ガザの和平を推進する目的で、トランプ大統領の肝煎りで設立された「平和評議会」の初会合が昨日開かれた。ロイターは以下のように伝えている。「パレスチナ自治区ガザの復興と支援のために加盟国が70億ドルを超える資金の拠出を確約したと発表した。会合には47カ国の代表者が出席。ただ、米国の主要同盟国の一部が参加していないほか、ガザの治安維持にあたる国際部隊を巡る計画やイスラム組織ハマスの武装解除など多くの課題を抱える中での立ち上げとなった」。また、「国連が人道支援のために20億ドル、国際サッカー連盟(FIFA)がガザにおけるサッカー関連プロジェクト向けに7500万ドルをそれぞれ提供すると明らかにした」ともある。初会合には47カ国の代表が出席したとあるが、正式な加盟国が何カ国になるのかはっきりしない。Wikipediaによると正式に参加を表明しているのは26カ国。招待されている国が25カ国とE U。ドイツ、フランス、イギリスなど西側同盟国の多くが招待を拒否している。

同評議会の目的はイスラエルの攻撃によって破壊されたガザ地区の再建にある。それと同時に和平合意に盛り込まれている武装解除をどうやって実現するか、これがもう一つの注目点だろう。ハマスは武装解除に慎重になっていると伝えられる。一方トランプ氏は「武力を行使せざるを得ない事態は避けたい」と表明しているが、逆に言えば武力を使う可能性もあるということだ。米国の武力を背景とした和平が実現するとすれば、本来国連が果たすべき役割を米国が肩代わりすることになる。ここに国連無用論が懸念される根拠があるのだろう。西側同盟国はそこを懸念しているのかもしれない。こうした懸念に対してトランプ氏は、「われわれは国連を強化し、関連施設を良好な状態に維持する。国連は支援を必要としている。資金面で支援し、国連の存続を確実にする」と明言している。でも米国は負担金を払っていない。資金難でさまざまな国連の活動が制限されている。トランプ発言はダブルスタンダードだ。

日本を代表する国際政治学者の高坂正堯氏は「軍事力、利益、価値観」の3つが国際政治を動かすポイントだと指摘した。常設の軍事力を持たない国連は「利益、価値観」の二つに頼るしかないのが現状。これに対してトランプ氏は巨大な軍事力と利益でガザの平和を実現しようとしている。トランプ氏の招待を拒否した西側諸国は、軍事力と価値観でアメリカに対抗しようとしているのだが、米国に比べると軍事的なパワーが圧倒的に劣後している。人類の夢は利益と価値観による地球の平和だろう。だが結局はウクライナもガザも、イランも軍事力が和平の分かれ目になる。平和評議会は本当に国連に代りうるのだろうか。評議会が成功するか否かに関係なく、戦争当事国のロシアが拒否権を持っている現状を見過ごすべきではない。国連改革が避けて通れない現実を世界中が直視すべきだ。負担金を出し渋るトランプ氏は「国連の存続を確実にする」と公言する。誰が信じるのだろうか・・・。