保は慎重姿勢を維持している。大手4社の国内債券の含み損は2025年12月末時点で合計13兆2460億円に拡大した。満期保有が基本方針とはいえ、評価損の増加は運用リスクを管理する上で制約となる。利回りが上昇しても、直ちに積極的な買い増しに動きにくい状況だ。

  最近の入札では、落札利回りのばらつきを示し、大きいと入札の不調を意味するテールが拡大傾向にあり、金利上昇局面で投資家が応札に慎重になっている様子がうかがえる。

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  一方、超長期債市場で海外投資家の存在感は高まっている。日本証券業協会の統計によると、昨年は海外投資家が日本の中期債と超長期債で最大の買い手となった。短期資金の比重が高まり、金利が上下に振れやすい環境になっている。米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、足元の利回り水準が魅力的な投資機会を提供しているとして、日本の30年国債を選好する姿勢を維持している。

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  JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長らは18日付リポートで、日本国債の本源的な需給バランスの悪化は改善しておらず、超長期債の需要も海外勢や年金のリバランスに頼る状況が続いていると指摘。円債市場は依然「脆弱(ぜいじゃく)な状況にある」との見方を示した。

  20年債は10年債と30年債の中間に位置する。10年債が日銀の金融政策スタンスに敏感なのに対し、30年債や40年債は財政運営や長期インフレ期待が色濃く反映される。20年債はその両方の要素を含み、マクロ環境と財政への評価が交錯するゾーンにある。