[ローマ 5日 ロイター] – 4日実施されたイタリア総選挙(上下両院)では、両院とも過半数を獲得する政党がないハングパーラメントとなる見通し。開票率がほぼ半分となった段階で、主要な3勢力はいずれも単独で議会の過半数を確保できず、主流派が再び政権に就く見通しはほぼなくなった。現時点で考えられる連立のシナリオには、EU懐疑派連合の誕生が含まれ、欧州連合(EU)にとって新たな頭痛の種となりそうだ。市場関係者の見方は以下の通り。
●ユーロ懐疑の声小さくシステミックな影響想定せず
<JCIキャピタルの運用担当者、アレッサンドロ・バルゾッティ氏>最悪のシナリオのひとつとなったが、市場は想定可能だった。ただ政治動向が意外な市場の反応につながる可能性は、英国のEU離脱やトランプ大統領誕生などから学んでいたことだ。EUやユーロは今回の選挙戦で主要な争点ではなく、5つ星運動や同盟(旧北部同盟)などのユーロへの懐疑的な見方はこれまでほど強くなかった。この点からみて、政治的な帰結がシステミックな影響を及ぼすとは想定しにくい。
●政権協議の長期化でボラ上昇の可能性
<UBSウェルス・マネジメントのイタリア部門最高投資責任者(CIO)、マッテオ・ラメンギ氏>われわれはイタリア総選挙後の長期にわたる協議を予想しており、イタリア資産のボラティリティー上昇につながるかもしれない。広範な大連立政権が樹立されれば、政局安定や財政規律をもたらす可能性があるため、市場は前向きに受け止めるだろう。再選挙は不透明感を長引かせ、イタリア資産の重しとなり得る。イタリアの株式市場は選挙の不透明感を織り込んでいないが、国債利回りはいくらかの政治リスクを織り込んでいることを示唆している。
●異なる勢力の連立政権、過去の改革見直す可能性
<バークレイズのアナリスト、ファビオ・フォワ氏>異なる政策を掲げる勢力による連立が見込まれ、これには反体制派の政党が含まれる可能性がある。このような連立政権が有意義な構造改革を行うとは考えていない。連立の構成内容によっては、これまでの改革が見直しとなるリスクもある。中期的には、次の議会では政府の危機や早期総選挙をもたらす可能性のある政治不安が予想される。