きょうの日経新聞朝刊に気になる記事が出ている。「日本から情報が 北朝鮮サイバー部隊の実態」という記事だ。それによると金正恩委員長の直属の部隊として設置されている北朝鮮のサイバー攻撃部隊は、「2月、国連制裁に関わる文書を日本からハッキングしていたことがわかった」とある。これだけではない。脱北者の証言によると「サイバー部隊は身分を隠して日本企業のソフト開発も受注している」という。国連を舞台に「最大限の圧力」をかけ続ける国際社会。経済制裁の裏で北朝鮮はサイバー攻撃を仕掛け、核開発に必要な資金を荒稼ぎしている。その北朝鮮とトランプ大統領は首脳会談に臨もうとしている。それも側近の反対を押し切り、専門家の意見も聞かず、歴代大統領が誰もできなかった“成果”だと強調しながら自画自賛している。
素人目にもテレビに映るトランプ大統領の“はしゃぎぶり”に、国際社会が懸念する首脳会談の“危うさ”がみて取れる。国連が禁止している原油の瀬取りを繰り返し、いまでも金正男氏の長男を抹殺すべく命を狙っているのではないかとの憶測が絶えない。北朝鮮のサイバー攻撃部隊はいまでも世界中で悪の限りを尽くしている。日経新聞によると北朝鮮が実行した可能性の高いサイバー攻撃には次のようなものがある。2015年エクアドルの銀行から1200万ドルを窃取、2016年バングラディッシュの中央銀行から8100万ドルを窃取、2017年5月150カ国を襲うサイバー攻撃が発生、同5月〜7月韓国の仮想通貨取引所を攻撃、同10月台湾の銀行から6000万ドルを不正送金。
日本の仮想通貨取引所であるコインチェックから580億円相当の仮想通貨・ネムが詐取されたのは今年の2月のことである。犯人は特定されていないが、北朝鮮の関与が取りざたされている。サイバー攻撃で通貨が詐取されているだけではない。日経新聞によると「ベトナムやマレーシアで設立したソフト開発会社は、一般の企業を装い日本の工場制御システム開発などを請け負ってきた」とある。これが事実なら「最大限の圧力」をかけ続けても、北朝鮮にはいっぱい逃げ道があるわけだ。今朝の韓国からの報道によると北朝鮮は、米国との平和協定締結や外交関係の樹立を望んでいるという。北朝鮮の本音は世界中の専門家が見抜いている。そんな中でトランプ大統領だけが、中間選挙を前に“ご褒美”を欲しがっている。トランプ大統領は「悪の枢軸」に手を貸すのか。大統領の前には歴代大統領が陥った轍が広がっているような気がして仕方がない。