韓国と北朝鮮は、来月、ムン・ジェイン(文在寅)大統領とキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との首脳会談を開くことで合意しました。ムン政権としては、北朝鮮が「非核化に向けた意志を明確にした」と評価し、アメリカのトランプ政権に南北首脳会談への理解を求めるとともに、米朝対話に乗り出すよう促すことにしています。
韓国のムン・ジェイン大統領の特使として北朝鮮を訪れ、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長と会談した大統領府のチョン・ウィヨン(鄭義溶)国家安保室長は、6日夜、ソウルで記者会見を開き、南北が来月末に、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設で首脳会談を開くことで合意したと発表しました。
南北首脳会談の開催は、2007年10月、当時のノ・ムヒョン(盧武鉉)大統領とキム・ジョンイル(金正日)総書記との間で開かれて以来、10年半ぶり、3回目のことになります。
一方、チョン室長によりますと、核問題について北朝鮮側は「軍事的な脅威が解消されて体制の安全が保障されるならば、核を保有する理由はない」と表明したということで、韓国側としては、「北は、朝鮮半島の非核化への意志を明確にした」と評価しました。
また北朝鮮側は、対話が続く間は核実験や弾道ミサイルの発射実験は行わない考えを明らかにしたということです。
ムン大統領は、南北首脳会談を開催するには、非核化に向けたアメリカと北朝鮮の対話が必要だとしていましたが、チョン室長は、今回の北朝鮮側の表明によって、「米朝対話を始められる条件が十分に醸成されたと考えている」と述べました。
そして今週中にアメリカを訪問し、トランプ政権に今回のキム委員長との会談内容を詳しく説明し、南北首脳会談への理解を求めるとともに、米朝対話に乗り出すよう促す方針を示しました。
ただ、北朝鮮が言う「体制の安全が保障されるなら、核は必要ない」との論理は「アメリカが敵視するので核を開発した」とみずからを正当化する従来の姿勢と本質的に変わりはなく、核放棄を前提とした対話を求めるトランプ政権の立場とは隔たりが大きいだけに、アメリカ側の受け止めが大きな焦点になりそうです。
韓国 日本へも説明へ
またアメリカを訪問したあと、チョン室長は中国とロシアを、ソ院長は日本を、それぞれ訪問して、南北関係を安定的に発展させるために国際社会からの支持を得たいとしています。
河井特別補佐「制裁が効いているから対話の流れ」
さらに、河井氏は「制裁が効いているからこそ対話の流れになった」と強調しました。河井氏は、8日までワシントンに滞在する予定で、連邦議会の議員らと会談するほか、シンクタンクで講演し、日本の立場を説明することにしています。
米情報当局「ほとんど信頼していない」
また、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長について、コーツ長官は「予測しがたいことに加え、非常に計算高い」と分析したうえで、「われわれは彼に核兵器を放棄する意思があるという兆候を一切、目にしていない」と指摘しました。
さらに、アメリカと北朝鮮の間の過去の対話はことごとく失敗し、核開発の時間稼ぎに使われただけだったと強調し、「彼らの意図が非核化に向けたものかどうかというと、その証拠を見たことはなく、私はほとんど信頼していない」と述べました。
そして、ここ最近の動きについて、コーツ長官は「望みは尽きないし、検証しなければならないが、われわれの線引きは明確で、北朝鮮は核能力を保有しないことに同意しなければならないし、それが起きるまで彼らとは合意できない。突破口になるかもしれないが、私は大きな疑念を抱いている」と述べ、北朝鮮に核兵器を放棄する意思があるかどうかには極めて懐疑的な見方を示しました。
中国「前向きな成果を歓迎」
そのうえで耿報道官は「関係各国はこのタイミングを捉えて互いに歩み寄り、朝鮮半島の非核化と問題の政治的解決のプロセスを進めるために努力するよう望む」として、関係国に足並みをそろえて問題解決に努めるよう促しました。